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『スリル・ミー』というとんでもない舞台を鑑賞してきた話(ネタバレあり)

こんにちは、はるりんpicです。
今回は数ヶ月ぶりに舞台の感想を綴っていきたいと思います。

前回記事にした5月大歌舞伎から今回までの間に
●新作歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐つきのつるぎえにしのきりのは×2 +大千穐楽ライブ配信
盛夏彩小鹿野賑なつのいろどりおがののにぎわい
(埼玉県小鹿野町の役場庁舎竣工記念で行われた尾上松也さん一門&市川蔦之助さんの歌舞伎公演)
●ミュージカル スクールオブロック
と舞台を結構見に行ってたのですが見事に観劇レポ記事にしそびれてましたorz

結論:全部面白かったです!(雑すぎ)
とうかぶは「歌舞伎を見た!」という感じで、初めてとちり列の花道横席で見られた上に(表情よりむしろ手元足元をガン見してしまった笑)、大千穐楽のカーテンコールでめちゃくちゃ良いもの見せてもらったし!
小鹿野の公演は見てみたい!と思った歌舞伎の演目増えたし、遠征したおかげで西武特急ラビューにも乗れたし!(※当方お鉄ではありません)
SORは念願の柿澤勇人さん・濱田めぐみさん・はいだしょうこさんの生歌聴けたし!
今のところ月イチペースくらいで推し出演作品を中心に舞台を見られてます。ありがたや。

んで。今回行ってきたのはコチラ。

外観、この角度からの写真はあんまり見ない?

東京・池袋にあります東京芸術劇場(以下・芸劇)に行って参りました。
芸劇は大学の式典行事以来。劇場の目の前は何回も通ったことがありますが観劇目的は初です。

劇場の入り口。
この日はホリプロの貸切公演でした。

演目はミュージカル『スリル・ミー』。
歌う松也さんを拝むべく行ってまいりました。

『スリル・ミー』の概要をざっくりと挙げるとこんな感じです⬇️

  • 出演者は2人の俳優と1台のピアノのみ、音もSE以外はピアノだけ(SE自体もそんなにない)

  • 上演時間は約100分、休憩なしのぶっ通し

  • 題材は1924年にアメリカのシカゴで本当にあった誘拐殺人事件

物語は、34年前に静かに遡っていく――。
監獄の仮釈放審議委員会。
収監者“私”の5回目の仮釈審議が進行中である。
34年前、“私”と“彼”が犯した犯罪。
19歳の“私”と“彼”。
ある契約書を交わした2人。
彼らに一体何が起きたのか。
“私”と“彼”
衝撃の真実が明かされていくーー。

ミュージカル『スリル・ミー』公式Webページ
ストーリー紹介 原文ママ

⬆️参考でWikipediaの記事のリンクを貼ります。
端的にまとまってるとはいえ結構キツイ内容なので閲覧注意。

なんかとてつもない仕様だし、予習代わりで基になった事件の概要をWikipediaで読んだらとんでもない事件だったしで、「これ見終わったら絶対もにょるやつだな…」とWikipediaを途中でそっ閉じ。
ネタバレもそれ以上はしないほうがよかろうとゲネプロレポートや他の方の感想に極力触れないようにして鑑賞に臨みました。

8月に行った『スクールオブロック』の物販で購入した
2014年版(尾上松也さん×柿澤勇人さん)のライブ音源。
購入までがもはや反射運動でしたが
ネタバレ回避のため早々にお蔵入り笑
※初見後ちゃんと聴きました。

なお今回の『スリル・ミー』は2回(9月24日、10月1日)、いずれも私=尾上松也さん・彼=廣瀬友祐さん・ピアニスト=朴勝哲さんの公演を1回目は後方列ドセン、2回目は7列目上手側から鑑賞しました。

⚠️以下、物語の核心に触れるレベルのネタバレあります。おまけですら地雷が埋まってます。
未鑑賞の方、ぜひ見てみたいと思っておられる方、余計な情報を得ずに鑑賞していただきたいのでこれより先は閲覧を控えることをおすすめします。

1回目:複雑で、ぐっちゃぐちゃな気持ちになった初めての『スリル・ミー』

舞台はピアノが『プレリュード(アンダースコア)』を奏でるところから始まります。
一音目から鳥肌がぞわわと立ちました。
舞台のPVや早々にお蔵入りさせたライブ音源で唯一聴いていた舞台の楽曲でしたがそれでも鳥肌モノでした。
始まる前から緊迫した空気感はありましたがピアノの音と共に照明が全て落ち、劇場の空気を掌握した感じがしました。

その中で、客席後方から俯いた姿勢で静かにゆっくりと舞台に向けて歩んでいく人が現れます。
(あっ、松也さんじゃん!)
と気づいたときには既に2〜3列先に行ってしまわれておりました。
なるほど、私が仮釈審議の部屋に向かうところの表現か。。。

そして衝撃はピアノに続いてもう一発。
松也さんが舞台の立ち位置に着いて発した第一声で飛んできました。

松也さん私「座ってもかまいませんか」

松也さん?!?!?!
声のトーン違う! 声低いし掠れてる!!
罪を犯し何十年も服役している53歳のおじさんの声でした。回想シーンに入る前のナンバー『隠された真実』もそのままのトーンで歌うからびっくりですよ。演技ってすごい…。

さらに不意打ちがこの後続いてさらにもう一発。

舞台が一時暗転して最初の回想シーンに飛びます。舞台が明転すると再び松也さん演じる私(19歳)が現れます。

が。
そこにいるのはニコニコしながらバードウォッチングをする純真そうな、けど久し振りに会う友人のそっけない態度にちょっと不機嫌な19歳の青年でした。

演じ分け凄っ!!
囚人ジャケット脱ぐのも早かったけどキャラの変わりようよ!!!
FFX歌舞伎のシーモアの回想シーンをちょっと思い出しました。

その後、廣瀬さん演じる彼も登場し少しずつ二人の運命が狂いだします。しかしこの冒頭から最初の回想までの一連の場面、2回目の鑑賞で見方が大きく変わった場面でもありました。。。(後述)

この廣瀬さんの彼がとにかく怖かった。
話し方が冷たいし言うことも冷酷で自分本位。
私みたいに表情の変化もほぼなし。
やたらとやる放火、窃盗、しまいには誘拐殺人と犯罪行為に走りまくる。解釈違いともとれるニーチェへの信奉も恐ろしかったです。
誘拐殺人の計画を立てるシーンで殺し方を叫ぶ台詞に「うわぁぁぁ!(ドン引き)」と露骨に顔をしかめてしまいました。そのあと絵面も想像しちゃって血の気が一気に引いたし。。。

一方で私も私でイカれてる人物でした。
最初は彼が好きでしょうがない、純真で一途な人だなぁって思ってたのに。

最終的に二人は殺人の罪で逮捕され刑務所送りになります。
護送車のシーンで語られた、誘拐殺人が完全犯罪にならなかった理由にまた「うわぁぁぁ((((((゚д゚lll)」と引いてしまいました。
私は目が悪いのか、眼鏡をかける場面がときどきあるのですが殺人事件後に無くしたことに気づき、のちに殺人現場で見つかります。
ただこの私の眼鏡、無くしたのではなく逮捕されて一緒に服役もしくは死刑になるためにわざと現場に置いてきた、というのです。

なにその伏線!!!
どこのVIVANT?! ←ちょっと違くねか?

このシーンで歌われる『九十九年』を聴きながらついに念願叶ったね…ってちょっと思いましたけど、その従順さはさすがに狂ってるでしょう…?!

劇場ロビーには可愛らしい公式グッズのディスプレイ。
たぶん ぬいの顔のモデルは名前バッジのとおり、
木村達成さん(私)と前田公輝さん(彼)だと思われます。

直接的な描写はないけど時々入る残虐な絵面を想像させるシーンや序盤からかまされるキスシーン(『スリル・ミー』は同性愛者の話でもあります)を見たり、それぞれに狂っている二人に感情移入したり、と約100分間だいぶ強い刺激を受けたので半泣きで鑑賞してました。
終わったあとも10分くらい手の震えが止まらなかったです。
家に帰ってからやっと2014年版のライブ音源を聴いて改めて反芻しましたけど、やっぱり複雑でぐちゃぐちゃした気持ちになりました。

2回目:「イカれてる…!」が止まらなかった東京千穐楽

ひとまず1回目でストーリーは把握できたので、今度は表情とかを注視してみようと思った2回目でしたが…

劇場ロビーに通してもらった頃から手の震え止まらん…! 何故なん…?((((щ(゚д゚;щ)))))))ワナワナ
松也さん・廣瀬さん・朴さん組が東京公演千穐楽だったからでしょうか。
1回目とはまた違うドキドキ感を持ちながら、1週間前に見たストーリー展開を再びなぞっていきます。

『隠された真実』を歌い終わる頃にオペラグラスで舞台を覗いたら松也さんの左眼から鼻の横にかけて光る筋が見えました。
もしかして、泣いておられる…?
そのあとも、『戻れない道』歌唱後とラストシーン(「これ以上、この話は…!」の台詞のあたり)でも鼻の下が光っているのが見えました。
松也さんの泣きの芝居、初めて見た…。グッときました。
特に『戻れない道』を歌い終えて鼻を拭いながら舞台後方に捌けていったときの背中が忘れられないです。

そんな過去を思い出しながら動機を語り始める仮釈審議のシーンから最初の回想シーンに飛ぶ、ギャップに撃ち抜かれた例の場面転換へ入ります。

彼に会えた瞬間、めっちゃニコニコ笑顔になる私。でもやっぱり自分を見てくれない彼に対して、私は「君のことを知り尽くしているのは僕だ、だから僕を見て!」と言わんばかりに『僕はわかってる』を歌います。

うん? ちょっと待って?
服役or死刑になってでも彼と一緒にいたい、一緒になって彼を自分のものにしたいからって
殺人事件を起こした時に現場に自分の眼鏡をわざと置いてきたんよね?
何ならさっきの『隠された真実』でもうすでに答え言ってますよね? 「彼と共に生きるため」って。

あ゛ーーーーーーーーーーーーーッ!!!!
最序盤にオチ言うてる!!!!
なんということでしょう!!!!!

一周回ってまた見てみたら新しい発見があった、とはよく言ったものです。えらいことに気づいてしまった。

そこから私に対して思ったことが初見時からガラッと変わってしまいました…。

『僕はわかってる』の途中でキスした後のニッコリ顔とか、バックハグからの軽いイチャイチャで恍惚な顔してたりとかのシーンは、
要望を叶えてもらって良かったねぇとは思うけど、けどよ?! 盲目的な「好き」って怖い、イカれてる…って思いながら見ておりました。

『スリル・ミー』の「さあ壊してくれ! もっと強くもっと!!」の歌い方も狂気の絶頂でした。。。千穐楽は気迫が特に凄かったです。

一番ヤバいと思ったのは最終盤、『九十九年』を歌うシーン。
実は自分がハメられていたことに気づいた彼と、ようやく彼を自分のものにできて嬉しそうな私の対比がゾクゾクしました。
彼「何もかもお前が、お前が仕組んだ」
私「一緒だね」
『九十九年』、特に⬆️この部分を歌うとき、廣瀬さん彼はすっごいドン引きしてる表情なんですけど松也さん私はめっちゃニコニコしてるんですよ。

怖い、怖すぎる。おっかないよぉーーー!!!

初見では彼が怖いって思っていましたがシンプルに言動が怖かっただけで、本当に怖かったのは私の心の内に秘めた想いでした…。
「好き」って気持ち、凄いね…(語彙力完全消失

それを演じる俳優・尾上松也もまじで恐ろしい…。
※褒めてます。推しだから、とかの好き感情抜きでゾクゾクします。

東京千穐楽はエネルギーに満ちたとても濃い約100分でした。ピアノの最後の音がやむまで拍手が起こらなかったので、劇場の空気は最後の最後まで緊迫してたんじゃないかって感じました。
カーテンコールもすごかったです。
後方席から「ブラボー!!」のコールがめっちゃ飛んでました。
ワタシもつられて「ブラボー!」「ありがとう!」って声をあげてました(^^;
それぐらい素晴らしい舞台でした。

ありがとう、『スリル・ミー』。

おまけ:雑感とコラボカフェと恒例になってきたアレ。

1)ちまちまとした雑感

●廣瀬さんのスタイルがめちゃくちゃ良い件について。
彼の初登場は最初の回想シーン、私の後ろをそろりそろりと歩きながら出てくるんですが廣瀬さんのコンパスがスッとしてるし長い。
あと身長がめっちゃ高い!
松也さんも身長が高いほうだと思うのですが並ぶと松也さんがちっちゃく見えました。
すごいなオーバー180cm…!

●なんか色気があった声
契約書へサインするのに指先をナイフで切るシーンと、事件後『超人たち』を歌うシーンで彼が鞭のように打ちつけたロープの音にビビって発した
松也さん私の「あっ」が、色気があったというかセクシーだったというか、なんかエロかったです。特に契約書のシーン。

●彼、放火しすぎ説
劇中で空き倉庫に火をつけて眺めるシーンがありますが、それ以外にも過去に牛小屋や資料室を燃やしたことが台詞に出てくるんですよね。
スリルを味わいたいからってどんだけ放火してるん…。

●契約書の文章
お互いの要求に応える、という文章を打ち込んだあと「あとは適当に、それっぽく」って彼は言うけど、どういうふうにまとめたんだろか。
契約書を書くぞってなった時も、契約すれば立場は対等だ、覚悟を決めてサインだって言ってるし。
もうこの時点で私の計画は始まってたんじゃないかなぁ…ってライブ音源聴きながら思い返しました。
互いの要求に応える、って書いたあと私に絶対良いように書いてそう。。。

●契約書といえば。(追記)
舞台冒頭の『プレリュード』、途中で『契約書』のワンフレーズ(契約書だ お互いの義務と要求を の辺り)が入ってる気がします。
えっ、もしかして初っ端オブ初っ端に伏線??

●他の俳優さんペアでも見たくなる
相方変わるだけでもかなり印象が違うので、全く違う俳優さんのペアだとまた違った『スリル・ミー』を見られるんだろうなぁ。というか見てみたくなりました。
誰かチケットください←

2)カフェのコラボメニューをいただきました

池袋駅の2b口(芸劇直結の出口)にあるカフェ「パティオ・ドゥ・メトロ エチカ池袋店」と芸劇2階のカフェバー「Cafe des Arts」で提供されていたコラボメニューもバッチリいただいてきました。

パティオ・ドゥ・メトロさんはタコミートドッグ。
セットにするとサラダと飲み物がついてきます。
観劇前のランチでいただきました
なーんにも考えずに取った席でしたが
松也さん×柿澤さんの舞台写真(中央と右上)が
飾ってある席を取ってました

どちらのカフェも店内には過去の『スリル・ミー』の舞台写真や複製パンフレットが展示されていて、店内BGMが劇中曲(ボーカルオフ版)になってました。

Cafe des Artsさんのコラボメニューは
出演者原案のカクテル。
こちらは松也さん原案のテキーラとマスカットのカクテル。
すっきりとしてて飲みやすかったです

カフェの雰囲気も良くって、劇中曲と出演者原案のカクテルを肴に舞台の余韻に浸れたのもよきでした。

3)例のアレ。

はい、今回も作りました。

全景写真
ジャケット&ネクタイオフ仕様。
ホンモノはボタン留めのサスペンダーですが
今後の衣装流用を考慮してクリップ式にしました。

私ジェラトーニさんです。
制作者は「いや、公式がグッズでぬいと俳優お名前バッジを出すなら自分ちのぬいに衣装作ってバッジつけるのもありでねぇかなと思って」などと供述しております。
ちょうど私服っぽい服も作りたかったとこでしたし。舞台公式TwitterXに上がった写真と初日舞台レポートの写真を参考に制作しました。
(ネタバレ拾わないように写真見るのが大変だった…)

劇場入り口を背景にパチリ。
ジェラさん曰く、カーテンコールでお二人がやっていた
砲丸投げのようなポーズを真似したそうです。
「待ってたよ…」
廣瀬さん原案のカフェオレカクテル
その名も「彼グラッセ」(写真のはノンアル)とともに
眼鏡がないとメニューが見づらいそうです。
(ちなみに眼鏡は舞浜海で売ってたダフフレ用伊達眼鏡)

ちょいちょいネタに走りました(滝汗
ジェラさん、普通のぬいぐるみサイズなので写真写りは最高なんですがやっぱり出すのは恥ずかしい…

今回のお衣装も『無料型紙工房ことろ』さんの型紙を使用させていただきました。拝借した型紙は以下の4点です。

制作期間は通算で9日ほど。今回はレシピ通りだったのでサクサクっと作れました。


東京公演が終わって10日ほど経ちますが(松也さん廣瀬さんペアの東京千穐楽は2023年10月1日でした)、未だに『九十九年』とか劇中曲が脳内BGMで流れたりするほど余韻がめちゃくちゃ長いです。
確かに見たら気持ちがもにょりましたがなんかクセになります。また鑑賞できる機会があればぜひ見たいと思います。今度は違う俳優さんペアのバージョンでも。

ここまでのご精読ありがとうございました。

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