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ジョアン・ミレッ氏のGKトレーニング論を科学する。キャッチングの認知能力。




2019年5月23日、奈良クラブが世界的なGK育成のスペシャリストであるスペイン人GKコーチ、ジョアン・ミレッ氏のアカデミーGKダイレクター就任を発表した。


前回の記事に引き続き、ジョアン・ミレッ氏の理論をフィジカルコーチの視点で紐解いていく。




KAZU氏のブログを引用させて頂き、本稿を進めていく。


1、 手の置き方、出し方

ボールをつかまない。つかもうとするから余分に力が入り、ボールをこぼしてしまう。どのように手を出すか、手にボールが入ってくるイメージ

2、 キャッチした後のボールのブロックの仕方

なんでもいいではない。一つの正しい動作がある。

3、 なぜハイボールが苦手なGKが多いのか?

飛び出す術を知らないため、不安や恐怖に感じる。まずはその怖さを取り除いていくことから。では、どうやって?ここで魔法のテープ登場!

4、 コーナーキックは遠い?近い?

コーナーキックが蹴られる場所からゴールは近いと感じるか?遠いと感じるか?実際の距離を測定してみると・・・

5、 コーナーキックの際のスタートポジション(立ち位置)

人によって変わるのではなく、ここという場所が指定されている。

6、 立っている時の姿勢、構え

7、 ボールが蹴られるまで絶対に動かない

相手のFWの動きや周りの選手に捉われたり、つられるGKは蹴られる前から無駄に動く。前への一歩と後ろへの2歩は同じ距離であり、1歩動く毎にボールは20m近く移動する。つまり、蹴られる前に動き、ポジションを修正している間にもボールは移動しており、結果自分の立っている位置は変わらなくてもボールは移動しているので、間に合わなかったり、先に相手に触られてしまう。多くのGKは不安から先に動いてしまうので、その不安を取り除く。

8、 ボールが蹴られてから動くということはボールに対して寸分の狂いもなく、正しい動作で素早く移動する必要がある。

9、 正しい歩き方を知る

誰か正しく歩くことを教えてもらったことがある人はいますか?もし、今の自分の歩き方が間違っていたら・・・?

10、 ボールの落下点によって一歩目がどちらの足になるかを知る

基本はボールがあるところから遠い足が一歩に。

11、 無理に歩幅をあわせようとしない

まずは正しく素早く落下点に到達することが目的

12、 ボールが飛んでくる時間の感覚をつかむ

蹴られてどのくらいのスピード、時間で、どのように飛んでくるかを見る。その時にはスタートポジションに立って動くことなく、ボールを見る

13、 次のステップはボールを見るが、落下点によって最初の一歩だけ足を動かす

14、 コーチがGKを誘導する

F1ドライバーもいきなり自分で運転したのではなく、誰かに運転の仕方を教わった。GKも同じで、いきなり一人でやらせるのではなく、GKが横にぴったりとついて体を抑える。子供たちはボールを触らなければいけないという思いから、蹴られる前にどうしても動いてしまう傾向にある。それも不安からきている。その不安を取り消すためにもボールが蹴られて「ここだ」というタイミングで動くように手を離す。 

15、 これまでのプロセスが全て理解でき、体でも実践できるようになったら、

いよいよ一人でハイボールをキャッチしに行く。ここで重要なのは焦ることなく一つ 一つ完成させること。万が一ここでまた上手くいかなかった場合、上手くいっていない部分(ステップならステップのところまで)まで掘り下げ、もう一度確認する。




ジョアン「最初に何を教えるべきか考えた時、GKとしてまず知っておかなければならないのはキャッチングだろうと。直立して正面、だいたい顔の高さくらいのボールをキャッチするのが、GKにとって一番簡単なアクションです。それが型としてできていないと次のアクションにいけないのです。当然、ボールというのはいつも正面に飛んでくるわけではありません。離れたボールに対しては、移動してしっかり正面でボールをキャッチできるようにならないといけないことを教えます。ただ、ボールが体から離れれば離れるほど、キャッチするアクション自体が複雑になっていきます。


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キャッチングの手順としてジョアン氏は以下のように述べている。


ジョアン「正面のキャッチは縦に3つのゾーンに分けています。1つ目はだいたい胸の辺りから上で2つ目はその下、一番下がグラウンダーです。それにプラスして、真上から落ちてくるボールというのもあります。それらは全部、取り方が違います。あとはそこに、横の変化も加わります。一歩で行けるのか、それとも一歩では間に合わないのか。取れない時に、跳ぶという動作が入ります」


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ジョアン・ミレッ氏のGKトレーニング論を科学する。キャッチングの認知能力。


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