見出し画像

3/16発売「麒麟 発酵レモンサワー」先行試飲会レポート

桜が咲きはじめ、すっかり春めいてきましたね。
ますますお酒がおいしくなる季節に心が躍ります。

さて、先日キリンビール様から新しく発売された「麒麟 発酵レモンサワー」大変光栄なことに、発売に先行して行われた特別先行試飲会(新商品発表会)で、登壇&ペアリング料理の考案をさせていただきました。

キリン一番搾り」と「キリン本搾り」をこよなく愛する私にとっては、またとない嬉しいお仕事…。せっかくですので、イベントの様子とペアリング料理をご紹介させていただきます!!

 「発酵ブーム」は新しいステージに突入!?世界が注目する発酵の魅力

本題に入る前に、昨今の発酵ブームについて、私の考察を少しだけ。

塩麹ブームを皮切りに、2010年頃から始まったとされている発酵ブーム。
幸いなことに一過性のブームに終わらず、手前味噌仕込みや甘酒ブームなどにも火がつき、今や世界を巻き込んで大きなムーブメントになっているように感じます。
海外では、世界的に有名なデンマークのレストランnoma(ノーマ)が発酵に力を入れはじめたことも起爆剤となり、世界中のシェフが料理に発酵を取り入れはじめています。その先入観のない新しい発想が、発酵の新たな可能性を切り開いているとも言えるのではないでしょうか。

そもそも、発酵は昔からの人類の知恵であり、もはや単なる「ブーム」と言うよりは、「発酵の価値が見直されてきた」と言ったほうが適切なのかもしれないですね。

そんな中、キリンビールから新しく発売される「発酵レモンサワー」。
一体どんな飲み物なのでしょうか??

キリンの発酵技術が惜しみなく注がれた「発酵レモンサワー」の美味しさ

今回、ペアリング料理を考案させていただくにあたり、「まずは前情報無しに純粋に味わってみよう!」と、原材料を見ずにテイスティングしてみました。

プシュッと缶を開けて、トクトクトク…シュワー…。。
グラスに注ぐと、すぐさま立ち上る芳しいレモンの香り。「え、これ本当に香料不使用…!?」おそるおそる原材料を見てみると、紛れもなく香料不使用…!!(私は今まで様々な缶チューハイを飲んできましたが、香料不使用でこの香りは、前代未聞です。)

味わいとしては、レモンの酸味やほろ苦みがしっかりと効きながらも、まろやかでコクのある酸味。甘味料不使用なので、甘さ控えめで飲みやすい!!
「発酵レモンサワー」であるものの、いわゆる「キツい発酵臭」のようなクセはありません。

味わいとしては、同社から発売されている「麹レモンサワー」よりも、「本搾りレモン味」に近いのかなと思い、実際に飲み比べてみたところ、これが全然違う!!
もちろん本搾りも美味しいのですが、発酵レモンサワーの方が、より香りが高く、酸味がまろやかで、味の余韻が長いことがわかります。また、発酵レモンサワーのアルコール度数は少し高めの7%ですが、アルコールのツンとした香りが殆ど感じられないことに気付きました。(この飲み比べ、面白いので是非やってみていただきたい!!)

本搾りのグビグビ飲みたい感じに対して、発酵レモンサワーは香りや味わいを楽しみながら飲みたい感じ、といったところでしょうか。氷をたっぷり入れてガツンと飲むのも良いですが、ワイングラスに入れて香りを楽しみながら飲んでもいいかも。

と、発酵レモンサワーの美味しさに感動するあまり前置きが長くなりましたが(笑)、イベントレポートです!!

おいしさの秘密は「発酵レモン果汁」!!発酵レモンサワーの製法と開発秘話

30社を超えるメディアの方にご参加いただいた、特別先行試飲会。
(コロナ対策で半数以上の方にはオンラインでご参加いただきました。)
まずは、キリンビール株式会社 マーケティング部 商品開発研究所(RTD)の永井様による、発酵レモンサワーの製品プレゼンからスタートしました。

RTD部門で長いことチューハイの商品開発に携わってきた永井さん。
発酵レモンサワー開発の発端は、ビール部門の方との提案活動の中で、「ビールだけでなく、チューハイにも発酵の技術を取り入れることで、よりふくよかな味と香りの次世代のチューハイが作れるのではないか?」と、5〜6年ほど前から考え始めたのがきっかけだったそうです。

当時は時代が追いつかずお蔵入りとなったそうなのですが、密かにこのアイデアを温め続け、ついに実現に至ったそう。
その際の指針となった、キリンの醸造フィロソフィーが印象的でした。

"Making"ではなく"Brewing"
単なる"Technology"ではなく"Art"

Making=作るのではなく、Brewing=醸す(発酵)というキリンの醸造哲学がチューハイ開発に活かされて生まれたのが、発酵レモンサワーなのですね。Technology=技術は大切だが、お酒は五感で感じるものなので、Art=芸術の視点を忘れてはいけないという考えにも共感します。

発酵レモンサワーには、レモン果汁を独自の技術で酵母発酵させた「発酵レモン果汁」が使われています。

アルコール発酵に欠かせない「酵母」は、増殖する際に様々な香味成分を生成します。ビールや日本酒やワインなどの醸造酒は、この酵母の働きによって、素材にはもともと無かった香りが生み出されています。

そして、この酵母の特性をチューハイに応用したのが、発酵レモンサワーなのです。

<酵母発酵プロセス>素材×酵母×発酵条件
1.酵母が増殖
2.酵母増殖期に香味成分の多くも生成
3.増殖が終わると香味成分の生成もほぼ止まる
4.アルコールと炭酸ガスを生成
(プレゼンテーション資料より)

この発酵レモン果汁の開発には、キリンの発酵技術が駆使されており、使用されている酵母の詳細は企業秘密だそう(もちろん私も教えてもらえませんでした…)。
通常、チューハイなどのアルコール飲料は「RTD商品開発研究所」で開発されるそうなのですが、発酵レモンサワーに関しては、さらに「ビール商品開発研究所」「飲料未来研究所」が加わった3研究所合同で開発されたそう。キリンの総力が結集されていることが伺えますね…。

「果皮を含むレモン果汁そのものを酵母発酵させ、発酵の力でレモンの香りをさらに引き出し、コクのある味わいを実現しました。実際に分析したところ、発酵のプロセスによって55種類もの香味成分が増え、香料や酸味料などの添加物を加えなくても美味しい、新しい缶チューハイが生まれました。」と永井さん。

この発酵のバランスをコントロールするのが難しかったそうで、酵母の種類や発酵温度、発酵時間など、何パターンも試作した末、ようやく納得する味が完成したそうです。

参加者の皆様には、「発酵レモン果汁の原液」を試飲していただいたのち、「発酵レモンサワー」「普通のレモンサワー(発酵させていないレモンサワー)」を飲み比べていただきました。

発酵レモン果汁は私も試飲させていただいたのですが、ほんのりお花のような、パン(焼く前の発酵中のパン生地)のような香りを感じました。また、通常のレモン果汁よりも酸味がまろやかに感じられます。これは、発酵によりレモン果汁に含まれるクエン酸が様々な有機酸に分解されているからだそうです。

そして、普通のレモンサワーとの飲み比べでは、発酵レモンサワーのおいしい飲み方についてもレクチャーしていただきました。

通常のレモンサワーと飲み比べると、発酵レモンサワーの香りの高さがよくわかります。そして、この香りを楽しむには、ワイングラスや広口のグラスがおすすめだそう。また、「1分待ち飲み」もおすすめとのことで、冷蔵庫から出して1〜2分ほど待って少し温度が上がってから飲むと、より香りが楽しめるとのこと。

1本で色々な味が楽しめそうですね!!
*詳しい製品情報は、キリンビール公式HPをご覧ください。

どんな料理にも合う!発酵レモンサワーと料理の"ワンランク上"の合わせ方

さて、ここからは私のターンです。
発酵レモンサワーと料理の合わせ方についてお話させていただきました!

上記の通り、発酵由来の複雑なレモンの香り、まろやかな酸味、ふくよかでコクのある味わいが特徴の、発酵レモンサワー。

私の経験から申し上げますと、この味のバランス、控えめに言ってめちゃくちゃ料理に合わせやすいのです…!!

実際に、和洋中と片っ端からいろんな料理に合わせてみたところ、どれもびっくりするほど合う!!(イベント内で紹介した料理以外にも、麻婆豆腐との相性も抜群でした!!)
…そのため、なんでも合ってしまうため逆にペアリングを考えるのが難しいという面もありましたが(笑)、今回はその中でも"より相性の良い料理"を考えさせていただきました。
ペアリングのポイントは以下の5つです。

・レモンと相性の良い食材や料理に合わせる(例:唐揚げなど)
・コクや旨味のある食材や料理に合わせる(例:ポテトサラダなど)
・油っこい料理にも合わせやすい
・香りが良い料理と合わせる(例:ハーブを使った料理など)
・料理に"発酵"の要素を取り入れる

そして、今回ご用意させていただいたメニューはこちら!!

左から順に、このようなメニューをご用意しました。

◾︎砂肝のネギ塩麹レモン炒め
レモンと相性の良い砂肝は、レモンの果実感たっぷりの発酵レモンサワーと相性抜群。砂肝は塩麹で漬け込んでプリッと柔らかく仕上げ、塩麹で「発酵」の要素を合わせたのもポイント。たっぷりのねぎと、ガツンとブラックペッパーを効かせたパンチのある味付けで、発酵レモンサワーがグビグビ進むおつまみです。

◾︎バジルとチーズのポテトサラダ
発酵レモンサワーは、家庭料理の定番であるポテトサラダとも相性抜群。
まろやかな酸味を持つ発酵レモンサワーは、マヨネーズのコクと酸味によくなじみ、ホクホクしたじゃがいものおいしさを引き立ててくれます。
今回はその相性をさらに高めるべく、「香り」をフックにアレンジを加えました。香りの良い発酵レモンサワーはハーブと相性が良く、とりわけバジルとは好相性。隠し味のチーズの香りを引き立ててくれるため、芳醇な香りのマリアージュを楽しめます。

◾︎しば漬け入り柚子胡椒チャーハン
柚子胡椒の香りとしば漬けの酸味がおいしいチャーハン。柚子胡椒の柚子と発酵レモンサワーのレモンの、柑橘同士の香りがぴったり調和します。
発酵レモンサワーはチャーハンの油をさっぱりさせてくれますが、コクがあるため、油を洗い流すだけではなく、塩麹で漬けた豚肉の旨味や素材の味を引き立ててくれます。

◾︎酒粕入りチーズケーキ
自然な味わいの発酵レモンサワーは、チーズケーキとよく合います。
今回は、発酵レモンサワーに合わせてレシピを絶妙にアレンジ。甘さ控えめな発酵レモンサワーに合わせて、チーズケーキも甘さ控えめに仕上げました。土台には隠し味に鮒寿司の飯を、全体にも酒粕をたっぷり使い、発酵の要素を取り入れました。酒粕は香りの良い大吟醸粕を使い、発酵レモンサワーの高い香りに合わせています。バニラビーンズを加え、新しい香りを添えたのもマリアージュのポイント。国産レモンのレモンピールも加え、レモンの香りや苦味でさらに相性を高めています。

チャーハンとの相性が一番人気だったような気がします♪
詳しいレシピは、また後日ご紹介させていただきますね。

キリンマスターブリュワー田山智広さんとのトークセッション

最後はお待ちかね、マスターブリュワー田山智広さんとのトークセッション。田山さんは、キリンビールのビール類・RTDなどの中味の総責任者であり、キリンビールの発酵の神様と言っても過言ではない人物…。
(巷では「神の味覚を持つ男」とも呼ばれているとか…。)

私なんかが相手で大丈夫かしらと当日までは少し緊張していましたが、控え室でお話させていただいたところ、とても気さくな方で、楽しくお話させていただきました!(ここからは、マーケティング部の島嵜さん司会進行の元、トークを進めていきました。)

発酵レモンサワーの「レモンが濃く爽やか」というキャッチコピーについてどう考えているか??

田山さん:単純にレモンの味だけを濃くすれば、"爽やか"とは言いがたい味になってしまいます。レモン果汁を増やせばレモンの味は濃くなりますが、同時に酸味も強くなり、刺激的な味になってしまう。
そこでポイントになるのが、「濃さ」の内容。発酵レモンサワーは、発酵由来の様々な香味が加わることによって、味が濃くなります。逆説的ですが、引き算で味を爽やかにするのではなく、むしろ足し算なんです。
…料理でもそういうことってあります??

真野:私はペアリングや料理の参考のために味覚科学について勉強することが多いのですが、「コクとうま味」の話に通じるなと思いました。「うま味」は明確な味物質として科学的にわかっていますが、「コク」は味物質ではなく、極めて曖昧な概念です。ただ、「コク」の説明の一つとして、「味の要素が多く、単一の味が判別できない」とうものがあります。
発酵レモンサワーは、発酵の過程で様々な香味成分が生まれるため、それぞれの成分が単一に判別できないほど複雑に絡まり合い、それが結果として「コク」に感じるからおいしいのかなと思いました。

発酵のコントロールはどうしてる?香りを引き立てる影の立役者の秘密は発酵にあり

島嵜さん:ありがとうございます。続いては、発酵の技術を活かして香料無添加のレモンサワーを実現する難しさについて、田山さんにお話を伺えればと思います。

田山さん:料理に発酵食品を使えば、あまり多くの調味料を使わなくてもおいしくなりますよね。それと同じように、通常のビールは「麦・ホップ・水」の材料を発酵させれば、添加物を入れなくてもおいしいビールの味になります。しかし、ノンアルコールビールの場合は、この発酵のプロセスを経ずにビールのような味を作らないといけないため、香料や酸味料や甘味料などで補うことになります。これ自体は調香技術なのですが、本物を完全に再現するのは難しい。
そんな"発酵にしか出せない味"を缶チューハイに掛け合わせることで、今までのレモンサワーには無い味を作ることに成功しました。

真野:なるほど…。でも、微生物って時に思いがけない味や香りを出してしまうことがあるじゃないですか?その辺りってどうコントロールされていたのですか?

田山さん:もちろん、微生物は自然のものなので、完全にコントロールすることはできません。何通りもの発酵条件を試して、最もおいしくなる条件を見つけるのに苦労しました。
ちなみに、この発酵レモンサワーのベースになっている発酵レモン果汁って、単体ではそこまで良い香りではないんですけど、こうした香りと元々のレモンの香味がハーモニーを奏でて、とても良い香りに昇華するんですよね。

真野:なるほど!今のお話って、ぬか床に似ていますね…!(興奮気味に)
ぬか床の中では、複雑な菌が関係し合って生態系を築いているのですが、中には好ましくない臭いを出す微生物(酪酸菌など)もいます。その微生物が増えすぎると臭くなってしまうのですが、少量いてくれることによって、おいしいぬか漬けの味を醸してくれているんです。それと近いものを感じます…。

田山:そうなんですよね。それ自体は決して良い香りではなくても、組み合わさることで、なぜかおいしくなることがあるんです。ホント不思議です。ちなみに、つい最近弊社から発売したノンアルコールビールグリーンズフリーも、香料と甘味料無添加なんですが、美味しさのポイントは「後味」なんです。外から入れたものって主張が強いので、後味が舌の上に長く残りますが、自然のものは後切れがいい。発酵レモンサワーの爽やかさも、やはり発酵が大きな要素なんだと思います。

…と、発酵トークはまだまだ尽きませんでしたが、ここでタイムアップ。
この後、質疑応答ののち、イベントは幕を閉じました。

キリンビールの皆様、ありがとうございました!!

今回はこのようにお仕事で関わらせていただきましたが、私自身すっかり発酵レモンサワーの虜になってしまい、発売日の前日にフラゲ買いして2本も飲んでしまいました…。

缶チューハイに発酵の技術を取り入れ、発酵の力で素材の味を引き出し、香料無添加でこの香りを実現した、発酵の本質を見事に押さえたキリンビール様のまっすぐな発酵スピリッツに胸が熱くなりました。

レモンサワー好きはもちろん、缶チューハイを普段飲まない方や、添加物フリー志向の方にも心からオススメしたい一本。おつまみはもちろん、いつものご飯のおかずからスイーツまで、是非いろんなお料理とともに楽しんでいただけたら嬉しいです。

さあ、缶チューハイ新時代の幕開けです!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?