産業保健セミナー「ストレスチェックをどう活かすか」に参加した
こちらはiCAREのアドベントカレンダー15日目のエントリー記事です🎄🎅
1、はじめに
だいぶ記事に起こすのに時間がかかってしまったのですが、去年2021年の12月頃(うろ覚え)に、東京産業保健総合支援センター(https://www.tokyos.johas.go.jp/)主催の、産業保健の講演会・交流会があったので、参加しました。ちなみにこちら、頻繁に産業保健師・人事向けの講習会を開催しているので、勉強会としておすすめです!
参加したセミナーのテーマが「ストレスチェックをどう活かすか」でした。 所属の会社iCAREでも最近、開発チームでもドメイン知識を知ろうというという流れになってきており毎週勉強会が開かれるようになったため、この機会に去年に書き散らかしていたものを整理して公開することにしました。
2、セミナーの内容
まず、セミナーへ参加した産業保健師は15人程度でした。 オンラインで行われ、東京産業保健総合支援センター側からの情報・データ共有があった後、いろんな企業や学校に勤める保健師たちの各々の現場の状況や課題点を共有し、ディスカッションする形式でした。
・ストレスチェックの現状
東京産業保健総合支援センターが産業保健師達200人にとったアンケートからのデータによると、(※ 正確なn数をメモしたが記録がどこかに行ってしまった。一番大事...😭)
・ストレスチェック実施受験率は年々上昇傾向にあり、去年2020年は平均50%程度だった
・実施受験率は、健診の時に合わせてストレスチェック行うなどの実施時期の工夫で、ある企業では90%台まで挙がったという声もあった
・ストレスチェックの結果分析は、外部に委託してその数値を見たりする企業、自分たちで自分なりに分析するところさまざまである
・基本的にストレスチェック後のフローとして、高ストレス者に対して保健師の面談・メンタル専門医への面談へと繋げている
・分析方法としては部署別で分析しているところが多いが、分析の観点や指標は企業によって異なる
といった感じだそうです。 いまだにストレスチェックは受験率50%程度であることにちょっと驚きでした😲
・ストレスチェック実施がうまくいっていない場合
また、ストレスチェック実施〜実施後の産業保健師活動としてうまく行っていないと感じる点について、
・そもそも実施率が減少していた
・分析結果を生かしきれていない、衛生委員会での報告止まり
・ストレスチェック実施後の対応が確定しない
・職場改善に繋げられていない、個人の問題になってしまっていた
・面談希望者の手が上がらない、該当者が面談を希望しない、フォローがしにくい
・管理職を巻き込むことができず動きづらい、新人で方法が手探り
といった声が集計されました。 元産業保健師の身としてすごく頷きたくなる声ばかりです。
・保健師が現場で実際にどう対応していたか
ストレスチェックの結果を分析する際に、保健師がどうアセスメントし、重要視していたかは以下
・数年かけてストレスチェックをスクリーニングし、「この部署やこの従業員は毎年連続して引っかかってるので介入しようか」と考える
・ストレスと言ってもメンタルのことだけとは限らない。身体症状と分ける
・ストレスの原因となることは職場のことなのか、また家族などプライベートなのか?を考慮する
・実施・分析・対応側としては本人の意思を第一に尊重する
・実施後の繋げ方は様々で、会社や所属長へ伝えるか、今まで通りでいいのか本人にヒアリングする
・ストレスチェックの難しさ
保健師達のアンケートやセミナーに参加した保健師たちからは、ストレスチェックをその後に繋げる際の難しさもみられました。
・どう管理職を巻き込んで職場改善につなげるかが難しい
・従業員からの声として、所属長に伝わるのではないかという不安が一番大きかった
・外部の業者を使えば相談しやすい・しにくい、などの違いがある
・精神科医だと相談しやすい・しにくい、などの違いがある
具体的にどういう選択肢を取るのが正解なのかわからない、といった点が垣間見えました。
・ストレスチェックの意味
東京産業保健総合支援センターのセミナーとしては、ストレスチェックの意味を以下のように伝えています。
・悪者探しではない
・医師面談につなげることだけがゴールではない
・企業が組織として何をどこまで望んでいるのか真意を、産業医や経営TOPと話しておくと良いのではないか
3、セミナーと交流会を学んだこと
以上のセミナーから、ストレスチェック実施に対する保健師達のつらみが感じられました。中でもセミナーに参加した保健師達の課題として感じたことは、
・多くの保健師達が、活動の中でどうしていいかわからないし、ベストの具体的な対応案がわからない。
・困っていても共有できない、他がどうやっているか情報共有手段が少ない。
この2点だと感じました。
また、この2点はとても密接な問題だと個人的に考えています。
現場の保健師達はどこも1事業所に対して1〜2人などの少数であることが多いです。したがって人手も足りなく、また産業保健の歴史自体もそう長くはないため、産業保健の経験が豊富である看護師も多くはない。また企業が異なると同じ産業保健職で対面して相談したり困りごとを共有する機会はほぼないため、情報交換したり解決策を練る場が非常に少ないのが現状であると実感しました。
4、Carlyでどう活用できるか?
せっかくなので、Carelyの次なるステップとして何かできることがないかと考えてみました。
健康管理をCarely上で完結できたらいいな、というコンセプトがあるので、その延長で「Carely上でて保健師達が繋がれればもっといいな」と思いました。 Carelyの既存の機能を活用することとは外れてしまうのですが、現場の課題を解決することの大きな一つの鍵でもあると思います。 強いていうなら、「チャット機能」を使って産業保健師がCarelyの産業保健師に相談することはできるかな?🤔
でも「うちの企業ではこうやっているよ!」という横のつながりが、今の現場の保健師達にはもっと必要かと感じています。
5、まとめ
私は産業看護職を短期間ですが経験し、今の開発チームに貢献しているという経緯があるので、もっと現場の声を製品に活かせるQAエンジニアになれればいいなと思います。 またこういったセミナーに潜入し、現場の声を製品に活かしたらどうかという提案を届けることもできる。
うーん、今はその機会がなかなか作れていないのですが、それを見出す作り出すのもエンジニアリングだよなぁとか思ったり...。
では👋