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【御礼】暮れの元気な5倍速

ご挨拶です。
タイトルは意味をわかってもらえないと無限に滑りますね。
百合朗読『わたしときみの』の御礼を書こう書こうと思いつつ、終演〜コロナ感染有無確認2週間〜同時上映会告知〜とお知らせが続いていたのでありがとうございましたを個人的に伝えるタイミングを逃しており、気付けば暮れのご挨拶と一緒になってしまいました。

改めまして

A.G.R.Y.S. feat.蛙田アメコ 百合アンソロジー・リーディング『わたしときみの』、ご来場およびご鑑賞ありがとうございました。
初めての公演主催、初めての脚本演出でした。
不安がなかったわけではないですが、リードするのもケツを持つのも俺だ、と思ったら割となんとかなりました、いやこの言い方は傲慢ですね。
なんとかなったのは、この状況でもなんとか上演に漕ぎつけようと一緒に走ってくれたアメコ先生、演者さん、スタッフさん、それから、いろいろ制約や決まりごとの多い観劇方法やルールにご協力いただいたお客さまみなさまのおかげです。それから判断に迷った時にアドバイスをいただいた制作者として先輩のみなさま。
ありがとうございました、という言葉しか私は知らないので何遍も同じ言葉で恐縮なのですが、本当にありがとうございました。感謝しています。ツイッターだったり直接だったり、ご感想もいただいて楽しんでいただけたのだなとも思っています。

特に毒にも薬にもならない所感など

ここからは標題通りの雑談コーナーです。各演目ごとに思ったことなどを書き留めておきます。

いつか世界が終わる前には
宮本の脚本演出でした。脚本担当としての話をします。
今考えると割と恐ろしい話なのですが、脚本提供のアメコ先生と事前にコンセプトの共有などを一切していなかった(各演目について「こういう話の予定」は共有しておりましたが、4演目通しての軸をどうするみたいな話はした記憶がないです)ため、4本中3本が現代劇なのに1本だけノスタルジック・ファンタジーな物語になってしまいました。
生まれるまでにいくつかパターンがあって、最初はサンシャイン水族館をモデルにした文明崩壊最中の近未来を生きる少女たちの物語、それから舞台を大英帝国に移した往復書簡による物語、など捻り出したうち採用されたのがバレエを通じて交わる身分の違う少女たちが感染病によって崩壊する社会から脱走する本作でした。そんさん演じる少女が「祈り」を反復するのは現在の世情を省みてのことです。

ぼくタチのネコ
これは蛙田アメコ先生の書き下ろし脚本演出でした。
『フジョシ先輩〜』をやろう、と決めた時点でオムニバス公演にすることを決めており、私とアメコ先生で計2作ずつ出すことになっていました。
キャストが決まるのが早かったので本作についてはほぼ当て書きしてくださったそうです。おかげで演者・宮本については「女役なのに見覚えのある感じ」の仕上がりとなりました。
突然大きな声出すのって難しいですね。また私は声が優しくないので、一生懸命優しい声にした上での演技って初めてだったのでなんかもうそれが一番大変でした。優しくなりたい。
また、アメコ先生の脚本からは「笑いってこういう風に作るのか」という学びもありました。今後生かしていきたいなと思っています。

涙雨より透明な虹
宮本脚本演出です。
初稿段階でギリギリまでいろんなパターンが並走して悩んでいたし、案の定稽古始まってからも書いて消して書いて消してやっていたので演者のみなさまには本当に申し訳なかったです。あとアメコ先生、そんなつもりではなかったのに何度もラムネ瓶吹かせて本当に申し訳ございませんでした。
なんでそんなことになってしまったかというと、やりたいことだけが決まっていたけど、それを一番活かせる物語進行が思いつかなかったからです。決まっていたやりたいことは「死んだ人の話をする」でした。そうだろうな、とうっすら思った人もいると思いますが。いくつもあった案のうち覚えている別パターンは「峠でバスが滑落して生死の境を彷徨っている四人(のうち一人だけ恋人が既に他界している)」でした。設定自体は気に入っているので炒め直してどこかでお披露目するかもしれません。

フジョシ先輩と推されない私
アメコ先生原作・脚本、宮本演出でした。
何度もいろんなところで言ってきてますが、本公演のきっかけとなった作品です。pixivで初めて通して読んだ時から頭の中では糸巻さん(フジョシ先輩役)が動いていました。一番最初、まだアメコ先生に本格打診する前の段階ではこの1本で公演を打とうと思っていました。が、最終的にいろんな事情でオムニバスにさせていただき、大変心苦しいのですが本公演用に尺を短くしていただきました。その分と言うわけではないのですが、脚本集には上演できなかったシーンを含めた原作版を収録して販売しております。
他人様の作品を演出するのは難しかったですね、分かっていたことだけれども。ちゃんと物語の意図を汲めてるんだろうか、原作の面白さを届けられているんだろうか、或いは朗読劇としてちゃんと面白くなってるんだろうか、とか。バランスね。語りだけじゃなくて結構ガッツリ会話もあるし、回想もあるし、原作は小説だけど非常に「カメラワーク」がユニークな作品なのでそこのどんでん返し感は絶対生かすぞ、とか。
でもおかげさまで、いい作品になったんじゃないかなと思っています。お客さまのご感想を読ませてもらって、そう確信しています。

ここからは私の思い出の話なんですが、多分最初は二子玉川のパンケーキ屋でした。多分夏だったと思います。
私は漠然といつか演劇公演を打ちたいと思ってて、アメコ先生が今となってはデビュー作である「女だから〜」でバズっていて。最初「女だから〜」のリーディングをやりたいって言ったんですよ、もっとアテレコ風な感じで。そしたら直後に書籍化が決まってしまったので、断念して。
その後「俺これやりたいんすよね」と昨日見た夢の話みたいなノリでフジョシ先輩の舞台化の話をしたのはゴールデン街のクソ狭いバーでした。2階に通されて、僕らのグループが入ったら満席になりました。「天気の子」を新宿でレイトショーで見ると終わった後新宿の朝焼けに出迎えられると聞いて一瞬迷って結局終電で帰りました。2019年の夏のことです。
改めて、脚本提供の打診をしたのは2019年12月。赤羽で飲んでました。昼から。ここだけ書くとお前いつも飲んでんじゃねえかという誤解を受けそうですがそんなことはないです。(本当にないです)
その時にはオムニバス公演であること、全体の上演予定時間、出演者数見込み、想定している会場まで決まってました。ヒサさんにフライヤー依頼するのが決まったのもこの日だったかな。あとは、ラムネサワーがラムネ瓶ごと出てくる店で、空になったラムネ瓶をアメコ先生が得意げに吹いていたこと。それを見て「あめこさんラムネ瓶を吹くだけって役で出てくださいよ」って言った手前、私の脚本には「アメコ先生にラムネ瓶を吹かせる」という制約がついて回りました。
それからは出演打診かけて、スタッフさんもいろいろ依頼して、会場押さえてってやってる間にまあ皆も知っての通りの状況になりまして。
ぶっちゃけ4月くらいに「今ならやっぱやめますって言っても誰も責めて来ないよな」とチラッと頭をよぎったのですが、でも多分今回やらなかったら私は二度と企画やらないんじゃないかって思ってしまって。いろいろ情報集めて対策しながら、強行しました。幸いなことに、メインで稽古してた夏〜秋は今と比べれば少しは落ち着いていました。

求められてもいないのに語ってしまうのは、私にとってこれが挑戦であり、そして初めて取り組んだものだったからでしょう。
私は飽き性だし、思い切ったことがやれない性分なので今後も継続して劇公演を企画していくかどうかわかりません。もしかしたらこれっきりかもしれない。

今年はこの主催公演と、あとは1月にのたんぷにて客演させていただいた「雪幻橙星」ですね。それ以外、正直いい思い出が全くありません。
いや、本当に散々だったんですよ。こういう状況なので私だけではないとは思うのですが。
度重なる体調不良、移り変わっていく人間関係、適応障害、そしてなかなか致命的にアウトプットに難を来しているという発達障害の診断、暮れに突然起こった自律神経失調症と起立性低血圧と思しき症状も治らないまま年を越すことになりそうです。
こんなに「泣きの一回が欲しいな」と思いながら一年を終えることもそうそうないし、年が明けたら急に何もかもよくなるわけでもないわけじゃないですか。
駄目ですね、暮れの挨拶記事なのだから明るいこと書いて感謝でサラッと締めたかったんですが本音が出ますね。
でも、まあ、そんな年にやった「わたしときみの」だからこそ、関わった方、観てくださった方の心にもきっと何年経っても残ってくれるんじゃなかなと思っています、多分。
私は無限に悲観的だし斜に構えているし憂鬱が服を着て歩いてるみたいなもんなんだけど、見てくれる人がいて作ってるものはたとえ砂一粒みたいなもんだとしても希望の話をしたいんだよ。
そして、わたきみはそういう作品になったはずだと、私は思っています。

改めて。
今年はいろんなことがありました。
お世話になったみなさま、本当にありがとうございました。
来年どうなるか分かりません、私が来年何をやってるか分かりません。
でも、ここまで読んでくれたあなたに幸せな年が来ることを祈っています。

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