見出し画像

やっぱり映画館が好き!のはなし

わが地元北九州からとっても嬉しいニュースが届きました!

小倉昭和館は北九州で現存する最後の既存一般上映館でした
が、去年(2022年)8月に発生した旦過市場の大火災で焼失してしまいました。
シネコンが映画配給の中心の今、
昔は当たり前だった座席指定なし入れ替えなし2本立て!が基本のシステム。
そして大きなシネコンではなかなか上映されないミニシアター、インディーズ系作品、もう一度映画館で観たかった作品がアンコール上映されるなど、工夫を凝らした上映を行っています。(しかも作品ブッキングのセンスがとても素敵!)
また、その風情ある館内が人気で地元の映画好き市民だけでなく
高倉健さん、光石研さん、リリーフランキーさんなど北九州にゆかりのある著名人や
多くの映画人らにも愛される劇場でした。
芝居小屋から始まり、83年の歴史あるこの映画館は大切にしたい小倉の風景でもありました。

わたしの重すぎる映画館愛

20歳ぐらいのころ、配給会社系のシネコンでバイトをしていたわたし。
初日は「武士の一分」の公開直後でした。
バイト先では無料鑑賞のシステムがあって
お給料はお世辞にもよいとは言えなかったけれど。
地元の大学の映画研究会のメンバーや映画好きの老若男女が集まっていて
とにかく酒が好きで(福岡だから女子も飲めないよーとか言いながら梅酒ロックを飲む世界)飲み会の最中に映画のセリフやハリウッド俳優の名前でしりとりをする人たち。
それぞれに好きな分野があったので
アクション担当、ミニシアター担当、特撮担当、オールマイティ、日本映画担当者、ぴあフィルムフェスティバル担当など
誰かに聞けばいい作品にめぐりあえる職場でした。
自分の職場で配給されない作品を見るために、
違うシネコンに行ったり、公開日に博多まで足を伸ばしたり、
そんな中でも足しげく通っていたのが昭和館。
職場では感じられない風情ある館内が好きでした。

むかしがあるからいまがある。
いまがあるからむかしにであえる

今やどの映画館も基本的にデジタル上映。
フィルム上映ができる映画館のほうが珍しくなっています。
わたしがバイトしていたころはギリギリフィルム時代で、
DLPと呼ばれるデジタル上映はスパイダーマンやパイレーツオブカリビアンなどハリウッドで制作された超大作だけやっている(今だと4Ⅾ作品みたいなポジション)でした。
なので公開作品が入れ替わる週の頭に、
頑丈な袋に入ったフィルムの山が事務所にあったり
映写機を扱うスタッフが上映のない映写室を使いフィルムのかけ方を練習する時間があったり、封切間近の作品のフィルムをつなげる作業をしたり
フィルムを裏表掛け違えて上映してしまうトラブルも起きたりしていました。

気が付けばデジタル上映が当たり前に。
カラカラ回る映写機から高性能なプロジェクターのようなものへ。
ディスクなどではなくダウンロードしたものを流しているようです。

フィルム上映の頃のように
何度も上映するほど人気でフィルムの劣化を感じるノイズや
交換の合図(パンチと呼ばれる右上に現れる丸いノイズ)がなくなってしまったのは寂しいけれど
デジタル化のおかげでサブスクのように
好きな作品が自宅でいつでも鑑賞できたり
昔の作品が難なく見れる環境ができたのはとてもありがたいことです。

映画は宝石箱だ!

誰が言ったか。これだったかは思い出せませんが
かつて名優と呼ばれた方が残した言葉です。
映画に出会えてよかった。そう心から思います。
コロナ禍の最中
〈末期がん患者がたくさん出てきてその命と向き合う〉作品を観に行き
『違う違う。今はこういう現実に近い話が見たいんじゃない。映画でもっと明るい世界をみたいんだ』
と、浮世離れしたものを欲している自分に気が付きました。
画面が大きく音響にも迫力がある分、思う存分その世界に浸れるのが
映画館で観る映画の良さ。
シチュエーションを選ばず手軽に観るのもいいけど
やっぱり〈映画館で観る映画〉は格別で思い入れも大きいです。

今はもう、気軽に訪れることはできないけれど
思い入れがある小倉昭和館。
12月の復活もとても楽しみです。
本当に良かった!ありがとう!
再建される新しい昭和館も歴史を紡ぎ、
多くの人に愛されますように。


さいごに
北九州出身の青山真治監督が作った作品
『サッド・ヴァケイション』より
だいすきなセリフで
小倉昭和館にエールをおくります。

みんな あんたを待っとぉけんね。

はるみそ。


この記事が参加している募集

映画館の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?