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誰のためのルーティンか?


保育士の仕事をしていた時は、シフト制で働いていたため
朝5時に起きる時もあれば、朝9時に起きる時もあった。

その時の私は、家を出る30分前くらいまでには起きて
15分で簡単な朝食をとりながら、身支度を済ませ、
家を出るギリギリまで「めざましテレビ」を見ていた。

「今日も元気にいってらっしゃい」

女子アナウンサーの声に
「いくかあ〜、、、」と伸びをする。
それが私の朝のルーティンだった。


よくメディアやSNSで目にする
誰かの「モーニングルーティン」の動画を見ることが好きな私は
いわゆる「丁寧な暮らし」をしている
動画の向こう側の人たちに憧れており、

毎朝なぜ5時に起きれるのか、

なぜ朝から白湯を飲んだり、ヨガをしたり、
散歩をすることができるのか?

原動力はどこから来るのか、いつも不思議に思っていた。



そんな生活が4年が続いたのち、
憧れだった海外移住のために仕事を辞めた。

すると、朝はいつまでも寝ていられるし、
いつ「めざましテレビ」を見てもいい
なんなら「ノンストップ!」を見てもいい
誰の制限もなく自由に動くことができる。

なんと素晴らしいことだろう。
最初はそう思っていたが


なんとなく、だらっとしてしまう
予定がないと1日があっというまに終わってしまう。

一日中好きに過ごしていいにも関わらず、
仕事をしていた時の休日より充実感がないのである。


「なんかこのままじゃよくないかも」
と思いつつも、何をすべきかわからない

予定のある日はイキイキと動けるのに…..


そんな時、
好きでよく見ていた「モーニングルーティン」の動画を思い出した。

そうだ、憧れていたモーニングルーティンを始めよう


次の日から早起きをして
ランニングを始めてみたが

すぐに朝起きられない日が続き、
私の「丁寧な暮らし」は終わってしまう。


私は飽きっぽくて、
モーニングルーティン向きの人間じゃないのかも


いざ自分の朝の時間に余裕ができても
動画の中の人たちにはなれない気がした。




そんな中、オーストラリアでの生活が始まり
向こうでの仕事が始まると
また私の朝のルーティン(仕事Ver)が始まった。

するとまた朝の時間が慌ただしくなる

家から職場までの道のり
私が暮らしていたオーストラリアのメルボルンにはカフェが多く
そのほとんどが朝5時から7時の間に開店し、

仕事前のオージーたちは
友だちや同僚と朝のコーヒーをスモールトークをしながら楽しむのだ。


日の差し込む爽やかなテラス席で、
ヨガウェアにサングラスをした女の人たちが
散歩帰りの犬を横に座らせたまま、
楽しそうにコーヒーを飲んでいる姿を横目に通勤する私は

「もっと早起きして、コーヒー飲みに行けばよかった…」

と何度も思った。


仕事のない日はよく公園を散歩したり、カフェに行ったりするのに…..

なぜ仕事のある日はギリギリまでベッドから出られないのか。


しかしオーストラリアで暮らして数ヶ月
豊かな自然と美しい街並みが融合しているメルボルンでは

休みの日に朝カフェに行ったり、散歩をしたりすることが
東京で暮らしていた時より楽しいのだ。

なぜだろう?

500万人ほどが暮らすメルボルンは、
もちろん不便もあるし、東京よりは小さな都市だ。

でもビルに囲まれて太陽の光が届かない都会より、

メルボルンの美しい街角で
朝日を浴びて、カフェで美味しいコーヒーを飲みながら
開放的な気持ちで朝の時間を過ごすことができるということが
窮屈な東京では感じえなかった充実感につながっていた。


そんな日々を過ごしていると
私の憧れた「丁寧な暮らし」をしている動画の中の人たちも
こんな気持ちのいい時間を過ごすために
モーニングルーティンを行っていたのだと気づいた。


仕事に追われていても、朝どれだけゆっくり寝ていたくても、
この朝の充実感を知っているからこそ、
自分なりの方法でルーティンを作っているのだ。


振り返ってみると、

朝ヨガをすること
朝白湯をのむこと
朝散歩をすること

動画の中の人を真似したところで
自分がその行為の喜びを知っていなければ
続くわけがないのである。

そんな当たり前のことをすっぽかして
「モーニングルーティン」を羨ましく思っていたなんて



日本に帰国した後、東京での暮らしが再スタートした。
今はルーティンというルーティンに縛られない生活をしている。

一つ変わった意識があるとすると
オーストラリアで味わった朝の充実感を再現するために

早起きして公園を散歩したり、
体の目覚めのためにストレッチをしたり、
夫と美味しいコーヒーを飲んだり、

メルボルンという場所にとらわれず、
朝の時間を目一杯楽しんでいる。

仕事が始まればまたきっとこの充実感を得る時間からは
少し遠ざかってしまうような気もする。

けれど、
それでもいいと思える自分がいる。

時々気分に任せて早起きしてみたらいい、
朝カフェに行ったり、散歩したりしたらいい。

開放的な気持ちで過ごす
朝の時間の心地よさに気づいている今の自分の方が

あの頃
他人のモーニングルーティンを羨ましがっていた頃の自分よりも
好きになれている気がするのだ。


#日々の大切な習慣





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