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海沿いの景色

幼い頃から海沿いの町に住んでいる。

人に話すと羨ましいと言われる事もあるが、住んでいるとそれなりの苦労もある。
特に冬場は、海からの強風で猛烈な吹雪になり、路面に吹き溜まりが出来、一日中除雪に明け暮れる日もある。
毎年の事だが、それはしんどい。
ご近所の方のお話では、冬場の海風で窓に昆布の切れ端がつく事もあったそうな。

そのような苦労もあるが、やはり私はここが好きだ。
海沿いの、この町の景色がとても好きだ。

厳しい冬が明け、陽が延びて雪解けが一気に進み、春の花が一斉に咲き乱れる頃、
海もまた優しく穏やかに変化する。
白波立つ青い色から、凪いだ淡いブルーグレーになってゆくのだ。
開けた窓から聞こえてくる、遠くのボートのエンジン音とカモメの鳴き声。
もう夏なんだな、と感じる瞬間である。

やはり人から見ると、これって結構贅沢なんだろうか。
感謝しつつ、今そっと手を合わせている。

#わたしと海


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