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CRAFT MAN VILLAGE - TAKAOKA

今回紹介する取り組みは「CRAFT MAN VILLEGE - TAKAOKA」です。
「クラフト?マン?ビレッジ?・・なんだそりゃ。」
多くの方にとって初めて耳にする言葉だと思います。
今回はそんな新しい取り組みについて紹介していきたいと思います。

CRAFT MAN VILLAGE とは?

「CRAFT MAN VILLAGE」とは、
創造力に溢れた学生によって創る街の名称(※造語)です。

ここは富山県高岡市にある伏木という街。
古くから越中国の中心地として越中国府が置かれ、万葉集でも有名な大伴家持が手腕を振るっていた由緒ある街です。

しかしそんな街も今では住民の高齢化が進み、空き家が増加の一途を辿る、まさに時代の波に取り残されようとしています。
(「時代の波に取り残されている」という表現はその地域に住む方々にとっては癪に障る恐れがありますので、聞いてなかったことにしてください。)

しかし、実際のところ、この地域の高齢化と空き家の増加問題はかなり深刻で、私の曽祖父の家がある地域に限定していえば、子供は誰一人としておらず、いわゆる高齢者と呼ばれる年代の層の方々がひっそりと暮らしているというような過疎化にも拍車がかかる現状です。

そんな地域において、現地に住む大学生が空き家を安価に借り、自分達の手でDIYやリノベーションをすることで、大学生の住処(シェアハウス)としてリメイクし、そこを拠点に大学生と地域が一体となる街づくりを目指そうとして始まったのがこの「CRAFT MAN VILLAGE」という取り組みです。


CRAFT MAN VILLAGEの目指すところ

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私たちが舞台とする富山県高岡市伏木という地域の近く(近くといっても片道3キロは離れていますが・・)には、富山大学芸術文化学部生の通う高岡キャンパスがあります。

私たちはその高岡キャンパスに通う芸術文化学部の学生(以降、芸文生と省略) が「楽しく、安く、のびのびと」生活できるシェアハウスづくりを現地の空き家増加と併走して行っていきたいと考えています。

その過程においては、地域の方々と共創するイベントを開催したり、地域のお手伝いをしたりと、地域の方々と交流する機会を積極的に設けていきます。

そうした地道な活動を通して、お互いがお互いを支え合う関係性を築き上げ、その地域に住む芸文生が作った作品を街中に展示するといった、街全体をキャンバスに見立てたアーティスティックな街づくりを目指します。

また、その関係性が何代にも渡って継続していくような (毎年新しい学生が全国から集まり創意工夫していくような)、永続的かつ魅力溢れるアートの街を目指します。


#空き家問題と向き合ってみる


「そもそもなぜ空き家の増加が問題視されているのか?」

空き家が社会問題として認識されている背景にはいくつかの理由があります。今回は数ある原因の中から、私が特に重要だと思ったことに絞って紹介させていただきます。

っと、その前に!!
皆さんは空き家が増加することで最も心配なことは何だと思いますか?

例えば、街の景観が崩れることとか、治安の悪化とか、いろんなことが挙げられると思います。そんな中で、私が最も心配すべき点として挙げるのが、空き家の老朽化による倒壊の危険性です。

空き家となった建物が雨や風に晒され、年季を帯びることによりどんどんと崩壊の危険性が増していきます。
普段、人が住んでいないこと自体に大きな影響はなかったとしても、「自然崩壊によって隣の家に被害が及ぶこと」つまりは「近くに住む人が安心して生活できなくなること」、これこそが空き家が増加することの最も心配な点ではないかと私は考えています。


#大学生による空き家対策

空き家が増加することの最悪のシナリオが前章をお読みいただいたことで理解していただけたのではないかと思います。
ここからは、以下の二つのトピックについて私なりの意見を紹介していきます。

Q. そもそも空き家が増加する根本問題とは?
A. それを受けて私たちが具体的にどのような活動をしているのか?


Q. 空き家が増加する根本問題

私は空き家が増加する主な根本原因には、以下の四つがあると考えています。そしてこれらは複雑に絡み合っていると私は考えています。具体的にそれはどういうことなのかについて順に話していきたいと思います。

① 住民の高齢化と核家族化の進行
② 
巨額な取り壊し費用
③ 建物の老朽化

①住民の高齢化と核家族化の進行
「住民の高齢化」と「核家族化の進行」というのは、相互作用している問題だと私は考えています。人間、誰しもが歳をとります。そのため、そこに住んでいる人が高齢化していくというのは当然の流れです。しかし、近年は核家族化が進むことにより、次の世代が同じ家に住まないという現象が発生しています。それはつまり、高齢化していく親世代を残したまま自分達(若い世代)は別の地域に移り住み、子供を作り、移り住んだ先の地域で生活を営んでしまうために、親世代の住む家には一人、ないしは二人だけが残ってしまうというものです。

具体的な数字を用いてこの事象について説明してみます。
(※今回はできる限りわかりやすくするために、ベビーブームや出産平均年齢の変化といった時代背景に纏わる事柄は一切無視することとします。)

2021年現在における女性の第一子出産平均年齢は29.4歳であるため、
仮にも自分が29歳に子供を産み育てると考えた場合・・

母親:58歳(自分+29)
自分:29歳
子供:0歳

母親が施設に入る年齢を、健康寿命が伸びていることも加味して、70歳と仮定した場合・・

母親:70歳
自分:41歳
子供:12歳(小学6年)

母親が施設に入居する頃というのは、子供はまさに成長盛りであり、この頃に母親が住んでいた家に引っ越しをするというのは子供にとっては少しばかり酷なように感じられます。また、自分自身や旦那もキャリアアップを重ね、仕事面において非常に重要な時期であると考えられます。

つまり、この現象の行き着く先は、親世代が亡くなったり施設に入居することが決まったりした際に、親世代が住んでいた物件が空き家となってしまうという未来です。


②巨額な取り壊し費用
ここまでの話を読んで「家を売れば良いんじゃないか?」と考えられた方もいらっしゃるかと思います。

しかし、家を売るという選択肢に対しては、仮にその選択肢がちゃんと機能しているとしたら、恐らく今現在空き家を所有すること自体が問題になっていることはないのではないでしょうか?

では他にも「取り壊したら良いんじゃないか?」という意見があるのではないかと思います。物件の取り壊しについては、既知の方も多いと思いますが、非常に莫大なお金がかかってしまいます。

木造建築の一戸建てを解体するとなると、少なくとも200~300万円は見積もっておかなければなりません。

それに加え、子供の頃の思い出や家族との思い出がたくさん詰まったお家を簡単には壊そうと思えないというのが正直なところではないかと思います。


③建物の老朽化
空き家の増加する根本原因として最後に挙げるのが、住民の高齢化と同じく、建物自体の老朽化(高齢化)です。どのような建物であっても時代の流れには逆らえません。人間と同じく、必ず寿命というものが存在します。

この問題に対しては、リフォームや耐震補強といった延命治療のほか、これといった解決策はまだありません。


①~③までの説明を通して私が今伝えたいことは、親世代の住んでいた家を今後どうしていくかを考える時期が必ず来るということです。

そして、今後も空き家問題というのは、持ち家文化の強い、とりわけ地方において多発していくということです。


A. それを受けて私たちが具体的にどんな活動をしているのか?

私たちはこれらのことを受けて、空き家が崩壊の危険性を持つ前に大学生が自分達の住処(シェアハウス)として借りることが、空き家の事前対策へ繋がると思っています。

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この活動では、空き家増加の根本原因として挙げた三つの事柄について、大学生の力でなんとかなるものと、そうでないものの二つに分けた上で、自分達の力でなんとかなるものに全力投球しようという思いを持って活動しています。

具体的に大学生の力でなんとかなるものとして、倒壊の危険性のある廃屋になってしまう前の物件、すなわち施設への入居が決まったり、住人の方が亡くなってしまったりした際のまだすぐに使える状態の物件を、大学生の住むシェアハウスとして安く貸し出していただくというものです。

思い出のたくさん詰まったお家を貸していただき、大学生が自分達の力でDIYやリノベーションをし、住みやすいようにリメイクする。

空き家となるはずだったお家が、大学生の活動拠点として新しく生まれ変わる。この活動はお家を貸してくださる方にとっても、そこに住む大学生にとっても、さらには近くに住む地域住民の方にとっても、幸せを運ぶものであると私たちはそう信じています。

また、今現在は手に負えないと考えている廃屋と化してしまった空き家についても、これから学生の間でアイディアを出し合い、向き合っていけたらと思っています。


まとめ

私たちの「CRAFT MAN VILLAGE」という取り組みは、空き家問題が社会問題として取り上げられている現代において、新しい活路となるものだと考えています。だからこそ私たちが一つの成功モデルとなることで、将来的には全国各地で同様の動きが出てきたら良いなと思っています。

最近は、実際に応援してくださる方も増えてきて、学生だけでなく地域に住む方々の協力も得られるようになってきました。私たちはこの活動を続けていく中で、少しでも地域の方々と交流し、向き合い、お互いがお互いを支え合う、一つの生命体として一体感のあるものを創っていきます。

富山県高岡市に住んいらっしゃる方も、そうでない方も、
ご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

2021年12月吉日



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