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タバコと遊具

日曜日は息子と公園に行くのがルーティンになっている。まだ歩きもたどたどしいが家の近くの公園まで手を繋いで歩いて行く。

そこはバス停がくっついてる小さな公園、いつも遊ぶバネがついていて前後にゆらゆら移動する遊具に先客がいた。

歳の頃は40〜50歳、赤く染めた髪の毛に大きめのジャンパー、下はダメージジーンズを履いたチョイ悪オヤジ風のおっさん。

このおっさんが左手に携帯電話を右手にタバコを持ちながら遊具に乗ってユラユラ揺られている。きっとバス待ちの間、タバコを吸いたかったのだ。

そのバス停はなかなか人も多く、その奇怪な光景にみんなが注目している。

煙を吸ったらいけないので息子を滑り台まで避難して遊んでいたら遊具におっさんはいなくなっていた。

これはチャンスと思い息子を遊具で遊ばせようとしたが、遊具近くの側溝に向かってしゃがみ込んでるおっさんの姿。枝のようなものを持って側溝の中を覗き込む。

さては、鍵でも落としたかなと思って見ていると、バス待ちの人々も気になったのか、みんなで見守っている。

次の瞬間おっさんがズボンのチャックを下ろし側溝に向け放尿を開始した。

バス待ちの人々も僕もパニック。
取れない苛立ちのあまりおかしくなってしまったのかと疑っているとおっさんと目が合う僕。

まずい絶対に絡まれる。
と思って身構えると今にも泣き出しそうな顔でこっちを見ている。

そこで、煙たさが増してる事に気づいた。おっさんの足元からモクモクと煙が立ち上っている。
側溝の下にタバコを捨てて火がついたのだ。

ようやく気づいた周囲の人間が動き出す。バス待ちの1人がペットボトルの水をかける。公園で遊んでたお母さんがバケツに砂を入れて持ってくる。

無事火が消えるとおっさんはそそくさと消えてしまった。

あとで見てみると側溝には落ち葉が詰まっていた。

ポイ捨ての怖さを思い知ると共に、焦った人間の判断力を見せつけられた出来事だった。

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