終わりのチャイム【小説】

「キーンコーンカーンコーン」

放課後のチャイムが聞こえる。最後の授業である国語は眠くなる。体育がある日は特に。ごく平凡な一日が過ぎた。今日も寝ている時間を無駄にしてしまった。古い校舎の古いチャイム音はアンティークを感じさせる。こんなところにいたら心まで古くなってしまう。

今年で設立130年くらい経つのかな?校長先生の話によるとチャイム音は昔のままだそうだ。聞くところによると機械室の鍵が開かないそうだ。開かずの扉。だから長年修理業者が入ることができないそうだ。

最後に修理したのは100年前。この電子化の時代に古びた明細書が資料室に残っていた。校長は貴重だからと言って、職員室に張り出している。その行動に教師たちはうんざりな表情をしている。

放課後、担任から指導を受けるためにに職員室に入った。理由は昼休みに勝手に屋上に上がったから。チャイムの機械室は屋上にある。本来なら屋上は鍵がかかっているが、職員室から鍵を盗んで開けてしまった。しかし、機械室には入れなかった。

錆びた扉から異臭がする。気分が悪くなりそうだ。それを浄化するように新鮮な風が心を安心させてくれる。ぼーっとしていた。見回りの警備員さんに見つかった。一貫の終わりだった。名前を聞かれて担任に報告された。

職員室。担任の先生はいない。他の先生に聞くと。外出中だそうだ。生徒を呼んでおいて居ないだなんて。ふと張り紙を見た。チャイムのドアを破壊する張り紙を見た。解体業者が来るそうだ。日時は明日!これは興味がある。野次馬として見に行こう。

担任が来た。怖い顔をしている。こっぴどく叱られた。鍵を盗んでしまったことや屋上に上がっていたこと、機械室に入ろうとしたことなどを怒られた。特に機械室に入ろうとする行動を怒っていた。良い悪い関係なしに鍵を盗む行為の方が重大なのに。

先生は怒るだけ怒って話が終わった。僕の気持ちは明日に向いていた。最終下校のチャイムが鳴る音が聞こえた。明日のために今日は帰らないと。足早に学校を去った。

次の日、土曜日だった。昼までの授業を終えて屋上に上がった。業者さんが行き帰りしているのを横目に階段を登った。屋上に行くと警備員さんが止めに入った。解体作業を見たい衝動に駆られた僕は警備員さんの静止を振り払って機械室近くに行った。

解体作業は終わっていた。しかし、作業員の様子がおかしい。ざわついている。僕は恐ろしい物を見てしまった。中から死体が出てきたのだ。100年前の人だと容易に感じた。異臭がしてきた。救急車やパトカーの音が聞こえる。先生が通報したようだ。あまりの異臭に目眩がして意識を失った。

ここは?病院のベッドに横たわっていた。担任の先生が横に座っている。怒っているような心配しているような顔をしている。そらそうだ、警備員の指示に従っていなかったから。でも、病院に運ばれたので心配しているので、先生は複雑な心境をしている。

目を開ける。眩しい光で元気になる。先生から事情を聞いた。死体が出てきたことは秘密にしてくれと言われた。学校側は隠蔽したいようだ。死体が出てきた原因は分からないそうだ。いい情報を教えてくれた。これは良いネタに使えそうだ。

後日、休みの日にある編集社に出向いた。ネタを売るために。一階のカフェで記者に数日前の異臭騒ぎの内容を話した。記者は興味津々だった。久しぶりの大ネタだそうで、一面に取り上げて貰えるそうだ。これは面白いことになりそうだ。

数日後の通学途中、コンビニで週刊誌を買った。代々的に取り上げられていた。学校に行くと職員室はざわついていた。当たり前だろう。それから、テレビ局などのマスコミが校舎前に集まってきた。えらい騒ぎた。まるで、自分が人を操っているように感じた。

マスコミや興奮のせいで授業をまともに受けられなかった。騒げば、騒ぐほど自分が正義のヒーローに感じた。その興奮も長くは続かなかった。

数日後、担任から退学処分を言い渡された。衝撃が走った。これまでの指導の反省をしていないことや、マスコミに情報を売ったことなどが原因で学校を追い出さた。こんなことになるとは思っていなかった。それよりも、あの事件の真相が知りたい。

学校最後の帰り際、夜に聴こえるチャイム。こんなに心に染みる音だったんだ。夜の静けさが音をキレイに聞こえさせる。自分が起こした罪を初めて実感した夜でした。

〜作者からのメッセージ〜
普段何気なく聴いている・聴いていたチャイム。不思議な感覚になる。事件の真相は闇の中で終わった。それには理由がある。ネタが思いつきすぎて、2話構成にすることにした。次回はこれまで以上に主人公が活躍する内容です。乞うご期待!

植田晴人
偽名。趣味で小説を書いています。テーマはありませんが物語多めです。