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珈琲焙煎舎の10年〜『珈琲焙煎舎の本』のライナー・ノーツ

10年前の今日、2011年の11月11日(の11時11分11秒ということになっている)、珈琲焙煎舎がオープンしました。私は当時、たまたま、その隣に住んでいたのですが、営業2日目に初訪問、その後、なぜか親しい付き合いになりました。お隣さんだったのは3ヶ月足らずで、その後は横浜から通っているわけですけど、もう10年たつんですね。信じられないような気持ち

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これまで何度も語って、書いてきたことですけど、初めて行った日に飲ませてもらった試飲の1杯に私は"ヤラレテ"しまいました。あんなに美味しいと思った珈琲は人生のうちにそう何度もはないでしょう。いまの焙煎舎の味とはちょっと違うのですが(当初は2人体制で、焙煎している人が違った)、あれが原点です。

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1周年の時には、ドリップ講座をやってもらったり閉店後には常連さんたちが集まってパーティーが開かれたりもしました。その後、毎年どうしていたか全ては思い出せませんけど、賑やかしに「『アフリカ』の切り絵展」というのをやらせてもらったり、「道草珈琲」と題したカフェ営業をやらせてもらったりもしましたっけ。

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昨年、9周年の時には、私は何もできませんでした(個人的にお祝いを伝えには行きました)けど、「来年は10周年だから、珈琲焙煎舎の本をつくりましょう」という話をしました。

オープン当時から現在まで、自分ほど焙煎舎の記録をとっている人もまあいないだろうし(店主も持ってなかった10年前の写真をいろいろ持ってたりして)、ここはひとつ、『THE 珈琲焙煎舎 BOOK』をつくって販売して、10周年の記念にしよう、と。

私たちの雑誌『アフリカ』には、vol.14(2012年5月)の巻頭に初めて珈琲焙煎舎が登場していて、当時お店を手伝っていた焙煎士と店主と私の3人で話しているのが読めます。

その後も、時々、店主にはインタビューさせてもらって、その時々の焙煎舎を語ってもらっていました。

それらの記事が今回の本に使えるかどうか、ちょっとわかりませんでしたが、読み返してみたら、なんだ、とても面白いね、となり、全てではありませんが主要なものは載せました(部分的に編集されてはいますが、ほぼそのままです)。

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「安定しないのも、面白い」とか「一期一会の珈琲を」とか、そういったことば(インタビューのタイトル)を見るだけで、珈琲焙煎舎がどんなことを大切にしている店なのか、すでに少し感じられそうです。

「店主への二十の質問(2021年版)」は、『アフリカ』vol.28(2018年4月)に掲載されていたものをベースに、新たに加わった問いもあり、今回の本の見取り図としても読めそうな内容になりました。

「安定しないのも、面白い」は、『アフリカ』vol.20(2013年7月)掲載のインタビュー。オープン2年目の夏に聞いたもので、手網焙煎の珈琲を売ることの面白さ、難しさを店主が初めてじっくり語ってくれたものでした。

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「珈琲の淹れ方は、どれも正解」は、最新のインタビューから。似たような話はオープン当初から聞いていて、『アフリカ』に載ったこともありましたが今回は短く簡単に、現在の話として載せました。

「一期一会の珈琲を」は、『アフリカ』vol.25(2015年7月号)掲載。常連さんから言われた(たぶん褒めことばとして言われた)「一期一会の珈琲」をめぐって語り合っている、印象深いインタビューになりました。

「ニカラグアの珈琲農園」、最新のインタビューから。2017年2月に店主は数週間(だったかな)お店を休んでニカラグアを訪ねました。尊敬する同業者が持っている農園で、同行させてもらったんです。そのときの感想をいま、あらためて聞かせてもらったもの。今回の本では2ページしか載せられませんでしたが、この話のつづきはたぶん『アフリカ』次号に載ります。

「十年目の対話」、これも10月末に行われた最新インタビューから。2017年に初めて焙煎機を導入して、手網と機械の両方で焙煎し始めた頃のお客さんの反応とか、もう止めようと思ったこともあったという話、10年たって何が変わり、何が変わっていないかという話、いろいろ聞きました。

この6篇に、「手網焙煎」について、「二階の部屋」についての短文と、オープン当時のことを書いた「イントロ」を加えた9篇を収録しました。秘蔵写真(?)もいろいろと発掘してきて載せています。

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B6ヨコ、32ページの可愛らしい小冊子です。

珈琲焙煎舎の本ですけど、全文を書いているのは私(下窪俊哉)なので、店主と私の共作とも言えそうな1冊です。それでも主役は珈琲焙煎舎という店であり、場であり、そこで生まれた珈琲です。

珈琲の本というよりも、珈琲焙煎舎という個人店の10年史を語った本で、「安定」とは何だろう? 何が正解で何が不正解なんだろう? 「続ける」とはどんなことだろう? etc. そんなことを共に考えながらつくりました。

珈琲焙煎舎と、アフリカキカクのウェブショップにて発売中。遠方の方など、府中へはなかなかゆけそうにないという方はウェブショップへご注文いただければすぐにお送りします。ぜひ読んでね。

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というわけで、珈琲焙煎舎、10周年おめでとうございます。これからも美味しい"一期一会の"珈琲をよろしく!

(つづく)



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