アメリカに行きます。

こんにちは。
小林春世です。

この度、文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員に決定となりました。
研修先はアメリカのニューヨークです。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/shinshin/kenshu/pdf/92260201_01.pdf

制度自体を知りたい方はこちらをお読みください。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/shinshin/kenshu/

この度、と書きましたが、決定したのは昨年の初めでした。
まずは、決定までにお力添えいただいた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、本当は昨年9月に渡米予定でしたが、コロナにより何度か延期となりました。
そのことでご迷惑をおかけすることになってしまった方々、申し訳ない気持ちと共に、受け入れてくださったことに感謝です。

決定してからしばらくは選んでいただいた喜びでわくわくだったのですが、その後はコロナのせいで、本当に行けるのだろうか…という不安が勝ってしまっていました。
いつまでも延期が認められるわけでもなく、ある日文化庁から、「ここまでしか延期できない」という連絡もあったので、行けないのかも…と。
また、アメリカに行くと思っていたのでお断りするしかなかったお仕事も、結局こうやって日本にいるなら受けられたじゃないかとか、そういうようなことでも悲しくなりました。

でも最近ビザが降りました。
ようやく、本当に行けそうです。
出発まであと数週間です。
文化庁のHP上では随分前から発表されていましたが、確実になるまではあまり言えないなと思っていたので、皆さまにお伝えするのがこんなに遅くなってしまいました、ごめんなさい。

あちらでは主に2つのことを学びます。
演劇をやっていない方にはわかりにくい文章かもしれませんが、そのまま書きます、すみません。

まず一つ目。
私はいわゆるメジャーな演技テクニック(メソッド)というのを学んだことがないので、帰れるところがなくて困ってしまうことがあります。
日本の俳優のあまりよくない部分として話題にあがったりもしますよね。
それがなくてもお芝居はできている、という方々ももちろんいることはわかりますが、それは本当に素晴らしい、羨ましい、に尽きて、でも私はそうではないほうに目を向けたい気持ち。
たとえば単純に、メジャーなドラマを見比べて、欧米の俳優たちの、端から端まで足並み揃った素晴らしさたるや。
話を戻しますが、それで私も、彼らのようにどれかを真剣にやってみたいなと以前から思っていたので、自分に合いそうだと思った一つのテクニックを遅ればせながら学びます。
それを選んだ理由の一つとして、私も、俳優の心が健康でもよいお芝居は作れるんじゃないかという考えに至ったのがあります。
俳優を追い詰めるようなお芝居の作り方が、私はあまり理解できなくてですね。
これは、厳しい(これは私はよいと思います)とは別の話です。
もちろん追い詰められてよくなる人も実際はいると思います。
でも、じゃあそれで悪くなってしまった人には目を向けているのかな?と思うし、そのプラスマイナスを考えると、追い詰める方法って単純に効率が悪くないかなぁと思ったりして。
とにかくよいお芝居ができればいいのですから、効率は良い方がよいはずですものね。
これは、最近やっとよく耳にするようになったハラスメント問題にも繋がるところがあるのかもしれません。
私にとっての本題はそこではないものの。
選んだもう一つの理由は、俳優も、たとえばアスリートやバレリーナのように、日々の訓練は必要だという考えに共感したからです。
演技というもの自体は誰でもできますよね、誰でも日常で、しかも結構上手にやっていたりすると思います。
それは、バレエを踊ることや、ヴァイオリンを弾くこととは違いますよね。
でもだからと言って俳優には日々の訓練が必要ないというのは違う、というところに共感しました。
色々書きましたが、これはまだ結論ではなく、今の私の考えです。
これを確かめるのも目的で向こうに行くというか。

それから、2つ目。
私はあくまで俳優なのですが演出を学びます。
実はこれが渡米しようと思った最初のきっかけでして、日本で俳優活動をすればするほど演出というお仕事ってなんだろうと思うようになり、だからこそ沢山調べた結果、解決するには欧米に行くしかないという必要に迫られました。
それが約3年前です。
様々な演出家の方々とお仕事をご一緒した経験から、演出家って演出をどうやって学んでいるんだろうと純粋に思うようになったことから始まっています。
あとフランコの影響も大きかったなと思います。
2度一緒に作品作りをして、ワークショップに何度も関わって、彼や周りの人達から感じることがたくさんありました。
そしてその頃から、欧米で活動されていたり欧米で学んだ経験のある方々のワークショップ等に、意識して参加するようにしました。
そこでまた感じることがたくさんありました。
私にとってはよいことばかりでした。
もちろん感じるだけではなく、そこから色々調べ、考えました。

あ、あと大前提として、私はアメリカの演劇が好きです!
人生で1番影響を受けた舞台も、好きな俳優も、アメリカ。
好きなものに近付きたいという純粋な気持ちもまずありました。

こういうことを、ぼそぼそと、この人の作るお芝居が好きだなと私が純粋に思う演劇人たちに数年前から話し始めたところ、100%賛同してくれました。
その上でおもしろい意見をくれた人もいた。
嬉しかったですし、それで、進んでみようと思いました。
あーん、ここまででこんなに長くなっちゃった。笑
この辺にしますがまだまだ語れますし意見交換は嬉しいので、演劇人の皆さま、何かあれば気楽にご連絡くださいね。
今私の周りにはそういう演劇人が多くて、とても嬉しいし楽しいです。

そして一昨年の夏から具体的に動きました。
オーディションは英語のモノローグをいくつか勉強して準備したのですが、なんというか、いつも以上に孤独な作業でした。
日本語でも難しいのにと思っていましたが、結果、翻訳したものよりも原語のままの方がやりやすいという不思議なことに途中で気付いたりもしました。
歌もやりました。
でも、そういう風に自分と向き合う機会はこれまでなかなかなかったので、結果それ自体も本当に良い経験となりました。

NYCは以前からずっと、海外で1番好きな場所です。
1番沢山旅行してきた場所でもあります。
でも住むというご縁はないんだなと何度も思ってきました。
それなのにこのタイミングでその機会に恵まれたこと、人生っておもしろいしとても素敵だなぁと思います。
そもそも、もう2度とアメリカに住むことはないと思っていましたし。
これで3度目となります。笑
いつだって、未来はほんとにわからないのですねぇ。

ブロードウェイの閉鎖には本当に心が痛みましたし、日本はもちろんですが、同じくらいNYCが元気になることを私は祈ってきました。
自分の出演する公演の中止には泣かなかったけれど(思いがなかったわけではなく、お仕事は私にとっては感情的というよりは現実的なものなので)、ブロードウェイの閉鎖にはちょっと涙が出た。
そのくらい、あそこにしかない素晴らしいものを私は感じ、大切にしているようです。
今は、歴史的に考えてもとてもレアな、ブロードウェイが復活して行く時期に現地にいられることになると思い、わくわくしています。
そのためにもまずは私自身が、コロナへの対策を今後もしっかりと続けて生活していこうと思います。

研修は1年弱ですのであっという間です。
興味のあることに対して期間が短い気はなんとなくしていますが(笑)、でもこの間に、行けるところまで着実に進みたいです。

BLUEは一時帰国します。
本来ならば帰国後の公演だったので被らないはずでしたが、コロナが理由で被ったので、一時帰国の許可をいただきました。
日本では隔離期間が、信じられないことにまだあるので(昨年の時点では絶対この時期にはないと思っていました!何も変わっていないなんて…。NYCはもう、ルール上は隔離はないのです)、なんか色々大変そうですし関係者にはご迷惑をかけてしまいますが、とても出たかったので。

というわけで、お会いできなくなりますが、意外とまたすぐ、BLUEでお会いできます。←どっち

こんなにも長くなってしまった…。
読んでいただきありがとうございました。
最後に、私が1番最初にこの制度に興味を持ったのは、大家仁志さんが以前これでフランスに行かれていて、そのお話を聴いたことがきっかけです。
大家さんありがとうございます。
会えなくなってからもお世話になっている、そんな感覚です。

まずは目の前のことを1つずつ、がんばるぞー。

あと、note始めました。遅

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