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ジョアン・ミレッ氏のGKトレーニング論を科学する。キャッチング編




先日、あるGKの選手と話す機会があった。


今で関わる機会の少ないポジションのため、私の知見を広げることができるのではないかと淡い期待を抱いていた。


元々好きなポジションである。FWをやっていたジュニアの時期からGKをしたくてTMで立候補していたくらいである。(マイヒーローは川口能活)



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2019年5月23日、奈良クラブが世界的なGK育成のスペシャリストであるスペイン人GKコーチ、ジョアン・ミレッ氏のアカデミーGKダイレクター就任を発表した。


GKトレーニングへの興味を唆られたのは、その時期からである。



彼のトレーニング理論が専門的なポジションの解像度が私のスポーツ選手の動作分析に似通っていたからである。



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GKとしての経歴/特徴


選手のフットボール観を測る上で大変重要な要素である。フットボールをしてきた環境を抜きに現在、未来を予測することは出来ない。



戦略とは戦いを略すること。流れる力を見極めて、何をするかではなく、何を先に潰しておくかで考える。


失敗する戦略の多くが、道がないところに無理やり何かコトを起こそうとしていることだ。道がなければ進むべきところもない。限られたリソースを使って全力で張る場所を見極めこと。


私たちはいつまでに、どれくらい、どこに、行きたいのか。その目標を定量的にはっきりと決めなければいけない。

それが戦略だ。




キャラクター/態度・姿勢


選手のキャラクター。つまり、過去の経験から創造される個性はプレーへの大きく関与する。GKのプレーにおいて重要視される空間認知能力は利き手によって空間処理が異なるのが証明されている。



ポジショナルプレーで重要な空間認知能力は利き足で処理能力が変わる可能性が高いためである。


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<左脳>
・論理的・客観的分析的
・空間的な処理:巧緻性、操作的
・時間的な処理手順、手続き・コミュニケーション:説明的
<右脳>
・意識下的・感性的・非言語的・感覚的
・空間的処理:適応的・あるがままに
・時間的処理:流れていく時間



方法論


上記の過去の経験、個性によりアプローチする方法論が無数に存在する。標準化されたトレーニングでは能力を最大限に引き出すことが困難である。すなわち、選手を知る。これがトレーニングのスタートラインとなる。



アクションの種類





例えば、フットボールに重要とされるスピード(速さ)という言葉の概念は曖昧で、どのスピードを指しているのか混乱が生じることがある。

専門分野では直線の速さや加速度、方向転換を伴う動きの速さやその速度、ラダーステップのような動作切り替えの速さ、認知反応の早さなどが区別されて分析されている。


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アジリティを認知判断因子と方向転換速度の2つに分類し、それぞれを構成する因子を示している。


認知判断因子に関しては認知フットボールの教科書を参照して欲しい。



アジリティを高めることは、それぞれの因子である認知判断能力と方向転換速度を向上させるようにトレーニングしていくことである。

方向転換速度を向上させるには様々なトレーニング要素がある。

移動方向の数、方向転換の回数、速度の速さ、スタート姿勢、移動距離、実施時間、認知反応などだ。

リカルジーニョの記事では方向転換のテクニック因子である足の位置、ストライドの調整、身体の傾きと姿勢は基底面(シンアングル、重心、姿勢)を取り上げた。


つまり、アジリティの項目でも多くのテクニック因子が含まれる。アクションの種類を細分化することは、私のトレーニングを段階的に進めていく際に多くの時間を割いて分析していく項目である。



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