黄金の都
もう10年以上前のことだが、今でも決して忘れられない光景がある。
私はあの時、東京国際フォーラムのホールAの2階席にいた。聖飢魔IIの地球デビュー25周年大黒ミサ〈Inter Continental Black Mass Tour 〉の千秋楽に参拝した時のことだ。
25周年再結成の最後を締めくくる曲は、世紀末に解散した時と同じくEL DOLADO。
会場中がカッと明るいライトで照らされ、ステージから金色のテープが舞って、目に映るものすべてが黄金に輝いていた。これまでこんなにくっきりと鮮やかで綺麗な世界を見たことあっただろうかと心を奪われた。視界一面に広がる鮮烈な光は曲の通り黄金郷そのものだった。そして、感動と同時にせき立てるように時計の針も進んでいく。時を止めたかったけど時間は止まってくれなかった。
今でも瞼の裏に焼きついていてはっきりと思い出せる。でも、あの時の私は涙が止まらなくてぐしゃぐしゃに滲んだ視界で見ていたはずだから、もしかしたら思い出しているのは、混沌を解して創り出した心象風景なのかもしれない。
活動絵巻が発布されてからも何度も繰り返し視聴したけれど、私の記憶はずっとミサ会場の中にある。カメラが映した過去の映像ではなく、あとから編集された映像でもなく、実際に自分の目で見て心で感じた光景の集合体がそのまま思い出になっていて、心の奥にはあの時の黄金郷がしまわれている。
そこにいたのだ、ということがずっと心の支えになっている。
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