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#映画メモ "Marriage Story" / 「マリッジストーリー」

Marriage Storyを観た。

映画館に貼られたポスターや、Netflixから送られてくる通知でこの映画の存在は知っていたんだけど、「まぁ観てみるか、そんなに良いのなら。」っていう感じで大して気にも留めてなかった。時間ができたのでちょっと観てみたら、大当たりだった。

こちらトレイラー。

ベリーショートの髪型が似合うスカーレット・ヨハンソンがくしゃっと笑い、小さな子供と夫らしき人と一緒に写るそのポスターからは、幸せそうな家庭が想像できる。夫らしき人はアダム・ドライバー。笑うスカーレット・ヨハンソンのこめかみにキス。結婚生活、幸せの絶頂を切り取ったような写真だった。

実際の映画は、ポスターが演出しているようなハッピーな生活を描くものではなく、苦しみフルスロットルな離婚の話。プロットだけを目で追ったらきっとつまらない、どこにでもある『普通』のストーリーだけど、これが俳優たちの演技と、ノア・バームバック監督のディレクションで、壮大な人生ドラマになる。スカーレットヨハンソンはアクション映画でしか観たことなかったから、すごいギャップだったけど、SFであの演技をできるからこそ、普遍的なストーリーで際立つのだろうな、とか思った。

苦い苦い、痛々しい離婚プロセスの渦中でも、振り返る結婚生活や、ひとの温かみを感じていくことを、この作中では描かれてる。クスッと笑えるような場面もあるけど、離婚のどん底感と、幸せがうまく噛み合わないその不完全さがリアルすぎて終始辛かった。タイトルがDivorce Story(離婚の話)ではなく、 Marriage Story(結婚の話)ということから、離婚は結婚の一部なのかもなぁとか思ってしまう。

離婚するからといって、それまでの思い出が消えた訳でもないし、愛情が消えた訳ではない感じが新鮮。でもリアルな離婚ってそうなのかもしれないね。全く愛情がなくなった訳ではないけど、なんかもう上手くいかないこのままじゃって感じで…。どうにかするしかなくて、行き着いたのが離婚だったみたいな。


こっから先はちょっとネタバレかも ----------------------------------------




私は女なので、どうしても自分の立場に置き換えやすい女性視点で物事をみがちなのですが、スカーレット・ヨハンソンが演じるニコールに同情してしまう。結婚生活の中で我慢することが多かった彼女に同情。だって、実際女の人が我慢してることの方が多くない?特に日本にいたらさ。結婚しょっぱなから、なぜ自分の名前を捨てて、自分が住んでいるところを捨てて、全てを旦那のために捧げるような風習がいまだにあるのだろうか。

舞台はアメリカなので、法制度的に離婚して立場がよくなるのは女の人。子供が夫と会えなくなるのも、まあ知ったこっちゃないよって感じなのかな。子供が彼に会いたいときだけ、会えればいいんじゃないの?って感じがみてとれた。

弁護士が提示する条件で、追い詰められてく夫はなんだか苦しそう。でも、離婚で相手を苦しめたい訳じゃないけど、これまでの「なんで分かってくれないの」が弁護士が提示する条件として表されていっているんだな、とスカーレット・ヨハンソンの演技から伝わった。

壊れてしまった人間関係だからこそ、自分たちで解決することなく、どこか冷静になって線引きをしてくれる人が必要なんだなぁとか思いました。(弁護士のこと)


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ハルノ
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