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【本紹介】アートとしてのカウンセリング入門③
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カウンセラーの声、呼吸、姿勢
カウンセリングは身体的な技芸
カウンセリングはアタマばかりでするものではない
自動車の運転と同じ
カウンセリングの学習には生きた人間を相手にした体験が必要
生活の中での試行錯誤(生活の中での実習)をした人も上手くなる
→書物ばかり読んでいてカウンセリングがうまくない人は、運転の仕方について書物ばかり読んでいて運転をしない人と同じ
カウンセリングにおける知性は、無自覚的に・非言語的に・具体的な行為に体現されて姿を表すような、そういう知性→演劇的知
声の重要性について
カウンセリングにおいて、言葉の内容よりもその言葉をのせている声の方が遥かに大きな影響力を持っている
これは、発表者の声の魅力でそれなりの説得されてしまうことがあったり
歌詞はそれほどでもボーカルの声に惹きつけられる歌と同じ
カウンセラーの声にクライエントに対する思いやりや気遣い、慈しみ、優しさなどが宿っていれば、言葉の意味内容とは全くかけ離れた次元で、Clには自分の存在を肯定する暖かなメッセージが伝わる
カウンセラーはカウンセリング中の自分の声について繊細な注意を払う必要がある
姿勢を整え、呼吸を整え、余計な筋緊張を解く
→Clがカウンセラーに共感的に理解されたと感じる時はカウンセラーの声がふさわしい情感を伝えるものであるとき
心が共感的でも、それが声に豊かに表れていなければ、伝わらない
声の可能性を知る
声の表現における5つの要素
大きさ、高さ、はやさ、間、声色
+α 抑揚
会話における自分の声、相手の声をよく観察する
聴き手は相手の声に自分を開き、どんな感じを引き起こすとしてもその感じを味わうように聴く
話の内容も聞きながら声も聴くよういう2つを両立させる
※いろんな声で台詞をいうレッスンをしてみるのも良い
対人関係学派のサリヴァンは、カウンセリングは音声的なコミュニケーションの場なのだと述べた
さらに声について知る
声は声帯からでるが、それをいろんな部分で共鳴させている
音量自体を出すことより、喉や胸の力を抜いてリラックスさせていい響きをつくることの方が重要
→穏やかで深い声にはリラックスした身体が必要
リラクセーションの方法を学び、深い呼吸と負担をかけない筋緊張を緩めることを行うとよい
呼吸について
声を豊かにするには呼吸を豊かにすることが必要
優れたカウンセラーは、緊張感をはらんだ面接場面においても深くゆったりとした呼吸をしているのではないか
※へそから拳一個分下の下腹を意識して、息を吸って吐くという腹式呼吸を実践すると、少々のことで動じない精神的強さを身につけることができる
姿勢について
長時間CLの話を聞くときであっても、姿勢を固定しないことが大切
面接中の自分の姿勢に繊細な気づきを持てると良い
頭の良い知的な人は要注意
実践することが大事だと理解することと、実践することは別のこと
→理解を体現した存在として生きること!
カウンセラーの話す技術
カウンセラーも話す
カウンセリングはClが話してカウンセラーが聴くだけではない!
大事なのはバランスであって、カウンセラーも話す
聴くことは情報の受け手になること?
カウンセラーがClの話を聴いている時、実際はカウンセラーが情報を発している→ほんの微かな表情の変化、頷き、視線の投げ方、姿勢の変化など
変化はCl自身の中から生じてくるからカウンセラーは聴くだけでいい、カウンセラーはClに影響を与える必要はないという見方は、Clの人生に重大な影響を与えることへの不安がある
「聴く」と「話す」は想像以上に連続性がある
カウンセラーの言葉の技術 サリヴァンの考え
言葉の言い回し次第で、同じことを伝えようとしても効果は全く異なる
サリヴァンは、カウンセリングにおける言葉の重要性について
「言葉はセラピストの仕事道具なのだから、心理療法の教育には言葉の最も有効な使用法に注意を払うことが含まれているべきだ」
と述べている
Clの自尊心が傷つかないような話し方
Clはちゃんと考えて問題に取り組んできた存在であって、聴くべき考えを持っている存在なんだという姿勢
カウンセリングは治癒的レトリックである
レトリックとは
言葉の言い方の工夫であり
どのように効果的に言葉を用いて人の心に訴えかけるかというのが中心テーマ
どのように理解すればいいかだけでなく、どのような言い回しでそれを伝えれば良いかということが重要
※ポール・ワクテル『心理療法家の言葉の技術』が参考になる
焦点メッセージとメタ・メッセージ
数ある言い回しの中で、なぜこの言い方を選んだのか?
焦点メッセージ・・発言の内容や意味などの明示的なメッセージ
メタ・メッセージ・・・言外に伝わってくる暗示的なメッセージ
カウンセラーは焦点メッセージをより的確なものに高めていくことと、メタ・メッセージに敏感であることが必要
事例から検討する
事例「父親のことを尊敬しているというAさん」
カウンセリングの流れの中で、実は父親に対して否定的な感情を抱いているところがあるのでは?とカウンセラーは考えた場合
⑴「あなたはお父さんに対する否定的な感情を見ないようにしているのではないでしょうか」
⑵「もし万一、お父さんの価値観や性質の中で、あなたが子どもたちに伝えたくないものがたったひとつあったとすれば、それはなんでしょうか」
前者と後者の違い
⑴
正面からはっきりと疑いを表している
Clは自分の発言が否定されたものと捉える可能性がある発言
非難するニュアンスに受け取られる可能性がある
→カウンセラーの言葉が図星だった時に咄嗟に防御反応が出てもおかしくない
⑵
Clの言葉をほとんどその通りに認めている
挑戦を仕掛けない姿勢で安心してもらう
→探求のための基礎となる
どのCLもカウンセラーが自分の悩み・苦しみを理解してくれないのではないかと不安を抱えて来談する
→安心感を保証することが、探究のための基礎となる
クライエントの防衛を緩めたいなら、まずはその防衛を支持するとよい(防衛の肩をもつ)
◆精神分析における解釈をあたえる際の3要素
⑴避けられている体験の内容
→父親に対する否定的感情
⑵避ける方法
→父親を尊敬していると思い込むこと
⑶その体験を避ける理由
→関係性の崩壊への恐怖感・不安感など(予想)
解釈を与える時はこの3要素を含む形で伝える
事例「自立しようとする女性」
自立しようとするClに対してカウンセラーは、依存することから回避するための強迫的な自立であるような印象を受ける
⑴「あなたは依存の感情に対して防衛していますね」「どうしてもっと素直に人に甘られないのかな。なんでも1人でやれば偉いとでも思っているの?」
→このような感情を抱くことは決してダメなことではない。(カウンセラーの心は自由であるべき)
そんな自分に気づき、許してあげることが大切
⑵「人に甘えたいとか頼りたいとかいう気持ちが湧いてきた時、あなたはそれをどう感じるのでしょうか。そんな気持ちは持ちたくないみたいですね。そうした気持ちをもつことは怖いことなのでしょうか。あなたが人に頼らないようにいつも必死に頑張っているのは、人に頼りたいとか甘えたいとか言った気持ちをなんとか遠ざけようとする努力の一環でもあるのかもしれないですね。」
事例「否定的な情報だけを取り入れるクライエント」
⑴「あなたは物事を否定的な面からしか見ていない。もっと肯定的に見たらどうなんですか」「あなたのそれは認知的歪みです」
⑵「あなたが人に何か感謝されたり、人から評価された時、あなたはどんなふうにそれを体験しているのでしょうか」
「あなたは肯定的なことを聞くと何か落ち着かない気分になることがあるようですね。それをそのままに聞き入れるのはまるで危険なことでもあるかのようですし、まるであなたは肯定的なことなど聞きたくないかのようです」
→Clの発言の内容だけに注目するのではなく、その背後にあるClの心の動きを感じ取ろうとするようにして聴くことが必要
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