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開発の経緯と開発コンセプト

開発に至る過程

「カード集計」はPython でプログラムを書き、2023年8月から運用を始めました。ChatGPTを利用すると格段に生産性が上がり初心者でも簡単なプログラムは書けることを実感しました。

本社より「案件管理で収益を明確化するように」との指示がありましたが、現状のシステムでは個別の案件収支管理ができないので、新たな収益把握システムを作らないと対応できないと考えていました。

会社の決算期が9月末で、事務職員の退社が確定していたため、10月から新たなシステムを稼働することにしました。
若手社員を中心に「自分達で事務処理も行おう」ということになり、当初はPCAの販売管理システムを利用しようと考えました。しかし、社員がPCAを動かして見て「とてもすぐには理解できない!」となりました。またインボイス制度への対応により客先からPDF請求書を要求され、PCAでは「デジタル押印」ができないことが判明したため、PCAの販売管理システムを動かすことを断念しました。

皆が使える道具はエクセルなので、これを使えば社員の作業付加もそれほどでは無いと考え開発方針を大転換しました。
10月に入ってからJDL出納帳(会計ソフト)へデータをコンバートしてCSVファイルによるデータ入力を主眼におけばなんとかなるかと考え、JDLへの取り込み用のデータ構造をGoogle で必死に探しました。やっと税理士の瀧本先生のブログを見つけ最大の課題を解決することができました。

「JDLIBEX出納帳のcsv入力用仕訳データについてですが、JDLIBEX出納帳のメニューの「サポート」~「操作マニュアル」で参照できるマニュアルの320ページに説明があります。」と瀧本先生から指摘を受けました。
ーーー 詳しく見ればよかったです。🫣 しかし瀧本先生とメールでやり取りができる関係になりネット時代の凄さを実感しました。「怪我の功名」と解釈しています。


「構造を変えなければ収益体質にはならない!」と本で読んだことがありました。さらに松尾教授の「究極的には1000人でやっている仕事が、数十人レベルでもできるようになるだろう。」の指摘を根拠に、「カード集計」のプログラムをChatGPTを利用してPythonで作り、大体Pythonが理解できたので、無謀にも「エイヤー」で初めて見ました。

開発コンセプト

・プログラムは、社員が直すことを前提に作成する。

誰もがプログラム・コードをメンテナンスできる方法が無いか考えていました。ChatGPTは「プログラムの解説」もしてくれます。「可読性」を高めてコードを書けば(これが難しいのですが)この「誰でもコードをメンテナンスできる」問題も解決できるだろうと考えました。

・分散して作業ができるようにする。

「2年以内に次世代が会社を経営する体制にする」が企業コンセプトになっており、若手中心に会社運営を行う体制を目指しています。企業規模が小さく伝票枚数も少ないので、事務量が増えた時点で社員の採用を考えることにしました。若手社員より「先ずは自分達でやってみよう。できる限り合理化しよう。」との話が出ましたので、退職した事務員の補充は行わないことにしました。
事務処理の全体像を皆が理解し、役割を認識し、他の業務への影響を理解する。新たな時代の「分業」を再構築することを目指しました。

・アジャイル開発で行う。

国も「アジャイル開発」をDXのキーワードの一つにしています。アジャイル開発の本質は「過去の知識の再利用」だと考えています。再利用できるものがなければ「アジャイル開発」は不可能です。ただし問題もあります。トラブルが発生した時の助けとして「高度のエンジニアの知識」が必要です。Python でプログラムを書く程度でも、モジュールがインストールできない場合などChatGPTの回答が理解できない場合もありました。

Python を触って見て、モジュール化の威力を実感しました。言葉では、「プログラムの再利用だ」「オブジェクト指向だ」「クラス化だ」と騒いできましたが、実際に手を動かして見て時代の進化を実感しました。プログラムは、形式値の情報であり、情報の蓄積が競争力の源泉になることを実感しました。「AppleやGoogle、Teslaにキャッチアップするのは大変だ」との考えです。
モジュール化までとはいかなくても、データをエクセルに展開する場合やフォルダー内の対象ファイルを読む方式など、コードの再利用の方法も幾つかあると考え試しています。

・疎結合のシステムにする

システム全体を「何時でも状況に合わせて変化出来るようにする」ためにはシステム自体も「モジュール化」が必要です。何時でも取り替え可能な会計のパッケージソフトを核にしました。「たくさんのユーザーがいるのでバグは無い」。さらに運用形式が確立されているので他のパッケージソフトに「取り替え可能」これが理由です。
社外のデータ(CSVやPDF)を最大限利用する。銀行やカード会社が作成したデータは少なくとも我々より圧倒的に信頼できます。この信頼を利用することは必要です。社内ではコストを掛けていませんのでその分ミスが発生するのは当然で、ミスを発見するシステムを作れば良いとの考えです。全自動にすると「システム全体を信頼する」ことになり「誰も分からない事態」になります。

・会計システムの運用は、できる限りCSVデータを取り込む方式にする

「腹式簿記」は、企業の税務申告には欠かせません。
しかし、「腹式簿記」は一つの伝票で二つの要素(取引)を記述する特殊の形式で、原理は理解していても、実際に振替伝票を入力するときには、頭を切り替える必要があります。私でもこれで合っているのか不安になります。この頭の切り替えをその都度社員に求めることは時間の無駄です。できる限り誰でも出来るように自動化することは必要と考えました。

・課題

JDL会計ソフトへのデータの二重入力がありました。
「現実の運用の問題」だと考えています。
「トラブルは有る。走りながら修正していこう!」で対応しています。

普通預金のエクセル表からJDL対応の振替データの生成は動かしていません。
買掛金支払や給与支払など一括記帳との対策を考えています。
これらは銀行のサービス体制とも絡むと考えています。

感想
2ヶ月運用し「プログラムは正しく動くものだ!」と作った本人が驚いています。

実証実験をしている会社

株式会社ATL-KYOEI です。主な業務はプロ用の音響機器の設計・開発・製造、ホールなどの音響機器の設計・施工・調整、ネットワークの設計・施工などを行っています。ネットワークの設計は、文字情報だけではなく、映像、音声などを流すことを主眼においています。年商は2億円台で社員(役員・嘱託は除く)は5名です。

引用

東大松尾教授が語る 「生成 AI の衝撃」 日本の”失われた 30 年”は取り戻せる?
「まず企業内で社員が使える生成 AI 環境を整備し、さまざまな文書を検索できるようにした上で、ChatGPT で活用できる仕組みを構築しましょう。さらに業務に踏み込んで、自社で効率化できそうなアプリを LLM で作ってみると良いでしょう。同時にシステムやデータベース周りも見直し、コスト削減や付加価値につながる DX を実現していく一連の流れをつくってください」とアドバイスしています。
・・・
究極的には1000人でやっている仕事が、数十人レベルでもできるようになるだろう。
2023/08/24 の記事
https://www.sbbit.jp/article/sp/120307

高機能な命令語や記述方法はChatGPT に問い合わせをすればすぐに回答が返ってきます。生成AIは「必要なことだけを知りたい」との横着な精神の持ち主には最高のツールだと感じました。
養老孟司の「情報は止まっている」を実感しています。止まっているから蓄積できる。どのように蓄積していくかが肝で、日本はこの方向性を間違ったから30年遅れたのではと考えています。


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