【短編】92年の短い生涯
目が覚めると、一面を白い壁で覆われた6畳ほどの部屋にいた。窓もドアも照明も見当たらない、無機質の象徴のような部屋だ。にも関わらず、部屋の中は蛍光灯に照らされたように明るく、室温は温度という概念を忘れるほどに適温だった。部屋の中央には同じく無機質なベッドが一台だけ置かれていた。男はその上で仰向けのまま眠っていたらしかった。軽く状態を起こしてみると、どうやら見たこともない衣服に身を包んでいることが分かった。エメラルドグリーンのような色合いで、妙につるつるとしており、首から足首まで