若者たちは村に帰っていった
先日、エアコンの清掃をした。ヤンゴンではエアコンの稼働率が高いので、1年に1度程度クリーニングや点検が必要だ。いつもの会社に電話すると3時間後にやってきた。
来たのは会社のオーナー社長と30代と思えるスタッフが一人だけだった。今までは20代前半の若者たちが5〜6人やってきて、元気よくさっさと仕事を済ましてさっさと帰っていく。ところが今回は社長と30代と思えるスタッフだけだったので、けっこう時間がかかった。
二人だけということに私は特に気にしていなかったが、クリーニングが終わるころスタッフの話題になった。
「若いスタッフがみんな辞めて田舎に帰ってしまったんだ」
と、驚きの言葉。彼らはみな同じ村の出身で、一斉に会社を辞めて村に帰ったという。
ミャンマーでは同じ地域の出身者で従業員を固めるというのはよくある。社長と同じ出身地というのが多いが、彼の会社の場合は社長の出身地とは関係なかった。同じ出身地からの従業員が多いというのは信頼の問題だ。全然知らない人を雇うより、すでにいる従業員から同じ出身地の人を紹介してもらったほうがより信用できるからだ。
ところが、この信頼できるスタッフたちが一斉にやめてしまったのだ。理由を聞くと、もっと驚きだった。村が軍に襲われたからだというのだ。彼らはザガイン地方のとある村の出身だが、この村が軍に襲われ村人たちは村から逃げ出したという。自分たちの村が大変な事態になったということで、彼ら若者たちは全員村に帰っていった(といっても、村には軍がいるので村には住めないが)。彼らは地元に帰ってからPDF(People's Defence Force / 人民防衛隊)の隊員として軍と戦う覚悟だという。今、彼らがどうしているかは全くわからない。彼らの村やその周辺では携帯の通話もインターネットも全て軍により遮断されているからだ。
次のエアコンの清掃は来年だ。1年後に若者たちが元気にクリーニングにやってくることを祈る。
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