『私の時間』(小説)②

 朝から長い水の糸がいく数にも空から降って来る雨は、すぐさま地面を水溜まりにした。
 今から中学校へ登校するというのにこの雨かと葉山真帆は落胆する。
 母が作ったまだ温かいお弁当を鞄に詰めて靴を履き、玄関の扉を開けると雨の湿気と雨を含む風が真帆の身体にまとわりついた。

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