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私のプレイヤーランキング終了宣言と、思い出話

まえがき

「もう2年半くらいランキング作ってないのにいまさら何言ってんだ」と言われてしまうかもしれません。実際もうランキングを作る活動を辞めてからしばらく経ちますし、Twitterでもなんとなくもう作らないっぽい雰囲気を醸し出していたので、私がランキングを作らないことを宣言するのは何も新鮮味はないと思います。それでもあえてこの記事を書こうと思ったのは、SHIGのライブ配信活動休止宣言と、それに対するTwitterでの反応を見て、ひっそりと終わらせるよりもきちっと宣言するほうがかっこがつくと感じ、筆を執りました。例えは悪いですが、お葬式とかお墓参りみたいに故人を偲んだり懐かしんだりすることは人類が農業とかを始めるずっと前から脈々と行われてきた行為なわけで、競技スマブラシーンに少なからず影響を与えた私のランキングに対してもそういうことをしてみようとかな、と思った次第です。

そんなわけでこの記事は私が作るランキングの終了を宣言するために書かれたものです。とは言ってもそれだけだとあまりにも記事として物足りなかったので、当時の競技スマブラシーンとランキングを振り返るのがメインになっています。当時のことを知る方々は懐かしんで頂いて、当時のことを知らない方々には、今の競技スマブラシーンとのギャップを感じながら「こんな時代をあったんやなぁ」と感じていただければ幸いです。

終了宣言

繰り返しになりますが、私がスマブラのプレイヤーランキング(通称JPR)を作ることを終了します。元々、2020年のはじめに、今年でランキング作成なども諸々の活動を終了すると宣言はしていたのですが、直後に新型コロナウィルスが流行し、競技スマブラシーンが止まってしまったため、今後の活動方針について曖昧なままでした。あれから2年が経ち、ようやくコロナ禍も落ち着きはじめ大会等も動き出したということと、さきほどのSHIGの件もあり、このように終了を宣言することにしました。

いい機会なので、ランキングの思い出を振り返ってみます。

ランキングの思い出

私が初めてスマブラのランキングを作ったのが2016年11月なので、もう5年以上も前になります。元々、2016年2月からSmash Recordというスマブラ大会の戦績をまとめるWebサイトを作っていて、この集めたデータをどうにか活用できないかと思ったのと、当時Panda GlobalというesportsチームがPanda Global Rankings(PGR)という世界ランキングをちょうど発表していたのもあり、データも揃ってるし俺もいっちょやってみるか、的なノリで作り始めました。

結果的に、4年ほどかけてスマブラ4のランキングが5つ、スマブラSPのランキングを2つ発表したことになりました。1つ1つのランキングを振り返りながら、当時の思い出を語っていきます。

JPR v1

https://twitter.com/harukisb/status/794179749358645248

これが私は初めて発表したランキングになります。当然ながらプレイヤーランキングなんて作ったことがなかったので、右も左もわからない状態からのスタートでした。色々と試行錯誤をしながらも、最終的にはテニスのランキングのように、大会の順位ごとにランキングポイントを獲得して、その合計ポイントが高い順にランキングを決めることにしました。

JPR v1で特筆すべきは2つ。あばだんごさんのランキングの低さと、キリハラさんというHidden Boss(隠しボス)の存在です。

当時、あばだんごさんは頻繁に海外遠征を行っていて、どの大会でもTop8常連の超強豪プレイヤーでした。しかし、なぜか国内大会の結果だけは奮わず、「あばだんごは海外勢」とネタにされる始末でした。そのため、世界ランキングであるPGRでは5位に君臨していたのも関わらず、国内大会だけを集計対象としたJPR v1では12位という逆転現象が。この低さのせいで、海外からは「なぜこんなにあばだんごの評価が低いのか」という反応が多く見られました。後述しますが、JPR v2以降では海外大会の結果も集計対象する方針にしたため、以降はあばだんごさんも正当に評価されるようになります。

もう1つが、Hidden Bossであるキリハラの存在です。ランキングの発表に別枠でプレイヤー名を載せたのはこれが最初で最後でした。当時、キリハラさんは対戦会などの内容から見て、日本トップの実力を持っていることは確実視されていましたが、プライベートの都合が合わず大会にはあまり参加できていない状況で、大会出場回数がランキングに載るための規定回数に届いていませんでした。このケースをどのように扱うか非常に悩みましたが、結果的には「強いプレイヤーを周知する」というコンセプトを貫くために、Hidden Bossという形で特別扱いすることに決めました。結果的にキリハラ以降のランキングで上位常連となったため、この判断は正しかったなと今でも思っています。

JPR v2

JPR v1からすぐの4ヶ月後にv2を発表します。このころは勝手がよくわかっていなかったので、集計期間は1年間のまま、4ヶ月分スライドさせる形で集計し直してランキングを発表していました。最近では、前回のランキングとは集計期間を被らせないのが主流です。

このランキングは、「海外勢に日本の強豪プレイヤーを周知する」をコンセプトに作られていたため、ツイート文が英語になっています。それと、日本人の海外遠征も一般的になってきたため、国内大会だけを集計対象とすると前回のあばだんごさんのようなケースが多くなり、ランキング上の順位と本来の強さが乖離してしまうのを防ぐために海外大会も部分的に集計対象としています。地域のランキングで地域外の大会を集計対象とするのは珍しかったので、結構葛藤がありましたが、やってよかったと思ってます。

JPR v3

v3ではKudさん協力の下、初の動画での発表となりました。動画の内容としては、各プレイヤーのシーズンの戦績と名場面を振り返るかたちになっており、これはかなり反響が大きく、JPRにとってもターニングポイントになりました。この動画のおかげで「JPR上位に入って動画を作ってもらう」のを目標に大会に望むプレイヤーも多かったと感じています。いわば私のランキングの全盛期ですね。

JPR v4

v4です。なぜかこの頃の記憶がまったくなく、特に振り返ることもないので省略…

JPR 2018

このランキングから、前回ランキングとの期間の重複をやめ、名前もJPR v○という形からJPR2018と西暦を入れる形に変えました。このランキングを構想し始めた2018年頭の時点では、発売から5年近く経過して競技シーンの成熟してきたことも考えて、1年ごと発表を考えていましたが、2018年3月に新作のスマブラSP発表、2018年6月のE3で発売日が2018年12月であることが発表されたため、思いもよらずスマブラ4最後のランキングとなりました。

このランキングでは専用ツイッターアカウントを作り、v3と同様に盛大に動画も作られ、スマブラ4最後の集大成にふさわしい発表だったと自画自賛しています。実を世界のスマブラシーンで言うと、2018年ごろは次回作が発表済であったことや、絶対王者ZeRoの引退などもあり、やや盛り下がっていた状況だったのですが、日本国内に限って言えば間違いなく2018年が盛り上がりのピークだったと思います。スマブラ4最後の大会となったUmebura for Wii U finalは、国内スマブラ単体イベントでは当時異例の600人超の人を集め(これも今となってはそこまで多くない数字ですが)、スマブラSP発売直前まで盛り上がり続けました。また、ザクレイさんが前回の101位から一気に8位まで駆け上がり、頭角を表し始めたのもこの頃からでした。

スマブラSP 2019年<上半期>

さて、スマブラSPが発売してから、初のランキングとなりました。スマブラ4からスマブラSPになり、ゲーム性はそれなりに変わりましたが、やはり前作からの経験値が生きる形となり、上位は相変わらずの面子です。ランキングにおいては大きな変化が2つありました。

1つは、集計期間が1年から半年にしたこと。集計期間を短くすると集計対象となる大会数が減るため、1つの大会がランキング全体に大きく影響してしまい、ランキングが大味になるデメリットがあります。それでも集計期間を半年にしたのは、スマブラSP発売当時の熱量から考えて、ランキング発表まで1年待つのは長すぎると判断したためです。これも今振り返ると正しい判断だったと思います。

もう1つはレッドブルのWebサイトに掲載されたことで、これはかなり大きな達成感がありました。私の作るランキングは、別に公式でもなければ、誰かに頼まれたわけでもなく、いわば勝手に1人で始めたものだったので、それがesports界でそれなりの権威を持つレッドブルまで到達したのはかなり光栄なことでした。

スマブラSP 2019年<下半期>

https://www.redbull.com/jp-ja/smabros-sp-player-ranking2019-secondhalf-top30

これも前回に引き続き、集計期間は半年、発表媒体はレッドブルのWebサイトでした。

ここで、今まだにない感情を抱き始めます。それは"飽き"です。そもそも何が楽しくてランキングを作っていたのかも上手く言語化できないのですが、ここに来て急に謎の飽きが来ました。おそらく、レッドブルに掲載された達成感と、ランキング作りが上手くなりすぎてランキング作成の作業感に耐えられなくなったんだと思います。要するにランキング作りを全クリしてしまったわけですね。

とは言ってもさすがにいきなり辞めるのもアレだったので、2020年初めに「今年で終わり」宣言をして、2020年を最後にランキング作成活動を辞めることにします。ところが、コロナ禍に突入し、大会が開かれない状況になり、ランキング作成もストップ。あれよあれよという間に今に至ります。

これからのランキングはどうなっていくか

私のランキングはもう終了ですが、世界ランキングを作っているPanda Global(の下部組織であるPGstats)が、地域ごとにランキングを作ることが発表されています。このランキングは、今までのような「集計式」ではなく、野球のMVPを選ぶプロセスのように、有識者による投票で決まるパネリスト方式となります。おそらく、この記事が公開されてから数週間後に発表されるみたいなので、皆さん楽しみにしましょう。

ここからは私の未来予想です。ランキングは作られ続ける一方で、競技スマブラシーンにおけるランキングの立ち位置はどうなっていくかを考えると、コロナ前と比べるとランキングの存在感が下がっていくかな、と予想しています。コロナ前までは「ランキングを上げるために(大枚をはたいて)遠征する」というプレイヤーの動きも多く見られましたが、そういったランキングを主眼においた動きというのはなくなっていくと思います。これにはいろいろな理由があると思っていますが、1つはSmash World Tourという非公式のツアーの存在や、各地(特に都市部)の大会増加でプレイヤーの遠征数の低下する結果、地域を跨いだプレイヤー同士の強さの比較が難しくなるなど、色々語ることがあるのですが、長くなりすぎるので省略します。いずれにしても、競技スマブラシーンでの軸足は「複数大会で結果を残してシーズンのランキングで上位になること」から「重要な大会でしっかりと結果を残すこと」にシフトしていくのかなと思っています。例えるなら、ストリートファイターのような競技シーンをイメージしています(と言っても、SFはカプコンがガッツリ公式大会を開くのに対して、スマブラはほぼ非公式大会のみという違いはありますが)。

そんなわけでこの記事を締めます。ランキング作りはあんまり興味がないですが、競技スマブラシーンとランキングの関係を見守ったり、状況を分析といったことは相変わらずやっていくので、よければ私のTwitterもフォローしてくださいね。


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