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ポール・ルヌアール その又その後


この本の事を饒舌館長のブログで知って、早速買い求めて読んでいるのですが(新刊でまだ図書館にもなかったので)なにせ713ページもある労作なので、そう簡単には読み切れません。貴重な記述には傍線を引いてくださっているのですが(新機軸!)それだけを読んでいけばいいわけではないので…
でも私の推しのポール・ルヌアールが出るわ出るわ、ざくざくと登場して嬉しくなってしまいました。もう埋もれた作家などではなくて、すっかり認知されたんだなあという感慨に浸っています。


この本によると、著者の木々康子きぎやすこさんは林忠正の孫の忠康の妻にあたる方で、共編者の高頭麻子たかとうまこさんは、その一人娘さんであられるらしい。どうりで木々康子はペンネームだと分かりました(笑)
親族として「浮世絵を海外流出させた国賊」とまで言われた林忠正の汚名返上の為にも紛争なさっているんですね。でも当時の浮世絵は今の漫画と同じ扱いで北斎も漫画家のようなもの、格からいうと将軍の御用絵師だった狩野派よりずっと下に見られていて、林忠正だって海外で売れるから持ち出したのであって、それ程価値のあるものとは思っていなかったのでは?
これは、この本の中にも書かれていた事ですが頷けます。
私としては、忠正の洋画コレクション散逸の悲劇やそれを守ってくれなかった黒田清輝のことよりも、ポール・ルヌアールの名誉挽回の方が今は嬉しいです。
著者の意図するところとは大分ずれてはおりますが…