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詩『黒猫の哲学』

世を儚む桜の木の下

大きな疑問符を高々と掲げて

黒猫が一匹、鳴いた。


「やい永遠の刹那主義者。

 お前はまたそうやって

 勝手に散って逝くのかい!

 まあ悪かねえだろうさ、

 何も持たずに

 老いさらばえるのも。

 簡単さ、何も持たずに生きるのは。

 問題はいつだって、

 一度手に入れたそれを捨てる方法だよ。

 やい永遠の刹那主義者。

 お前にゃどうせわからんさ!」


その様子を見て老夫婦、

雲ひとつない空の下

幸せそうに微笑んだとさ。

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