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うちの小説のプロットの作り方 #青い鳥文庫 #藤白くんのヘビーな恋

青い鳥文庫さんのサイトでやっている『藤白くんのヘビーな恋』ができるまで紹介企画、第2回でプロットが公開されました!

前回公開された企画書をベースに作ったプロットです。かなり細かいです。

ここでは詳細なプロットを作るときに私が意識してる点などをまとめてみます。我流なのであしからず。
なお、以下の方法で書くと、プロットのボリュームがとても増します。そこもあしからず。

《1》事前に決められるものはすべて決める

とにもかくにもこれ。私は検討しながら書くと時間がかかる、整合性が取れなくなりがちなタイプなので、できる限りプロット段階で色んなものを決めるようにしています。具体的には……。

  • 章構成、章タイトル

  • 各シーンの日付、曜日

  • 伏線

  • 取材が必要な場合は資料集めなど

  • キャラのクラスや身長といった設定 などなど

今回サイトに公開してもらったプロットはストーリーラインだけですが、これと別ファイルでキャラクター設定表も作ってあります。

書きながら決めてももちろんいいと思うんですが、決めておいた方が自分は楽です。もちろん、書きながら変えたくなることもあるので、そういったときはプロットや設定表に加筆修正しながら進めます。

シリーズものだし「最初に決めすぎるとその後の展開で自由が利かなくなって行きづまるのでは」=要は「決めすぎ」と言われたこともあるので、向き不向きはあると思います。
ただ、私の場合はある程度最初に決めてないとキャラが定まらなくてブレがちなので、割りきって決めちゃってます。

なお、藤白くんの1巻では、プロット段階で決めた章タイトルを、初校のときに「もっと引きがあるものにしよう」と思って変えました。どれがどう変わったかもぜひ見てください。

《2》すべてのシーンを書く

上記の《1》にも通じますが、すべて決めているくらいなので、当然シーンもすべて書きます
もちろん、原稿を書きながら、もう少しここを補足したいとか調整することもありますが、ほぼほぼプロットに全シーンを書いています。なんなら区切り記号をどこで入れるかまでプロットに書いてます。

これをやっておくことで、無駄なシーンがないか、特定のキャラの登場シーンが少なくないか、などのチェックが事前にできるんですよね。

あと、全部で●シーンあって全●章構成なので、原稿にしたときにどれくらいのボリュームになるか、おおよその見積もりができるようになります。
児童文庫だとボリュームが限られているので、私はこれでボリュームコントロールしてます。

《3》キャラの感情の変化がわかるように書く

私の作品は基本的に恋愛や青春ものといった、キャラの成長が主軸となっているものがメインです。
なので、プロットだけでも、キャラの成長や感情の変化が伝わるように意識しています。

そのため、感情の変化が生じるような大事なシーンでは、キャラの心内語やセリフなどもプロットに入れます

例えば、「ここで●●が告白する」ではなく、「●●が『キミが好き!』と告白する」と書きます。微妙な差ではありますが、具体的にイメージして解像度を上げておくイメージ。
でないと、書き始めたときにゼロからシーンをイメージすることになるので時間がかかるし、いざ書いたときにプロットからブレる原因になるのかなと個人的に思ってます。

ちなみにいくら具体的に書いたところで、実際の原稿ではプロットに書いたセリフから変わるし増えます

例えばわかりやすい例として、以下は藤白くんの1章の場面。
藤白くんが初めて琴子に「かわいい」と言う大事なシーン。

《プロット》
「名前、何?」「わたし? 椿森琴子。」「琴子……かわいい。」

《完成原稿》
「名前、何?」
「え、わたし?」
「ほかに誰もいない。」
 それはそっか。
「椿森琴子。」
「コトって、お琴の琴?」
「そう。」
「へぇ、琴子……かわいい。」

プロットでは、どんなテンションでどんな流れの会話が発生するのかをイメージするのが大事

《4》プロットだけでも面白い!を目指す

プロットだけでも「面白かった」と言ってもらえるようにしたいといつも思ってます。これはボリュームのあるプロットの宿命とでもいうか。
プロットのボリュームが多い分、プロットだけでも面白い、感動した、泣けた、キュンとしたって感想が出てくるくらいじゃないとダメかなぁと。

逆に、そこそこのボリュームでプロットを作ってるくせに面白いと思ってもらえなければ、原稿にしたところで面白くはならない気がします。

そのためにも、プロット時点で各シーンの解像度を上げて、キャラに感情移入しながら書くよう心がけてます。プロットの時点でぐっとくるものがあれば、原稿でもきっと大丈夫。

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といった感じで、私がプロットを作るときに気をつけているポイントなどまとめてみました。

私が性格的にきっちり決めないと書けないタイプ&主に児童向けエンタメ界隈にいるのでこうなってますが、こんなプロットは作っていない作家さんのほうが世の中には多いと思うので、あくまでご参考です。プロットで決めすぎると書けないという人もいるそうです。あと私自身も、文学寄りの作品だとまたちょっとプロットの書き方変えたりもします。

ただ、私はこういう作り方をするようになってから、特にエンタメについては書くのが格段に速くなったし、全書き直しやボツが減って執筆が楽になりました。(前も書きましたが、商業デビュー直後の数冊は全書き直しを何セットもやってる)
企画書やプロットの段階で検討するのか、原稿をとりあえず書いてから検討するのか、そこの違いかなぁと思います。

なお、私もこういうやり方に辿り着くまでに紆余曲折したし、色んなツールも使ったし、長い年月もかかっているので、自分で考えて自分に合った自分なりのやり方を見つけるのが一番だと思います。
私ももしかしたら、そのうちまた違った作り方をするかもしれません。

また、公開中のプロットと完成版『藤白くんのヘビーな恋』、ぜひ見比べてみてください。原稿だからこそやっている工夫や演出もたくさんあります。

というわけで、もうすぐ2巻が発売の『藤白くんのヘビーな恋』、どうぞよろしくお願いします!!

前回の企画書の話はこちら↓


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