阿部 晴香

人間。生きてる人、歌う人。

阿部 晴香

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最近の記事

「人生は短い」に真っ向抗議する

「人生は短い、若いうちが花」 何十回も何百回も様々な形でこの言葉を伝えようとする文章を読んできた。言われてきた。 しかしどうだ、耳がうんざりするほどこの言葉を聞いているのにわたしの人生はうんざりするほど長い。 進まない。 解放されない。 電池が切れない。 1万回眠っても朝が来るし 3万回ごはんを食べてもまだ"若い" 人生は短いというひとは、もしかしたら若い頃だけの話をしているのかもしれない。 体力があるうちに、体が元気なうちに、美しいうちに。それだけではとんだ偏見

    • 朝に曲は書けない。

      朝に曲は書けない。 哀愁もなければ悲観も無い。 清々しい空気に包まれて、今日をどう過ごそうと世界平等に与えられた朝という瞬間に、私はほんのり希望を抱き、色々なことを誤魔化されてしまう。 空はこんなに優しかっただろうか。 夜はずぶずぶと沈んだ身体でもがく、星を手に取れると勘違いをして。深い海のなか美しい絹のベールが舞っていると勘違いしたように。 誰も優しくなんかないくせに。なぜ笑いかけるの。 みんなが優しい気持ちを抱いてる。なんて美しい世界なの。 夜と朝で分断が起

      • 香りと記憶。

        どんな香りが好きですか? その香りを思い出すときに、どんな光景が浮かびますか? そのとき、どんな音がしましたか? ジリジリ暑い夏のプールに入った瞬間、気持ち良い冷たさを感じるのと同時に、ゴボゴボ音を立てて顔を出すとふわっと香る塩素のにおい、 冷んやりした秋の風が鼻をくすぐり、淡いオレンジの落ち葉をシャクシャク鳴らし歩きながら、冷たい空気を思いっきり吸い込んだときに湯気がゆらゆらしているカフェラテの香り、 香りはどこに記憶されるのだろう? なにが私たちを惹きつけて、

        • 「あなたの感性が気持ち悪い」

          「あなたの感性が気持ち悪い」 音大に通っているとき数多くの批評を受けたなかで、最もフラッシュバックする言葉だった。 なぜそう言わせてしまったんだろう。 理由は本当にシンプルだった。 JAZZを歌っているのに、曲を書くと子供向けのJ-POPになるからだ。 端的に言いすぎたが、歌声や感性はJAZZやR&Bのスタイルなのに、同時にこども向けの曲を書いてはNHKこどものうたに採用されようとテレビ局に音源を送っていた。 単純に多様なジャンルに触れているだけなら良かったが、私は

        「人生は短い」に真っ向抗議する

          熟成

          人に言われた言葉。言ってもらった言葉。言われてしまった言葉。言わせてしまった言葉。 実は、心の中のみならず。メモしてある。そう、人に伝えるには恐ろしい事実、人からもらった言葉を集める習性がある。 ハムスターとかがほっぺたにひまわりの種入れまくるのと一緒。 良い言葉は捨てがたい。美味しいものは覚えておきたい。生きるヒントなんかがあれば書き留めて専用の教科書をつくりたい。 思い返せばキリがないほどつらかったのに、愚かなことにそれを忘れてヘラリヘラリと生きる自分がたまに居る