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再エネ100%の世界とNatureの未来

塩出晴海 / Nature

ベンチャー企業の舵取りは、ヨットの操船にとても似ている。

ヨットは、風向きを考えながら舵や帆の角度を細かく調整する必要がある。真っ直ぐに舵を切っていても真っ直ぐ進まない。状況に応じて細かい操船が必要だ。

ヨットは、風に向かって進むことができるが、風の真向かいにだけは進めない。少し角度をつけて風を受ける必要がある。また、風を真横から帆が受けるアビームという状態でもっとも早く進む。目的地に対して、角度を取るか、スピードを取るか、状況に応じて判断しながら進路を決めていく。

ベンチャーの事業でも、風向きを見ながら目的地に向かって、細かな操船が重要だ。目的地に向かって最短経路で進めるほど甘くない。

Natureでは、「自然との共生をテクノロジーでドライブする」(2021年11月より「自然との共生をドライブする」に変更)というミッションのもと、今は再エネ100%の世界を実現することを目指している。

では、今のNatureの事業がどうやってそこに繋がるのか。

もちろん、その事業戦略もヨットと同じで一直線に目的地には向かうことができない。一見遠回りに見えるかもしれないが、これから説明する戦略が今の僕たちの船とそこに吹いている風を考えた時に現実的な道のりなのだ。

1. 太陽光とEV

まず、Natureがフォーカスしている一般消費者向けの領域においては、太陽光とEVの普及が再エネ100%の実現の鍵になる。今まで旧電力会社が一手に発電・送電・配電を垂直統合していた世界から、太陽光とEVでそれを代替する世界がすでに到来している。

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太陽光の価格がこの10年で劇的に下がり、結果として今では、電気を買うより、太陽光パネルを屋根に設置して、電気を自分で作った方が経済的にメリットがある。日本でも、2030年までに再生可能エネルギー電源構成比率を40%まで引き上げるという目標が提言されている。足元の20%程度からおよそ倍にする必要がある(2011年に日本で起きた福島原発事故以降、再エネ普及に向けて大きく舵を切ったドイツではすでに日本の目標値の40%を突破している)。

残りの10年で明確な結果を出すためには、すでに経済性が証明された電源でそこを満たすことが重要であり、そうなると太陽光と風力が有力だ。国内では、すでに大規模太陽光発電所の立地も限られてきており、そうなるといまだに導入率10%程度の太陽光を戸建て住宅にどこまで導入できるかが重要になる。

一般的な太陽光発電システムの発電容量は、4kwから5kw程度でこれだけあれば家庭の必要な電気量は賄える。一方で、太陽光だけだと、電気の生産と使用にタイムラグを生じる。一般的には、夕方以降の夜間で電気の使用量がもっとも多い。太陽光で発電したタイミングで使用できる電気は、だいたい30%~40%程度だ。

2. EV(&EQ)+エネマネ

このタイムラグを埋めるために必要なのが、EVになる。

EVの充電容量は、最近のモデルだと60kwh程度と大きく、これは一般的な家庭で数日間継続して利用できる量になる。このEVについても、日本でもようやく2035年までにガソリン車全廃の舵が切られ、今後導入が劇的に加速することは間違いない。

EV以外でも、エコキュート(給湯器)があれば水を温める時間を日中にずらすことで太陽光の発電量の60%~70%は利用することが可能だ。

前述した通り、太陽光の発電は日中である一方で、家庭の需要のピークは夜間となることが多い。その場合、日中発電した電気を蓄えて夜間に使うというオペレーションが必要になる。

つまり、EVの充放電の最適制御が必要になる。そこでエネルギーマネージメントの出番だ。日中の太陽が出ている時間に充電して、夜間に放電してEVから家庭に電気を供給する。そうすることで、ほとんど電力会社による電力供給なしで電気を自由に使うことができる。

この電力会社のこれまで提供してきたビジネスモデルでは手が届かない自家発電・自家消費の世界をBehind The Meter(BTM)と業界では呼んでいる。Natureでは、このBTM事業を次なる柱と考えている。このBTM事業の中核になるのが、Nature Remo Eだ。

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3. P2P電力取引

但し、エネルギーマネージメントでも、全ての問題を解決できない。

EVで言えば、車がない時には家に対して放電することはできないし、エコキュートでもお湯を電気に変えることはできない。

ここで重要になるのが、電気を近くの家でシェアし合う仕組みだ。例えば、夜間に、自分の家の車は不在だけど、隣の家には車がある。一方で、隣の家では電気はそこまで激しく使っていないという状況があったとする。その場合は、隣の家から電気を融通して貰えばいいし、既存の配電網でもそれは可能だ。

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では、何が障壁か?

それは託送料金だ。自分の家の敷居(メーター)を超えて、電気をやりとりしようとすると送配電事業者(関東では、東京電力パワーグリッド)の配電網を使う必要がある。その場合は、送配電事業者に託送料金を支払う必要がある。その価格が、距離に関係なく一律の料金なのだ。つまり、東京で隣の家に電気を送っても、静岡の遠く離れた家に送っても同じ料金を払う必要がある。

この託送料金にもようやくメスが入り始めていて、これから5年から10年で託送距離を加味した料金体系に変わってくるだろう。今でもNature Remo Eと既存に配電網を使うことで技術的には電気のP2P取引は可能だが、それに伴う経済メリットが生まれるには託送料金の改訂を待つ必要がある。

4. コミュニティー太陽光、風力、蓄電池など

これでもまだ、再エネ100%の世界は実現できないだろう。

戸建て住宅は100%太陽光と蓄電池が普及すれば自給自足できるかもしれないが、マンションに住んでる人や商業施設はどうなるのかという問題が残る。

当然、マンションの屋根や壁に太陽光パネルを設置することは可能だが、それでもおそらく発電量としては不十分だろう。そうなると、やっぱり、コミュニティーで保有する太陽光発電所や風力発電所が必要になる。また、その発電所も再生可能エネルギーの気まぐれな発電量を吸収するために、蓄電システムも必要になるだろう。この蓄電システムでは、中古のEVの蓄電池を寄せ集めて使うことで安価にすることも可能である。

また地域によっては、地熱発電や水力発電を活用することできる。特に日本は地熱の発電ポテンシャルが世界でも第3位だし、山国の日本は水力資源も至るところに点在している。

ここまで来た段階でNatureがどう発電側に関与するかは今後の検討課題になるだろう。個人的には、途上国で発電所の開発案件も経験しているので、この発電領域にも十分興味はある。

これが、今のNatureが描く再エネ100%の世界に向けたロードマップになる。

電力業界の動きは日に日に加速しているし、目的地が近づくと見える景色も変わってくるだろう。その時は、ヨットの操船のように風の力を上手く使って、柔軟に進路を調整し、目的地なる再エネ100%の世界を目指したい。

最後に

Natureでは、電力に思いのあるグロース人材(事業開発マーケティング)を積極採用中!また、協業パートナーからの連絡も絶賛受付中!

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