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【イベント】[今]を知り考えるーTHE M/ALL

様々なクリエイターたちが参加して、社会的メッセージを発信するTシャツを企画販売している、THE M/ALLの、イベントが渋谷で開催された。

ライブやトークなどのプログラムを通して、社会課題や現状について考えるきっかけを作るイベント。
クラウドファウンディングや、現地でのドネーションによって入場無料で、誰でも参加することができる形になっていた。

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会場内では、香港のデモを切り取った写真展や、韓国のZINEを販売もしていた。

トークプログラムを2つ参加して、ライブをいくつか見てきた。

1つ目のトークイベントのテーマは
「新税制を生き延びろ!! 生きるためのお金の話」
増税について、報道ではどう’お得にやりすごすか’ばかりで、建設的な話がなかなか出てこない。
そもそも何のために税金があるのか、税金を払うことに対しての抵抗感はどこから来ているのか、税金を払うことで受けられるべきサービスが市民に開かれているのか、弁護士の竹内彰志さんが解説をする形で、登壇者・来場者と共に議論をした。

課税の方法は問題点はたくさんあるけど、税金の使いみちに対して具体的に個人が恩恵を受けている実感がないからそこにお金を払うのがいやだなと思う感覚がある。例えば生活保護などは、誰でも受けることのできる権利だけれど、自己責任でなんとかしろという空気感など、相互扶助の考えが薄くなっているにも関わらず課税義務だけがのしかかるような気分になる。
じゃあ、こういうところに回すなら払う意味あるな、って思える税金の使いみちってなんだろう。それを知るためにはどうしたらいいんだろう。
パブリックコメントや、地域の議員さんに話してみる、など、そういうことから個人が要望できることもある。
その他、フリーランスに関わってくるインボイス制度の話。


いま社会に蔓延している、
みんなが安心して暮らせる社会を作るために、生活を守るために、税金を集めているのに、「税金が上がることによって圧迫される生活を守るにはどうする」
って議論は一体何なんだろう。
税金を上げることに対する議論、使うことに対する議論が抜け落ちたまま、どうすればお得にやり過ごせるか、個人間で話せる話題がそんなことでいいんだろうか。

登壇者のさよならアーティストさんが、じゃあ、どうしていけばいいんですかね?って疑問を投げかけたときに、司会の方が
大きくなにか発信する、とか動く、とかそんな大きな行動をしようと思わなくていい。小さくでいい、となりの人と話してみる、というのが大事。
と言っていて、すごく腑に落ちた。


2つ目のトークは、
「韓国・日本・移民・ヒップホップ」
韓国人で日本で活動しているMoment Joonさんをライターの磯部涼さんがインタビューする形で進められた。
その前に別会場でライブをしていて、見ることができなかったのだけどとても良かったみたい。

韓国との今の関係、徴兵から見えてきたこと、表現者としての立ち位置。
在日である、移民である、出身、いろんな立場や差別体験にもレイヤーがあって、一言で定義づけることはできない、個別の思いや経験を、音楽を通して伝えていくことの意味なども。

購入できてないけれど、話題になっている河出書房の文芸誌、「文藝」で自伝小説を掲載していて、生い立ちから見えてきた父権主義などの内容についても語っていた。

1時間の中で、めちゃくちゃ濃い重要なキーワードが多く、もっと知りたいと思ったしライブも見てみたい。
すごく頭の回転が早くて、ものすごく自分と向き合い言葉を紡いでいる人だと思う。

最後に来場者に対して、来ている人自身の自分の考えや活動が、メインストリームではない、と思わないでほしい、自分がやっていることが世界の中心で、真ん中に立っていると自信を持ってほしいとメッセージを伝えていた。

トークは配信されているのでぜひ。

ライブもいくつか見たけれど、かっこいい女の子がめちゃくちゃ多かった。
トークと同時進行なので、見られないのも多かったし、入場規制で入れないのもあったけど、なみちえ・machìnaを見て、数年で時代が変わったんだなと思った。
クラブのステージに立つ圧倒的に少数派の女の子、としてもてはやされる代償に、アイドル的役割を押し付けられるような(客側からはそういう見え方がするシーンが多かった)「女性アーティスト」から、意見を言う・自分がかっこいいと思えることをやる・媚びないかわいさ、みたいなものを垣間見える「表現者」としての女の子たちがたくさんいることが分かった。
観客側は男の子が多かったけど、聴く側にももっと広がっていけばいい。
もう、「女の子なのにそんなの聴いてるの?」と言われる時代は終わった。

1日目しか見に行けなかったけど、短時間でギュッと今の社会や雰囲気がわかるイベントだった。ネット上で辟易するようなことしか流れてこないタイムラインを見ているより、実際に外に出ると多くの人に勇気をもらうし、たくさん感じることがある。

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