戻らない夏

天気予報では崩れると言っていたのに、正反対のカンカン照りの晴天！
暑さに負けじと、蝉も必死に鳴いている。
TVでは甲子園球児達の熱闘が報じられている。
お盆の準備をして、皆揃ってお墓参りをする。
久々に会う親戚と写真を撮って夕方から酒宴。
遠くから盆踊りの太鼓の音が聞こえてくる。
皆んな笑顔で過ごした夏。
翌日、それぞれの暮らしに戻っていく。
それじゃあまた来年！元気でね、と手を振りながら。

階下のTVが付けっぱなしだったので消しにいく。
電源を切りふと振り向くと、いつものようにいつもの場所で、飲みかけの缶ビール片手に、ランニングシャツと短パン姿でうとうとしている父の姿が見えた、…ような氣がした。

もう何年も前から、その席は空いているし
今もただ、夏の名残り日が差しているだけだ。
いつもと変わらず何年も続いていた、あの夏の風景はもう戻らない。

今日は《お盆明け》。
送り火代わりの盆提灯は一晩中付けておこう。
父さん、今年のお墓参りはちゃんと行けたよ。
じゃあまた、来年ね！