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醤油蔵は小宇宙だ!小豆島醤油蔵巡りレポート<後編>ヤマロク醤油さん

小豆島醤油蔵巡りレポート、後編はヤマロク醤油さんの訪問記です。

知る人ぞ知る…いや、むしろ超有名なヤマロク醤油さん。小豆島に行った折には絶対に伺いたい!!と思っていた、スゴいお醤油蔵さんです。

さて、何がスゴいかと言いますと、うーん…、何から説明しましょう。
ヤマロク醤油さんについてがっつり語り始めたらさらに何本か記事を書くことになりそうなので、今回は『ヤマロク醤油のココがスゴい!!』をテーマに簡潔に綴っていきますね。ちょっとまとめサイトっぽいかも。

ヤマロク醤油のココがスゴい!!
①いつでも誰でも、アポ無しで見学できる

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なんと。いつでも誰でも、しかも予約無しで訪問しても蔵の中をご案内いただけるのです…!!さぞお忙しいでしょうに…!!(今回はアポを取って伺いましたが。)

毎日使うものなのに、意外と知られていない醤油のこと。そこで、身近な醤油に少しでも興味をもって頂ければと、ヤマロク醤油では普段見ることのできない『天然もろみ蔵』の見学体験を受け入れています。自然の営みの中でゆっくりと育まれる昔ながらの醤油造りの様子や、自然の力がつくり出す醤油の仕組み。また、おいしい醤油をつくるための秘訣なども交えながら、知られざる醤油の奥深き世界をご案内しています。
もちろんご案内は無料です。予約なども必要ありません。突然のご訪問でも対応しております。小豆島にお越しの際は、お気軽にお立ち寄り下さい。(ヤマロク醤油HPより)

ただし、納豆は厳禁ですよ!!

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熱い熱い、とにかく熱い男(もはや漢)、五代目蔵元の山本康夫さん
子や孫の代まで本物の味を伝えるべく奮闘されています。
伝統的な木桶仕込み醤油を知ってもらうためなら、案内のための時間や労力を惜しまないのですね…!!これは皆さん、行くしかないですよ。

さて、この写真。
ピカピカの木桶の前で撮らせていただいた1枚なのですが、実は…

ヤマロク醤油のココがスゴい!!
②木桶を手作りしている醤油蔵

何を隠そう、ヤマロク醤油さんは醤油のみならず、仕込み用の木桶から手作りされているのです。蔵元の康夫さんは2011年に『木桶仕込み復活プロジェクト』を立ち上げられ、桶屋さんで修行して木桶の作り方を体得。
さらに、毎年1月には木桶サミットを開催し、全国から集まったメンバーとともに木桶を作るという取り組みもされています。

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プラスチックが無かった時代は、醤油も酒も味噌も、全て木桶で造られていました。なんなら、新しい桶は酒蔵で使い込まれたのち、醤油蔵や味噌蔵で使われるというリサイクル方式だったのです。エコではないか。

しかし、現在はプラスチックやホーローの桶に置き換わり、今では木桶で味噌や醤油を仕込んでいる蔵は全体の1%未満だと言われています。そんな絶滅の危機に瀕した木桶を後世に残していこうという取り組みが、木桶職人復活プロジェクトなのですね。

▼詳しくは、職人醤油さんのHPが分かりやすいです!

ヤマロク醤油のココがスゴい!!
③再仕込み醤油の割合が8割超

「再仕込み醤油」ってご存知でしょうか?
(日本酒が好きな方なら、「貴醸酒の醤油版」と説明すれば一発でお分かりいただけるかと思います。)

普通の醤油は、麹に塩水を加えて仕込みますが、再仕込み醤油は塩水の代わりに醤油を使います。つまり、醤油で醤油を仕込むのです。
2倍の材料と歳月をかけるため、手間もお金も時間もかかる贅沢な醤油なのですが、普通の醤油には無い濃厚な旨味が味わえます。

日本で造られている全醤油のうち、再仕込み醤油の割合は1%未満とかなり希少。しかし、なんとヤマロク醤油さんが造られているお醤油は8割以上が再仕込み醤油だというのです。これ、かなりぶっ飛んだ割合です。

「なぜそんなに再仕込み醤油を多く造られているのですか?」と質問したところ、返ってきた答えはこれです。

「旨いから。」

むむむ…!!康夫さん、ただ者ではない。

ヤマロク醤油のココがスゴい!!
④蔵に棲みつく菌の生態系がすごい

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私がヤマロク醤油さんで一番興奮したのは、蔵の中の生態系。
ヤマロク醤油さんのもろみ蔵は100年以上の歴史があるそうで、その頃から脈々と育まれてきた菌の生態系というものがあり、この蔵でしか醸せない味があるのです。

…というお話は、正直今までも他の味噌醤油蔵さんでよく聞いてきた話なのですが、今回はまた一味違う…。

桶ごとに味が違って、エースの桶もあるのだとか。
…ゾクゾクッ!!

しかも、「蔵に入ってすぐ右手前の、見学に来た人によく見られる桶はエースですね。菌にも意識があるんですよ。」とのこと。

一方、蔵の奥の方の人目に付きにくい桶から醸された醤油はイマイチ…とまでは言いませんが、香りが控えめなのだそう。なにやら、菌もある程度集合すると意識を持つという研究結果もあるとか無いとか…??これは面白い!!

"もやしもん"じゃないですが、私にも少しばかり菌が見えてきた気がします…。

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しかし、それぞれの桶で出来上がった醤油は必ずブレンドし、できるだけ一定の味を保つように調整されているそうです。

「桶ごとに商品化したら面白いのでは?」なんて素人目線の質問したところ、こんな回答が。

「醤油は酒のような嗜好品と違い、いわゆる"基礎調味料"なので、醤油の味が変わったら料理の味に影響してしまう。醤油の味はできるだけ変化が少ないようにしているんです。」とのこと。

そりゃそうだ。

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いやあ、酒蔵さんばかり訪問していると気付けない視点が沢山得られたお醤油蔵巡りでした。嗜好品と調味料では、文化なり性質なり色々と違いますね。ここはもっと掘り下げていったら面白そうだ!!

康夫さん、お忙しいところご案内いただきありがとうございました!!

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来年は私も木桶サミットに参加させていただく予定なので、またレポートいたします!!

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