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さくらんぼと、おばあちゃんと。

山形に住む祖母からさくらんぼが届いた。毎年送ってくれるツヤツヤで真っ赤で、とても綺麗なやつ。

祖母は御年89歳。彼女は今も昔もずっと“強い”。

祖父(祖母の夫)は、40代という若さで亡くなっている。

まだ子供が高校生とかのタイミングで、しかも5人もいたので子供達を育てるだけでも祖母は大変だっただろう。

それに加え、祖父は自営業だったので、祖母がその社長を引き継いだ。数人の社員も抱えていたので、考えてみるとハードな現役時代だったと思う。

ちなみにその仕事はもう畳んでしまったのだけど、悠々自適な生活を見てると、事業をうまくまわし立派に社長を務め上げたみたいだ。

そんな荒波を乗り越えてきたからか、祖母は今も元気だ。ついこないだまで雪道を自転車に乗って生協に出かけていたらしい。

庭の家庭菜園を今も続けて毎年梅干しを作り、またパウンドケーキなんかの洋菓子を作って家族に分けてくれたり、ボケる、とはまだ無縁にも見える。

幼少期に見た祖母も、30年近くたった今も、祖母はいつも同じように元気に見える。

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ただ、強い祖母でも肉体は衰えるらしく、本人もそれをわかっているらしい。

数年前に、米寿のお祝いをするために親族が集まったことがあった。

見た目には元気な祖母だけど、心拍数は30前後らしく、医者に20前半になると命が危ないと言われているらしい。また、前述の自転車も一度転倒して骨折したのがなかなか完治しないらしい。

時々、娘である私の母に祖母は「私が死んだら〜」みたいな事を冗談のように言うらしい。その話をされる母はいつも「くだらない事を言って」とあしらいつつ、少し不機嫌になる。 

親が自分の死について話す事は単純に寂しいく、その寂しさの表れが不機嫌さの理由のようだ。

こんなに元気な祖母でも肉体が衰えていくのだから、在宅勤務でヤワヤワさに拍車をかけている自分の体は大丈夫なのか心配になる。

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そんなことを、ツヤツヤのさくらんぼを見て思い出していた。

お礼の電話をすると、「今年は農家を変えてみたんだけど、前の方が綺麗だっけなー」と軽く毒づくあたりも昔から変わらず安心する。ちなみに電話はいつも手短で、彼女から受話器を置くキッパリさも彼女らしい。

最後に直接祖母にあったのは2年ほど前。

自分ではわからないが、私のような30代おっさんでも、おばあちゃんにとっては孫であり、会うと喜んでくれる。

またお土産持って山形に会いに行きたい。

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