ラグビーが持つ力(令和六年二月)

 令和六年ニ月二十四日。リーグワン第七節、花園近鉄ライナーズ対クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦を観戦した。
 花園ラグビー場の客席に陣取ると、真っ先に目に入ってきたのは、芝生の緑色、座席を彩る赤色。寒風が吹きつけてきて身が震える。毛糸の帽子と手袋を持ってくれば良かったと悔やむ。
 銅鑼の音とともに試合は始まった。クボタは開始数分でトライを奪取。キックも成功して勢いに乗ると、一気呵成に点差を広げていく。近鉄は押されっぱなし、一方的なクボタペースで前半は終始した。後半、息を吹き返し反撃にかかる近鉄。だが、時すでに遅し。大差のままノーサイドの笛が鳴った。
 障がい者席は、ほぼ満席。寄り添う方と一緒に、杖の助けを借りて一般席に座る若い男性の姿も見受けられた。プロ野球、Jリーグを観戦した時にはこのような姿を目にしたことは無かったように思う。
 ひょっとしたら、ラグビーにはハンデを背負った方を惹きつける何かがあるのかもしれない。選手には、障がい者の方々も客席で応援してくれていることを時には思い浮かべてほしい。きっとそれが、岩山のような強大な敵にタックルするときに勇気を持って突進する力になるはずだから。

令和六年二月二十五日

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