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【本】関わりながら老いるーへろへろ

一時、こだわりの本屋などで見かける、「ヨレヨレ」という雑誌があった。

そのヨレヨレという雑誌は、「宅老所よりあい」という、福岡の介護施設から生まれた。
その編集を手掛けた著者による、ヨレヨレができるまでと、よりあいが、特別養護老人ホームになるまでのことが描かれている。

かたい本じゃなく、めちゃくちゃ面白いです。


この本を読んで、高齢化社会で福祉がビジネス化してきて、貯金をすることで老後の人生への安心を担保する。当たり前に思っていたけど、この本を読んで、ほんとに変な世の中になってるんだな、と感じてしまった。

一人の困った人がいる、何とかするために動く

それだけのことが、多くの人を動かし、関わり、つながっていく。
そういう関係性から、自分の生き方や死に方が見えてくる。
それって、本当は今まで、当たり前にみんな家族や地域コミュニティの中でやってきたことだったんだろうか。

でも、福祉のあるべき姿、など理想を語る本ではない。
泥臭い資金集めや、運営事情まで、(シビアなことももちろん多いのだろうけど)明るく楽しく描かれている。

運営にはもちろんお金がいる。でも、お金は手段であって、目的ではない。
よりあいを立ち上げた下村さんの言葉で、テレビ出演で寄付を集められるかもしれないときに言ったセリフがある。

そんなものを利用して集めたお金は、自分たちで集めたお金とは言わない。
自分たちで集めたと胸を張って言えないなら、そんなお金にはなんの意味もない。
意味のないお金でどんなに立派な建物を建てたって、そんな建物にはなんの価値もない!

その言葉で、お金に対する価値って、1円が1円としての価値と換算できるものではないんだな、と思った。
資金を集める手段として、バザーを開いていることも、講演を行うことも、結果コミュニティの形成がされたり、関りを持つ人が増える。
関りを持つ人が増えることで、当事者として、自身の老後や福祉のあり方を考える機会が増える。

なんだか、そうやって、お金を集めることで、
お金には替え難い価値を生み出しているのかもしれない。

さて、自分は老後の資金を貯蓄することで、老後が楽しみになるだろうか。

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