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【詩】 かけら

覚えてはいないんだけど
たしかにわたしが選んだ
お気に入りを集めた一枚の絵
そこにはわたしの選んだすべてが描かれていた
だけど、この世界に生まれ落ちた瞬間に
その絵は粉々に飛び散ってしまった

悲しくなって泣き叫ぶ
眩しくて目をつむる

ある日その絵のかけらを見つけた
どこかで見覚えのあるかけら
ある人がその絵のかけらをくれた
ずっと探していたかけら

わたし達はすぐに忘れてしまうから
形に残しておきたがる
わたし達は臆病だから
感じることを避けたがる

それってほんと?
それってほんと?
どこかで誰かがささいやた

ぽろぽろと流れる涙はかけらになって
けらけらと笑う声はかけらになって
いつの間にかかけらがたくさん集まった

かけらをつないで眺めたら
どこかで見てた絵になった

それってほんと?
それってほんと?
わたしのこころがささやいた



晴海 たお


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