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【詩】 アネモネが、呼んでいる

アネモネが、呼んでいる。

風の神に愛されて
花に姿を変えられた妖精。
そばにいられるのなら、花になってもいい。
いつも風に吹かれていられるから。


アネモネが、呼んでいる。

花びらを持たないことを選んだ。
それでも、花としての誇りを忘れない。
不完全のなかにある、完全な美しさ。
それは、不自由のなかの、自由に似ている。


アネモネが、呼んでいる。

あなたのなかには、すべてが揃っている。
どうか、それが前提の世界を選んでほしい。
誰よりもやさしい眼差しで自分を見ること。
そして、その目でこの世界を見ること。


アネモネに呼ばれたら、
わたしは、わたしを思い出す。
あか、しろ、ピンク。
なに色でもないわたしを思い出す。
今、世界の秘密も思い出す。


晴海 たお

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