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ユーザーを受け入れる器 | 読書:modeless and modal

ブログ "Modeless and Modal"を読みました。このポストはそれを読んで自分が思ったことです。

読み始めた理由は色々あるんですが、少し前に読んでいた

の作者がこのブログの筆者です。2009年頃に書かれたもので、この書籍にもモードレスの話は出て来てはいたけど、どことなく自分が理解しきれていない感覚もありちゃんと理解したかったので、読み始めました。

何が書かれている?

上記にすべて書かれていますが、「終わりのあるブログ」という形式をとりながら、「モーダレスとモーダル」というUIの概念について筆者の思想を書いてるもの。

超ざっくり+誤解を恐れずに書くと、モーダルというのは「○○モード」にユーザーを閉じ込めること。その逆で特定のモードにとらわれずユーザーが自由な操作ができることがモーダレス。

そしてモーダルよりモーダレスの方が(もはやUIという枠を超えて)人間にとって多くの場合幸せ、のようなことが書かれている。

ちなみに↑の説明は端折りまくりなのでぜひ原文読んでほしい。

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反省した

自分はもう8年に渡ってUIデザインを続けてきた。その中で沢山のモーダルを生み出してきたと思い、このブログを読んで反省した。

モーダルを世に送り出してきた自分の理由は「設計が楽」だからかもしれない。

ユーザーの自由度が少ないモーダルなUIは、その分造り手側の思い通りにユーザーを誘導できる。なので、目的達成してるかの検証もしやすかったりするし、結果他者に説明しやすい。

ただ同時に「作り手の思想をユーザーに押し付けている」ことになる。

「ユーザーがどう使うかに合わせて設計を変える」ということをよくするけど、この中には当然「どう使うかを定義する」というプロセスがある。

そしてこの「定義して使い方を狭めること」はモーダルなのだと理解している。

あらゆるものを受け入れる豊かさ

 (ヨーロッパの包丁と日本の包丁を比較した記事の引用で)

一つはドイツのヘンケル製。人間工学的によく出来ていて大変使いやすい。これが西洋流のシンプル。握ると自然に親指の位置も決まる。しかし、超絶技術を持つ日本料理の板前はグリップに凹凸のない包丁を使う。平板な把手は貧しさや未成熟ではない。むしろその逆である。どこを持ってもよいという完全なプレーンさが、板前のあらゆる技術を受け入れる豊かさになる。

上記はこのポストで他サイトから引用されている言葉。

たしかに自分の中でも「良い道具」とされるものは、やたらにシンプルでいろんな使い方ができるものが多い。

「こう使いなさい」と言われてるわけじゃない、なのに自分にとって使いやすいし、使いたいと思ったときにそれに答えてくれる道具。包丁に限らず、流行っているキャンプクッカーのメスティンにも似たものを感じる。

キャンプ全然知らないときにメスティンを見たときは、他のクッカーと何が違うのかわからなかった。だけど、キャンプに興味を持ち始めたとき、このツールがもつ可能性に驚いた。

システムは自身の機能を体現するだけで、使い方をユーザーに指示するべきではないと思いました。ある道具が役に立たないとすれば、それはその道具が状況に適していないだけで、ユーザーの使い方が悪いのではないはずです。

上記と同じポストで書かれてる言葉。ストンと落ちてくる納得感。

モーダルを実現するのはOOUIと「想い」

そして、冒頭に出した本のタイトル「オブジェクト指向UI(OOUI)デザイン」が出てくる。このモーダルなUIを実装する方法です。

詳細を書くには自分の理解不足が怖いのと長くなりそうなので避けますが、OOUIは本質的に人間が道具を使うプロセスに寄り添った「銀の弾丸」とも言えるUI設計の方法。

「OOUIで考えなくちゃ」というのはこの本を読んでからずっと持っていたけど、実際人を説得するのは大変で、時々「今流行りの考え方みたいなのに乗ってるだけでは?」と思い心配にもなっていた。

けど、モーダルという考え方を「道具作りに対する想い」として理解できた今、OOUIにしなくては、というより、「OOUIにしたい」と思えていることが嬉しい。

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もしこれから「オブジェクト指向UIデザイン」を読もうと思ってる人がいたら、先にこのブログを読んだほうが良いかもしれない。

10年以上前に書かれたこのブログは、OOUIの根源的な想いを理解できるだけでなく、それが普遍的な思想であることも教えてくれる。

その上でOOUIの本を読むと、また違った共感に近いものがあるのでは無いだろうか。

ユーザーが使ってて楽しくなる・熟練度に合わせて変わる、そんなUIをデザインしたいものです。

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cover photo by Rowan Heuvel

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