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#071「さらば愛しきアウトロー」

スクリーンで観るロバート・レッドフォードを、自分がどれほど好きだったかを思い知らされる。とにかく、スクリーンの中で圧倒的に映える。喋り方も、表情も仕草も。私にとっては、映画という言語、世界の中に存在してきた人なのだ。

ストーリーが進むに従って、だんだんレッドフォード本人のとの境目がなくなっていく。自由に楽しそうにカーチェイスする主人公に、不思議と涙が出そうになって、これは一体どういう感情なのだろうかと思ったら、客席のあちらこちらで泣いている人が居て、そうだよね。と思った。
画面では悲壮感なんてこれっぽっちもないレッドフォードが、粋に格好良く、スマートに銀行強盗を重ねて、何故か会場が泣いて居る。という、かなり特殊な映画体験だった。

監督は、レッドフォードへのラブレターだと言っていたけれど、納得の仕上がりで、私たちのロバート・レッドフォードが、さよならを言いに来てくれたのだ。と思った。
映画が始まった瞬間の、うおーフィルムだーーー!!!という映像。そうだよね、レッドフォードはざらざらしてなんぼよね!!(何それ)とか。
車の中から外にカメラが回り込んで、スモークの窓ガラスが下がって、顔がはっきり見えていくところとか。何が良いんだか分からないけど(笑)、凄くぐっときて天を仰いだし、馬に乗ったときに、ウールのローブを掛けてカウボーイみたいなシルエットになるところとか(サービス!!)。
あのレッドフォードも、このレッドフォードも全部スクリーンの中に居たし、それが今こうして幕を下ろすのだ。

エンドロールで、with Tom Waits の文字を観たときに、うあああーーー!!とやられてダメ押し。来週、もう一回観ると思う。