#153「ダブルタッチ」
複数案件を進めていくなかで、パワー配分を考えなければいけない。全てを一人の力で進めていくことはできない。もちろん時間をたくさんかければ良いものが生まれ、成功する確率も高まる。しかし、同時に複数の大型プロジェクトを進めていくうえで、どうしても自らの力は限られてしまう。だから遅くまで残業をしてかつ、休日も仕事をして対応する、、と思うのではなくて、限られた時間のなかで何ができるのか。そもそもどのレベルまでを目指し、取り組んでいくのか。何を諦めて何を優先するのか。そのためのコミュニケーションを社内外でするべきだし、自らもより意識していかなければならない。ここ最近は、そんなことを感じる機会が増えてきた。
そうやって知らず知らずのうちに仕事のことばかりを考えてしまっていて、他のことが疎かになる。その例がサッカーだ。半年前、あれほどの熱量があって、仕事以上に情熱を込めて取り組んでいたのに、今はその情熱の火が消えようとしている。今シーズンもあと2ヶ月で本当に終わってしまう。それなのに、このままでいいのだろうか。
仕事終わり、大雨に打たれながらサッカーをしていて、純粋に楽しかった。今の状況は決して望んでいたものではないけれど、確かな手応えもあったし、まだまだやればできるんだと自信を持つこともできた。家に向かう帰り道、程よい疲労とアドレナリン分泌を感じながら、最近の自身のマインドを振り返る。いつからかチームの影部者であろうとしていて、どこか格好つけている自分がいたのかもしれない。それではダメだ。俺がチームを勝利に導く、そのためのプレーを選択しないといけないし、そんなマインドでプレーしないと、試合で表現なんてできない。監督だって、勝つためにプレーする11人を選ぶに決まっている。ともすれば、今の自分は、勝ちに執着できていない。
先日、スペインのレジェンドであるイニエスタが現役引退を発表した。中高生の頃、何度もバルセロナの試合を観ていて、何度も参考にした選手で、私にとってかけがえのないアイドルの1人だ。彼を観ていて、どれだけ姿勢の良さや基礎基本の徹底が大切であるかを学んだ。派手なフェイントはいらない。ダブルタッチで相手をいなしていく。ダブルタッチは、事前に相手の出方を予想しておかなければ、決して成功はできない。地味だけどタイミングが重要な高度な技。それを最も簡単にして見せる彼は、マジシャンだった。
仕事でもサッカーでも、先を予測したダブルタッチを意識していこう。
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