ハルノ

海外在住ライターです。オーストラリア、アイルランド、と渡り歩いていまはロンドンで生きて…

ハルノ

海外在住ライターです。オーストラリア、アイルランド、と渡り歩いていまはロンドンで生きてます。

マガジン

  • 旅エッセイ。どこでなにを考える?

    旅中に頭に思い浮かんだことを並べています。

  • いま贈りたいアート

    あなたに贈りたいアート。 デジタルアート、絵画、デザイン、ファッション製品、映画、音楽など幅広く、私が好きになったものや世の中にもう少し広まってほしいな、と思うものなどを微力ながら紹介していきたいと思います。

最近の記事

冷房すらないロンドンに何故私は帰るのか

2019年の1月にロンドンに経って以来、日本に帰ってきていなかった。そのため、コロナが落ち着いてきたタイミングと私のビザが切れる時期が重なった9月に一時帰国をすることに。実に、1年8ヶ月ぶりの帰国だ。 関西空港に到着した私を、家族全員で愛知から迎えにやってきてくれた。新型コロナのせいで公共交通機関は使えない。帰国して2週間は外界との隔離となった。帰国の間は実家にお世話になる。私の同僚がある日、I feel like 2020 was robbed by Covid. (20

    • 2時間遅刻してくるイギリス人と定時で帰れない日本人

      ロンドンにある今の会社で働き始めてから8ヶ月ほどが経った。せっかく国際色豊かなロンドンにいるのだから…との考えから多様性のある職場にいる。「色んな国出身の人と話をしたい」という夢も叶い、毎日楽しく仕事に向かっている。 多国籍な私のチームにはイギリス出身、イギリス育ちのギャルがいる。気が強いなぁと思うこともあるけど、優しくて礼儀正しいし、パーティ好きで派手だけど、誰にでもフレンドリーなところに好感が持てる。ギャルが死語かどうかはこの際どうでもいい。 そんな私の同僚の彼女は、

      • 一目惚れのような恋に落ちなくても

        数ヶ月前に入社した同僚を混じえて、チームの同僚たちと一緒に数人でランチをしていたある日のことだった。新人の彼女がチームの一人に、ロンドン育ちなのか質問した。ロンドンにはいろんな人がいる。色んな人というのは、内面的なこともそうだけど、外見的に色んな人だ。多方面から人がやってくるロンドンという街では外国人という枠組みが曖昧になる。私が一緒に働いているのも、出身地がバラバラな人たちで構成される多国籍なチームである。 「ロンドンにきて4年が経つかな。大学院のタイミングでこっちにきた

        • #映画メモ "Marriage Story" / 「マリッジストーリー」

          Marriage Storyを観た。 映画館に貼られたポスターや、Netflixから送られてくる通知でこの映画の存在は知っていたんだけど、「まぁ観てみるか、そんなに良いのなら。」っていう感じで大して気にも留めてなかった。時間ができたのでちょっと観てみたら、大当たりだった。 こちらトレイラー。 ベリーショートの髪型が似合うスカーレット・ヨハンソンがくしゃっと笑い、小さな子供と夫らしき人と一緒に写るそのポスターからは、幸せそうな家庭が想像できる。夫らしき人はアダム・ドライバ

        冷房すらないロンドンに何故私は帰るのか

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        記事

          2020年にすること

          抱負と言っては何なのですが、今年は美術館や展示会、映画やコンサートなど、触れた作品に対して感想や紹介をしっかりと書いていきたいと思います。 最近は何かを観たあと「よかったな〜」で終わるのではなく、作者のウィキペディアを読んだり、SNSをフォローしてみたり、他の作品がどこにあるかを調べたりするのが習慣になりつつあります。 先月は調べた上で、感想を交えたエッセイを一つ書きました。アジカンのライブを観たあと、バンドが影響を受けたというOasisの曲を聴きたくなった、ということが

          2020年にすること

          アジカンがOasisに憧れたように

          長蛇の列ができていた。寒空の下、パブの地下に設けられたライブハウスに向かって多くの人が列を成している。 遥々とロンドンまで東京からやってきたASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアン・カンフー・ジェネレーション)をみるために、色んな国からやってきた顔が並ぶ。 私の前にはフランス語を話すカップル、後ろに続くのはスペイン語を話すグループ。先の見えないこの長い列はきっとバンドメンバーの目には写っていない。 アジカンと略されるそのバンドを私が真剣に聴き始めたの

          アジカンがOasisに憧れたように

          部屋の外に一歩でてみると、氷のような透明な冷たさが服越しに肌に伝わる。 ぱりっとした澄んだ空気。呼吸に合わせて白く浮かぶ息。刺さるように頬に吹く風。 冬だ。 朝の靄がかかったようなふわりとした光の中を歩く。まだまだ準備不足な格好の私は少し早足になる。 周りを見ると、触り心地の良さそうなマフラーにダークカラーのブーツ。何にも覆われていないそのままの指先は次第に冷えていく。夏の名残など感じさせない。 コーヒーを両手で包み、体温を取り戻していく指で冬を意識する。ロンドンの

          私達にしか理解できない、隠されたコード

          海外に住んでいて日本の文化に触れると、隠されたコードを解読したときのような、ハッとする瞬間に出会うことがある。 最もよく覚えているのは、友人と『となりのトトロ』を観ていたときだ。サツキとメイの家の床下が映るシーンがあった。メイが庭に現れた小さなトトロを追って、床下を覗く。一瞬だけ映ったそのシーンで、友人は気に留めなかったが、私には強く印象が残ったものがある。薄暗い床下で光る、ラムネの瓶だ。 『となりのトトロ』では、青々とした森、スコールのような通り雨や、井戸水で冷やされ

          私達にしか理解できない、隠されたコード

          不思議な味の氷がつくった私たちの夏の記憶

          夏を思い出そうとすると、蝉の鳴き声が脳内に響き渡り、暑さで湯だった田んぼのにおいが鼻につく。田んぼに張られた水は、カンカンに照る太陽で生温かくなり、土と草のにおいが混じって蒸発していた。 植えられたばかりのまだ背丈が低い稲が並ぶ、まばらな緑色の水。それを横目に、自転車で駆け抜けていくあの頃の私は、まだ小学校2年生か3年生だろう。プールの用意を水を弾くプラスチックのカバンに詰めて、水着の上から洋服を着て、暑さの中懸命に自転車を漕いでいた。自転車に乗るときはヘルメットを、という

          不思議な味の氷がつくった私たちの夏の記憶

          だからお前は成長できないんだってば

          英国時間午前4時半、私はロンドンの街中で途方に暮れていた。 空港行きのバスが停まるはずの道路は工事で封鎖されていて、一向にバスが来る様子を見せることない。玄関を出た時は空はまだ薄暗かったのに、次第に夜は明けて朝日が街を照らしだしている。 飛行機の時間は午前8:00。空港に着いていなければいけない時間は次第に迫ってくるのと裏腹に、バスがやってくる気配は全くない。どうにもこのままではヤバイ気がするが、どうしたものか。 とは思いつつ、何となく体は次のアクションを起こすのを躊躇

          だからお前は成長できないんだってば

          普通

          平成最後のあの大晦日は、友人のスマホが鳴り止まない、2人で居るのに1人を感じるカフェでのブランチから始まった。 航空会社で働くその友人は、「普段はこんなに忙しくないんだけど」と言いながら、休みに入る前に犯してしまった大きなミスをカバーするべく、話の最中にメールチェックをしたり、電話で席を外さなくてはいけなかった。彼女を否定する気はない。私もこうやってiPhoneを開いては文章を打ち込んでいるのだから。 クリスマス前にヨーロッパから帰国して、暫く会っていなかった友人を訪

          英語を話すことが好きで好きで好きで #とは

          貴方にとって英語ってなに?授業科目?ビジネスツール? 英語、好き?私は好き。 英語を話すことが得意な人であれ、苦手な人であれ、英語を話すということはただのツールにしか過ぎない。 グローバル化に適応する為に、英会話教室に通うのをなんとなく社会に強いられる。でも、英語を学ぶことはそんなものの為にあるわけじゃない。(と、私は英会話教室のゴリゴリに押してくる広告をみるたびに思う。) もちろん、英語を話せることができたらビジネスに役立つだろう。でも、人生はビジネスだけじゃない。

          英語を話すことが好きで好きで好きで #とは

          私の未来を加速させる最悪な金曜日

          鼻の下がヒリヒリする。 仕事終わりの電車に揺られてる時に気づいたそのヒリヒリは、私がオフィスで号泣した本日、固めのティッシュで鼻をかみすぎた為にできた痛みである。 研修期間である4週間の最終日だった今日は、入社からコツコツ積み上げてきた私の微々たる自信を綺麗に粉砕してくれる「最悪な金曜日」となったのであった。 この4週間でいろんなことが起きた。 海外移住を目指している私は、とにかく会社からのVISAを求め各国を練り歩いている。今の勤め先は割と名の知れた大きな会社だし、

          私の未来を加速させる最悪な金曜日

          ピントがズレたのは、私達が大人になったから

          朝6時、ロンドン。ルームメイトがバタバタと身支度をする音で意識が目覚める。 頭も体もまだ眠っているため、すぐに眠りに戻ろうとするけど、戻った先は物凄く浅いところで、それが自分の意識の中なのか、はたまた夢なのかは判断がつかない。 そんな”浅いどこか”で、最近よく出くわす二人がいる。遠い昔に仲が良かった人たち。 仲が良かったと言ってもそのうちの一人は、私が昔お付き合いをしていた人だからまた関係性は違うのかもしれないけど、とにかく二人とも私にとって近い人だった。 三人で仲が

          ピントがズレたのは、私達が大人になったから

          慣習に願いを、初詣。

          手を合わせて始まる沈黙。頭の中に浮かんだのは南無阿弥陀仏だったから、「あれ?違う」と思いかき消した。 家のすぐそばの神社に行ってから、車に乗って近所のもう少し大きな神社に移動する。2つの神社を回るこの初詣ルートは我が家の伝統だ。 願ったのは健康と世界平和。 毎年願うことは一緒です、効果の程は不明ですが。 おみくじは引かなかった。残り364日もある、今年がどうなるかなんて一枚の紙に判断して欲しくなかったし、何より15分後には何を引いたのかなんてきっと覚えていない。

          慣習に願いを、初詣。

          アートな何かを紹介するマガジン「いま贈りたいアート」始めることにしました。

          最近、洋服を購入することができなくなってきた。 それにはいくつか理由はあるのだが、決してファッションが嫌いになったとかそういうことではない。旅行に出かけるたびに、美術館は必ずリストの中に入っている。アートには興味がある。心に決めた好きなアーティストもいる。アートやデザインだけでなく、音楽や建築など一括りにしてしまえば「アート」であるものは全部好きだ。好きだからこそ理解をしたいとも思っている。 ファッションももちろんその一つ。着ている服は間接的にその人の人柄や思想を表すし、

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