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ファッション好きもインチキ商材ややばいセミナーのカモにされやすいという話


ネットワークビジネスとか、マルチ商法とか、霊感商法とか、自己啓発系高額のセミナーに気をつけてほしい、という話を書きます。よくある話なので今更何を言っているんだという感じだと思うけれど。

コロナ禍に入った2020年、関西発(多分。関西で先に流行ってただけ?)の若めの集団が随分と勢力を伸ばしていましたね。

「今幸せ?コロナで大変でしょう。辛いでしょう。仕事は思い通り?恋人とはうまくいってる?周りにあなたのことを本当にわかってくれてる人はいる?不満とかうまくいかないとかあるよね。でも人生がもっと豊かになる方法はあるよ。君は必ず幸せになる。君だけの特別。」と言われたら、誰もが少しは心揺らぐはず。もしも本当に仕事で挫折していたり、恋人とうまくいっていなかったりの時期にこんなことを言われたら、私でも惹かれてしまうと思う。

初回は15万円のセミナーだけどそこに行った時点でほとんどの人はもうその団体に心奪われている。追い討ちで「絶対に儲かる。そしたら自分も周りの人も幸せにしてあげられる」と言われるので入団を決めてしまうのだけれど、寝耳に水のごとく、いきなり月々15-30万円を団体に納めなければならなくなる。20-30代の社会人がターゲットなので、外資金融とか世界的IT企業とか三大商社にでも働いていない限り、その金額を捻出することは不可能(だけど今挙げた職種の人たちは潤沢な稼ぎがあるので入団するわけもない)。

そこにいれば理想の未来が手に入る。辞めたくない。でもそのお金は払えない。どうしよう…と悩んだその人たちは、団体が用意した家賃の安い寮に”特別に”入寮を認められる。おしまいのはじまり。団体員だけの環境に放り込まれ、もう逃げられない。うっかりその団体員同士で恋愛なんかもはじまってしまい、彼らにとっての最高の地獄が完成。さらに「今の仕事をするより団体オリジナルのこの商品を周りに売った方が効率的に儲かるよ。だから会社辞めな。家族や友達をセミナーに呼んでくれたらお金もバックするよ。そしたら楽にお金を納められるでしょう」とそそのかされ、仕事を辞め、真っ当な社会との接点や自由を奪われていく…。

コロナがはじまってから取材をしている中でこの話は度々耳に挟んでいたんだけど、最近また聞こえてくるようになった。きっと<賃金上がらず物価高>による先行き不安のせいだと思ってる。(関西のとある有名企業の中には複数人その団体員がいて社内で勢力拡大してるという噂も聞いていたけど本当なのかどうかの真相はいまだに気になっている)

その集団に友達や同僚が飲み込まれた人、家族に勧誘されたという人が周りに何人かいるんだけど、入団してしまった人や入団まではしなかったものの勧誘してきた人のことをみんな「真面目で堅実だった」と話していたのは印象的。うちの子に限って…と同じ。なお、全員その友達同僚家族とは関係性がおかしくなっていた。

という怖い話はこのくらいにして、タイトル回収をします。

女性だと美容界隈でこの手の話はよくある。高いスキンケア製品やサプリメントや補正下着のマルチ商法なんかは昔から有名だけど、最近どうやら「ファッションが好きだけどセンスに自信が持てない。自由に使えるお金もそこまでないけどなんとかしたい」という層を狙った怪しげなセミナーおよび情報商材を売りつけている人がいるらしいことがわかって(誠意調査中)、ファッションメディアで仕事をする私としてはものすごく腹が立っている。おしゃれを楽しみたい人の純粋な気持ちにつけこむな。

それとは別で、私の周りで最近「飲むだけでセルライトごと流れていくお茶」(そんなわけないだろう)、「おしゃれなのに運気もよくなるアクセサリー」(アリエクに売ってそうなチープなもの)、「かけるだけで綺麗になれる布団」(布団!!)だのの話も頻発しており、私の友達をカモにするなとこれもまたイライラしていたところ。私の周りに声をかけている教祖的な人も元は知り合いだったんだけど、私には一才声をかけてこないところも腹が立つ。騙されてくれそうな人を選んでやっている根性が気に入らないから。まぁ、そりゃあそうなるとはわかっているけど。おしゃれをして綺麗でいたい人の純粋な気持ちにつけこむな。

おしゃれや美容って、気分を上げるためのポジティブな要素として取り入れる人もいるけれど、自分の弱さを隠すためのツールにする人もいる。日本は後者の割合のほうが圧倒的に多いと思っていて、特にブランドにこだわるタイプの人はブランドに「安心」を求める弱さがある(みんながそうとは言わない。そういう人もいるという話)。その弱さを持つ人にとって、こうしたセミナー勧誘のセリフは耳触りが良い。だからおしゃれ好きの性格は、性質によっては意外と危ないんだってことをわかっていると、何かの時の自己防衛になるかもしれない。私もどこのブランドの服なのかで安心してしまう部分はあるから多分危ないタイプなんだけど「私はそういう物事に接するとすぐのめりこんで破滅する」という自負と自信があるから、ギリセーフで生きているんだと思う。

「ブランド好きだよね?でもそれって自信のなさじゃない?自分の弱さじゃない?それをなんとかしたいとは思わない?」なんて言われたときに、強く立っていられる自信はありますか? ファッション好きや美容好きの心につけこむ勧誘もあるんだってことを、どうか知っておいてほしい。

冒頭のポストはこれらを簡単にした話。

数カ月前から、素性もわからないインフルエンサーの情報を鵜呑みにしないでとXで怒ってたんだけど、彼らは専門家でもないのに言葉巧みに人の関心を集めるのがうまいので何の疑いも持たなくなる人は多く、気づけば騙されていたなんて図式は容易に仕上がってしまう。内容のない高額noteを売りつけるやり方は最近の常套手段ですね。

出どころ不明な情報を拡散するインフルエンサーも増えた。私も少し前までインフルエンサーの情報を鵜呑みにしていたところがあって、顔も名前も出していないフォロワー10数万人の人に取材を申し込んだことまであったんだけど、後日、その人が裏でファンを欺くひどい行動をしている人だったことが発覚し、2度と身元がわからないインフルエンサーに取材はしないと決意した。

そういえば昨日「マッチングアプリで医者を名乗る人の数が、実在する医者の数を上回った」というような一文がある記事を読んで笑ったんだけど

本名も顔も出さず、それっぽいことを言っていれば、実は中の人が私でもバレないんだよなと思った。現代ではそれくらいの可能性を想像する力と危機感を持たなくちゃいけないのだと改めて思い知らされた。

これらの怪しげなインフルエンサーたちを知人たちがフォローしている現実もあり、だからといってフォローするのやめなよと言うのは大きなお世話なので歯がゆい思いをしていることはよくある。上澄みだけの話や嘘を信じたい人もいるのだから。

それに顔出し名前出しをしていないからといってみんながおかしいわけじゃない。ちゃんとした人だってたくさんいる。私だって顔も名前も知らないけど好きなインフルエンサーはいるし、お金を払って記事を読むこともある。

自分が何を/誰を信じるかが問われる現代のSNSとは、実に宗教的だ。

今信じている情報が正しいかどうか。その人は本当に信頼できる人なのか。信頼できる人が話すことはすべて信頼に値する内容なのか。常に自分に問い続けていたい。或いは、生きてく中で騙されずにいることのほうが難しい今は、誰にだったら騙されてもいいかと考えて生きるほうがいいのかもしれない。

※追記
「そういうのに引っかかる人って情弱なだけでしょ」と馬鹿にするのはとても危険です。情弱だから詐欺や商材にひっかかるわけではありません。誰しも心が弱っているとき、隙ができてしまうときがありますね。