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【駄文】漫画『フットボールネーション』からの気づき

私は、『フットボールネーション』という漫画が大好きだ。しかしこの漫画をご存知の方は、きっと少ないと思う。

スポーツを題材とする漫画は、決して少なくない。そしてその多くが、スポーツを通じて「仲間との友情」や、「本気になって何かを成し遂げようとすることの意味」や、「人としての成長」を描くものになっている。

しかし、『フットボールネーション』は違う。

サッカー漫画でありながら、サッカーを通じた人間ドラマを描くのではなく、サッカーに必要な筋肉と、動きの解説。すなわち、「サッカー理論」であり、「スポーツ理論」を描く漫画なのだ。

・・・え?ちっとも面白そうじゃない??

いやいやいや、すごく面白い(はるまふじ的に)。
ただ、ジャンプの漫画をこよなく愛する男性諸氏、および『おんな城主 直虎』を「スイーツ大河」と揶揄する皆さん、漫画は少女漫画しか読まない方は、お好きではないかもしれない。そういう方は、この辺で脱落していただいて構わない。

で、筋肉の話である。

初回から、インナーマッスルの話を中心に進む(インナーマッスルがもうわからん、という人は体の内側の体幹の部分と考えて読み飛ばしてほしい)。腸腰筋とか、アウターマッスルならハムストリングスとか。従来の動きではあまり意識して使わない部分である。

最新刊の15巻を読み返していて思い出したのが、「内旋」と「外旋」の話。

腕の振りを「外旋」させてもあまりサッカーにおいて良いことはない、と説明されているのだが、野球においてはもっと良いことはない。プロ野球で腕の振りを外旋させている、もしくは内旋させてない選手なんて見たことない。しかし、少年野球や中学校のソフトボール部や、中学の野球部ではいるのだ。腕が外旋してる、もしくは内旋させていない子が。

私はソフトボールを中学の時やっていたのだが、腕が外旋している、もしくは外旋しないまでも腕を内旋していないから、ボールに力がきちんと伝わっていないということを、言葉で説明できなかった。普通の中学校だから、顧問もただの教師で、きちんと理論が分かっている人はいなかった。

サッカーにおいては、腕を内旋させて走ることで肩甲骨が良く動くようになる効果があり、肩甲骨が良く動くようになることで蹴るボールに伝わる力が変わってくる、と解説されていた。

再読してみて、ふと思い立って鏡の前で投げるフォームをしてみたら、なにも考えていないのに、自分の腕が勝手に内旋していることに気づいたのである。

そして、無理やり内旋せずに腕を振ってみたら、肘が痛くなった。

ここのところミュージカルを何度か観に行ったり、ドラマをたくさん観たり、映画をたくさん観たりして気づいたことがある。俳優さんにも、この「内旋と外旋」と同じようなことが言えるのではないだろうか。

誰からも何も指摘されずに、腕の振りが内旋になっている(俳優に必要な基礎の身体の動きや声の出し方が、一通りできている)人と、外旋してしまっている(俳優に必要な身体の動きや声の出し方を身につける前に、まずは身体の柔軟性をあげなくてはいけないなど、やるべきことがそれ以前にある)人とでは、俳優人生においてそこから積み上げる技術の量が、絶対的に異なるのではないだろうか。

誰でもプロ野球選手になれるわけではないように、テレビや映画で演じる仕事をしている人が、誰でも役者として「上手い」と評されるわけではない。

私は何も考えなくても腕を内旋させていたけれど、あの時の同級生たちの何人かは、こいつ何言ってんだと思ったに違いないし、なぜ自分の肘が痛くなるのか、理解できなかったに違いない。
それは、中学の部活程度のレベルでは仕方のないことなのかもしれない。

願わくばプロ野球選手、最低限甲子園出場経験のある高校球児で、ドラフトにかかるかもね?レベルのお芝居を、すべてのテレビドラマや映画で見せて欲しいなと思うのである。役者の年齢は関係なく。





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