路傍の石
『路傍の石』山本有三著 偕成社文庫 発売日:2002年5月 を読みました。
言わずとしれた有名な本ですが、子供の頃きちんと読んだことがなかったです。
どうしてなのかはわからないですが、聞いたことはもちろんあって、進められたことも何度かあったと記憶しているのですが、ミステリー物とか、ファンタジーが好きだった子供の頃、いがぐり頭の男の子が主人公の泥臭い話は、読んでいて途中で嫌になってしまった可能性は高いです。
意固地でプライドが高く、勉強への志があるけれど、貧しい家に産まれて親のサポートもなく、なかなか思うように勉学の道に進めず苦しむ男の子、吾一の姿は、今の時代でも、かたちを少しずつ変えて、世界中であることだと思います。
また、吾一はなんとか働き口にもありつけたし、勉強の道も開けましたが、もし吾一が女の子だった場合は、同じ境遇でももっとひどい道を歩む可能性もあったように想像できました。
こういった、時代が変わっても、大人になっても、人によっての世の中の公平、不公平の構図はずっと変わらず存在するということは、生きていくほど、それぞれが、身に沁みていくことだと思います。
「君たちはどう生きるか」でも感じたことですが、子育て中の方や、学校に入ったものの、何もやりたいものがない、と嘆く人たちが読むのもよいのではないかと思いました。
吾一はまっすぐで一生懸命、そして時々思い切りよく行動したりと、読んでいてはらはらするような展開で、このままいったらどうなるのかしらと思いましたが、最後希望が見えたところで終わってよかったです。
前を向いて生きる大切さを学べる良書でした。
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