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花に埋もれて【シロクマ文芸部|企画「花吹雪】参加記事

#シロクマ文芸部  お題「花吹雪」から始まる 参ります。

4月のシロクマ文芸部・参加作品は「同一人物」で連作的に綴っております。これまでの作品は以下より👇



花吹雪で一瞬、呼吸が止まった。実際には止まりそうになった、と表現すべきところなのだが、私としては確かに止まったのだ。

凄い。

見上げた夜空に桜がまたたいている。
今、私たちがしているこの状況は他人ひとに見られたら少々、いや、かなり恥ずかしいものがあるのだけれど。この圧倒的な美しさ、生命がもたらす美、その波に打たれた今はどうでもよい気がしていた。

「スゲーだろ?これも見せたかったんだ……ところでさ、直美。夕方に呼び出して悪かったな。予定のキャンセルとか、させてないよな?俺が誘ったせいで」

「いーよ、雅也が気を使うことないし。急ぎの予定もなかったし。気を使われたら、桜が一斉に散ってきそうで怖いわよ」

そうしたら、私たちは桜にうずもれるのね。私がポツリと独り言のように付け加えると、雅也が「ばーか、その前に脱出するわ。直美を連れて」と言って笑った。

私は左手を伸ばして、薬指をピンと張った。

雅也の親指と人差し指が輪を作り、私の薬指を包んだ。


「さーて。そろそろ帰りますか。本格的に暗くなったら冷えるし危ない。立てるか?直美」

その言葉と共に開いていく仮初めの輪、その温もりが嬉しくて少し淋しかった。私たちは、公園の中程にある芝生に寝転がっていた身体を起こした。雅也の右手が私の左手を包む。その五指に、私は自分の指をそっと絡めていた。

風車の街から帰ってきた3日後、相変わらず唐突に誘われた、夜桜見物での一コマだった。


拙稿題名:花に埋《うず》もれて
総字数:610字(原稿用紙1枚半弱)

よろしくお願い申し上げます。


雅也と直美のイメージ。高校ではクラスメート、大学時代からは悪友、という設定です。1話で雅也が会社ではなく「バイト行くわ」と言っていますが(年齢的な)タイムラグは最終話で回収予定です。MicrosoftCopilotによるAIアート。


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66ライラン、19日目です。


拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。