見出し画像

【インタビュー】神田夢実 Jリーグに戻るまでの2020奮闘録

2021年1月某日
ふと、携帯電話に目を移すと
見知らぬ番号からの不在着信が入っていた

『もしかしたら…』

一筋の心あたりが
頭の中を駆け巡る

待ちに待った連絡かもしれない!

一方、、、

断りの連絡だったら…

期待と不安が入り混じる中、
電話を折り返した

相手口に出たのは
現在、J3に所属するY.S.C.C.横浜の
強化を担当する人物

『この間はセレクションを受けて頂きありがとうございました!
一緒に戦いましょう

Jリーグに復帰して活躍する

J2の愛媛FCを契約満了になってから1年間、
渇望し続けた願いが
この瞬間、大きく前進した

しかし、神田夢実の
這い上がりストーリーは
まだまだ、ここからが本番だ。

プロサッカー選手からアマチュア選手へと肩書きを変えた
神田のJリーグに戻るまでの一年以上に及ぶ
闘いの日々を振り返りたい。

2019年11月-愛媛FC退団リリース~東京23FC移籍

2019年11月中旬、クラブ事務所に呼ばれた神田

その意味する事は薄々感じていた。

ありがとうございました。

告げられた感謝の言葉は3年間所属した
愛媛FCとの別れの合図だった。

画像2

「だいたい覚悟はしていたんですけど、やっぱりいざ告げられると
『あー、やっぱりそうだよな…』という感じでした」

ただ、神田にとってはプロとして
2度目の契約満了。

16年オフにコンサドーレと契約満了した後、
トライアウトで3得点の大活躍

直後に愛媛FCからオファーを受けた経験もあった事や
新たに挑戦したJリーグトライアウトでの
プレーに一定の手ごたえがあった為、

「正直もっと早く見つかると思っていました。
だけど、見つからない間に各チームの
編成がどんどん埋まっていって…
年明け頃からはかなり焦りもありました」

Jリーグに所属するチームは
中々見つからず
時間だけが経過した。

「自分の実力不足を思い知った」と語る中、
地域リーグに所属する
二つのチームの選択肢が浮上

その中で、【Jリーグに戻って活躍する為】
という指針に従い、関東1部リーグに所属する
東京23FCへの移籍を決断した

画像1

「選手としてもう一回上を目指すに当たって、よりレベルの高いリーグで
戦う事が自分の成長に繋がると感じたので、東京23FCを選びました。
その決断に後悔はないですね」

2020年3月-転機となった中断期間

シーズン開始と共に〝違い〟を見せなくては
ならない立場だったが、
3月に行われたシーズン最初の公式戦
東京カップ(天皇杯出場にも繋がる大会)3試合で
1試合もスタメン出場出来ないなど
順調とは言えない船出が続いた

「今までずっと、プロの環境で戦って来て
いきなりアマチュアの舞台になって
現実を受け入れきれなかった。
やろうとは思っていたけど、、、」

アマチュア選手としてのサッカー生活…

現実を中々受け入れ切れなかった。

そして、体調不良なども相まり、
パフォーマンスも上がり切らない中
コロナの影響でチーム活動は停止した

しかし、結果的にこの中断期間を境に
神田のパフォーマンスは向上。

サッカーをプレーできる事の
有り難みを痛感させられると
次第に何かが吹っ切れたような感覚で
現実を受け止めて努力出来るようになった。

中断期間にモチベーションUPし、
その後、努力を継続出来た背景には
かつて共に戦った仲間たちの存在も大きかった。

1学年上のコンサドーレに所属する荒野拓馬とは、
LINEグループを作成。
毎朝、自分のトレーニング様子をUPし、
共有することで日々継続する環境を形成した。

同じく1学年先輩の鹿島アントラーズの奈良竜樹とは
共に関東圏でプレーする事もあってか、
「今年、一番連絡を取り合ったかも…
奈良君のサッカーに対する姿勢は
本当にすごい。俺も負けられない」
とコミュニケーションを取り合い
多くの刺激を貰った。

同学年で15年以上にも及ぶ付き合いの
深井一希とは、〝秘密の特訓〟を実施。

小学生の頃に感じていたような
サッカーをプレーする事の純粋な
楽しさを思い出させてくれたという。

そういった気持ちが整うと
次第に行動も変化していった。

「Jのクラブが本当に大変そうな状況で、コンサドーレには自分自身本当にお世話になった。ノノさんにも今でもオフの時はご飯に連れていってもらったり、三上さんや智樹君にもチーム探しのサポートをしてもらったり…
本当に温かいクラブです。なので、自分自身何か恩返し出来ないかな?
行動出来ないかな?…と考えて、、、皆に協力を仰いでみました」

北海道コンサドーレ札幌が中断期間に発したメッセージ
#全道一丸で乗り越えよう
にアカデミー出身OBとして共感

その想いを仲間に伝え、協力を仰ぐと
すぐさま計29名の選手も賛同の意を示してくれた

また、「子供達の悩みを聞いて、自分の経験で伝えられる事があるのではないかと。僕も小さい頃に、中尾康二選手が登場したコンサドーレのサッカー教室でのやりとりを凄い覚えている。一つでも成長の助けになったらいいなあ」とZOOMを使って、子供たちの悩み相談にも積極的に応じた。

そして、それらの活動は結果的に自身のピッチ内でのパフォーマンス向上にもリンクしていく

「特に子供に教えるというのは自分のサッカー選手としての成長にもリンクしている気がするんですよ。教えるにあたって、
言葉にする事で自分の理解も深まるので成長できるなあと思います」

実際にリーグ再開後のパフォーマンスは、
際立つものがあった。

画像3

コロナの影響で前期リーグが全節中止になるなど
1試合でも多くの公式戦経験を積みたかった
神田にとっては厳しいレギュレーション変更となったが、

再開後の
リーグ戦全9試合に出場
市原PENALTYカップでも全3試合にスタメン出場

豪快な直接FKも決めるなど攻守にその力を存分に示した

ボランチを主戦ポジションに
シーズン通してスタメンで試合に絡み続け

元来より併せ持つ技術の高さとシュートセンスに加えて今季はそこに泥臭さとプレーへの継続性がプラスされた

運動量や球際での戦いに課題を持っていた
かつてのその姿はもう無い

チーム関係者からも「戦えるようになった」との評価を受けた

プロ7年やった中でシーズン通して試合に出ることが無かったので。
今年は10試合ちょっとしか無かったですが、ほぼ全試合に出させて貰った事で、公式戦だからこそ感じる事が凄く多かった。
やっぱり、練習試合と公式戦ではカテゴリーが違えど、強度が全然違う。
自分自身にとって大きな1年だったなと思います!
昨年までは練習試合とかでも後半には結構バテバテだったりしたんですけど、今年に関しては公式戦でも最後まで走れるようになった。
大きな成長を感じていますね。今は自信があります

画像4

しかし、手ごたえと同時に
繰り返し、漏らしていた不安があった

今季はコロナの影響もあって、Jチームへの
練習参加などは制限され直接的なアピールな場は皆無

地域リーグで戦う神田にとって
【Jリーグ関係者にそのプレーは届いているのか?】

『自分のプレーを見て貰えさえすれば…』

今の自分に対する自信と共に、
それを目にして貰える機会が訪れなければ…
不安を隣り合わせに抱きながらの闘いでもあった

画像5

2020年12月-遂に!Y.S.C.C.横浜への練習参加

12月、念願だったJチームへ
練習参加する機会を手にする

「コロナの関係もあって、中々チャンスを貰えない状況が続いたので本当に嬉しいです。自分のプレーを見て欲しい!という思いはずっと持っていた。Jの舞台に戻れさえすれば、、、また上に行ける自信を今持っているので。」

縁あって機会を与えてくれたチームはJ3所属のY.S.C.C.横浜
J3に所属して7シーズン
ニッパツ三ツ沢球技場をホームスタジアムに戦う

そんなチームへの練習参加の道を作ってくれたのは
過去所属していた多くのチーム関係者の
協力があってこそだった

「横浜のコーチの三枝さんという人が元々、愛媛のユースの指導者をやっていて。愛媛でコーチをやっていた青野大輔さんに繋いで頂いたのと、
コンサドーレのトップチームコーチの沖田さんがシュタルフ監督と繋がりがあった事も相まって、練習参加させて貰える事になりました。
他にも多くの関係者の方々が協力して下さった。
皆さんには本当に感謝したいです。」
「僕自身来シーズンは必ずJの舞台で戦いたいと思っているんで、
練習参加させて頂ける事は本当にチャンスだと思っています。
それに向けて、最善の準備をしていますけど、やる事はいつも通りの
自分を出すだけだと思います。
ビルドアップを志向するチームなので、自分のプレーとも合っていると思います。このチャンスは本当に千歳一隅だと思っている。ラストチャンスだと思って頑張ります」

そして、遂にやってきた勝負の日

そこで繰り広げたプレーは
監督に高く評価され
内定を貰えたと思った

しかし、強化部が神田のプレーを
直接見られなかった事などもあってか
もう一度、一般公募で募った
チームセレクションに参加する運びとなる

総勢100人弱が集まった舞台

そこでも長年培った技術力の高さ
そして、今季磨いてきた
戦える部分を見せるなど、自分らしくプレーした

「でも終わって、合否を待っている間が一番不安だった。
これでダメだったら…と想像してしまって」

不安に押し潰されそうになるなど
感情は日々、揺れ動いた。

そして、遂に冒頭の合格の一報を受け取った

両親や仲間に連絡を入れると
皆が祝福してくれた

『よっしゃー!』という歓喜と
『ホッとした…』安堵の気持ちが入り乱れたが、
既に神田夢実の視線は
2021シーズンの活躍に目を向けている。

昨年、J3で17位と苦しいシーズンを送った横浜で
想定されるポジションは442のトップ下

神田夢実にとって、最善とも言えるポジションだ

「初年ですがキャプテンを今年はやるくらいのつもりで行きたいです。
周りに出来るタイプじゃないと言われがちなんですけど、
自分が活躍する為にもチームも良くしないと絶対に活躍できない。
チームを自分が引っ張って良くして、自分も活きるようにしていきたい」
「Jリーグに戻れて本当にワクワクしている。結果で示します。
今年はシーズン通して出ますよ。自信はあります」

開幕の舞台は3月14日(日)
ニッパツ三ツ沢競技場で行われる
カターレ富山との一戦だ

カターレ富山は今季、石崎信弘氏を新監督に迎える他、濱大耀選手もレンタル移籍するなど札幌ファンにとっても激熱な一戦となる事、間違いなしだ


ユースの頃、トップチームの練習に帯同した際に
幾度もお世話になった指揮官と
アカデミーの後輩擁する開幕戦

2シーズン振りとなる
Jリーグの舞台が楽しみで仕方ないという

そして、その先の神田夢実の
サッカー人生のを訪ねると

「J2、そしてJ1のピッチで活躍する事です。
そして、何とか札幌ドームに戻りたいと思っています。
小さい頃から何度も通ったスタジアムで特別な場所なんで。
「古巣対戦の時、サポーターに挨拶に行く選手の様子を見ていて、
『あれをやりたいなあ』っていつも思っています。
みんな歓迎してくれるかなあ?」

長い人生・そしてサッカーキャリアで見ても
本当に有意義だったと振り返る
関東リーグ1部東京23FCでの一年を終え、
J3Y.S.C.C.横浜への移籍を実現させた神田夢実

しかし、彼にとって【Jリーグに戻る事】が夢の実現ではない
【Jリーグの舞台で活躍する事】が彼にとっての夢の実現だ

今回の移籍はそのチャンスを大きく引き寄せる一歩であり、
ここからが本当の勝負だ

多くの経験を積んで帰還した
Jリーグの舞台で
神田夢実が見せる2021シーズンに
是非注目して欲しい

『昨年、SNS類で応援してくれる方々がいたので、頑張らないといけないという思いが湧いて来た。
応援してくれた全ての方々に本当に感謝しています。
今年一層頑張るので是非応援して下さい!』

神田夢実の今後の活躍を心より楽しみにしたい

今の夢実ならきっとできる

画像6



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?