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保育ドキュメンテーションのはじめかた②〜1年間取り組んでみて

保育ドキュメンテーション、いろいろなところで「いいよ」と見たり、聞いたりするけど、今の保育園では誰もやっていない。それどころか多分市内の公立園で取り組んでいる人はいない・・・
平等や保育内容の画一化をある程度求められている公務員保育士である僕が、どうやってドキュメンテーションを始めたかを記事にしてみます。

前回の記事はこちら

今回は続きの2回目。
まず試しに取り組んでみたところからスタートします。


1.とりあえず始めてみた

前回の記事にあったように僕はドキュメンテーションを始めるのには、勤務園や自治体に色々な障壁があることを感じていました。
障壁を乗り越えてから始めるとなると、いつになることやらわからない。しかもいろいろな制約(「子どもの登場回数は一定にしろ」や「子どもの顔はできるだけ出すな」など)がついて、楽しくできないことが予想されたので、まずはこっそりと始めました。

こっそりと始めるのに、気をつけたのは、保護者から見えにくいところで行うことです。
障壁になりそうなことは、保護者に関わることが多いと思ったので。
それに、「クラスの壁面の一部」(子どもの絵や作品と同等の扱い)というスタンスにしました。


2.始めてみて思ったこと

始めてみて思ったのは、

子どもの写真を撮ることが難しい

ということ。もう少し言えば、

遊びを写真に切り取るのが難しい

です。

いろいろなドキュメンテーションの文献などをみていたので、「こんな写真だと伝わるかも」というイメージを持っていたのですが、なかなか遊びの「楽しさ」を切り取ることができずに、活動報告みたいな写真ばかりでした。

あとになって気づいたのですが、子ども理解がないと写真もうまく撮れないんですね。


3.副園長に報告も敗退・・・

拙い写真と文章でしたが、いくつかのドキュメンテーションを部屋に掲示することができました。
1ヶ月くらいがたち、クラスの子どもたちは興味を持ってみていたし、子どもに保護者に教えて一緒に見るという姿も見られてきました。

ここで、まずは副園長の立場の先生に報告。

まずは概要を説明し、メインの目的(子どもの遊びの楽しさを他の子にも伝えたい)を伝えました。

すると、「それなら、写真じゃなくてもいいよね」の一言目。
「別に写真がなくても、周りの子に『こんな遊びしているよ』ってその場で紹介すればいいじゃん」とも言われました。

その辺の理由も話してみましたが、そもそもドキュメンテーションというものを知らない様子なので、説明にかなり手こずり、敗退・・・
しかも「先生のクラスだけ特別なのは・・・」「インクとかコストもかかるしね」など言葉もいただきました。ちーん。


4.対策を考える

副園長への報告が敗退に終わり、心が折れかかっていました。
たまたま、ドキュメンテーションに興味を持っている同僚がその報告現場にいたので、感想を聞いてみました。

「予想通りだけど、手強いね。応援してるよ」

と言われ、救われました。

ここから対策を考えます。
まずは副園長に相談しても難しそうなので(後で知ったのですが、あまりこういう取り組み乗り気ではない方らしい)、園長先生に直接報告することにしました。
幸いにも副園長にいろいろな考える視点は教わったので、それについて対策を考えます。

まずは、ドキュメンテーションの説明をもっと丁寧にすること。僕は数年前からやりたいと思っていたので、ドキュメンテーションは一般的なものだと思っていたのですが、どうやら違うみたい・・・意義や効果などを自分なりにもう一度考え直しました。

次に、写真の登場回数についてです。1ヶ月行ってきて、登場回数にすごい差が出るわけでもないが、差があること。この差は僕自身のその子の遊びの見方の足りなさを示しているということを実感したので、そのことを伝えます。あとは、保護者には積極的にアナウンスはしないことで、批判的な意見をかわそうと思います。

コスト面は、裏紙を使用して、A4用紙に2つのドキュメンテーションを載せることに。こうすることで、インク代はかなり抑えられるはず。

こんなイメージで、レイアウトをある程度固定化しました。こうすることで、作成時間も短くなるはず。

あとは、作成するのは、休憩時間、勤務前の時間など勤務時間外にすることで、通常の業務支障のないようにしました。

ここまでの準備をして、いざ、園長先生に報告です。


5.園長先生への報告

ドキュメンテーションの説明を軽くしてみると、
「色々なところでドキュメンテーションはいい取り組みって言われているね」
と返ってきました。

「いい取り組みだから続けて」
「できれば、他の職員にも紹介して」

と、なんだか拍子抜けの答えをもらいました。
ありがたいことです。

こうして、保護者へのアナウンスは積極的にしない機能限定の形で本格スタートすることになりました。

次回の記事では、1年間取り組んだ内容や子ども、保護者の反応などをお伝えしようと思います。

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