現在私がこちらで公開している 『吸血鬼と月夜の旅』シリーズを一気に読めちゃうマガジンとなってます!
初めにこの作品はフィクションであり、実際の人物、団体などとは一切関係がありません。 また、この作品には流血、暴力的な表現をはじめとしたグロテスクな描写が多く存在いたします。 そのようなものが苦手な方は、この作品を見ることを推奨しません。 ご了承ください。 ~作品のあらすじ~ かつて自身の故郷、住みかを追われ、一生のうちの長き時を放浪の生活をして暮らしてきた吸血鬼、エルジェベド。 この世界において吸血鬼とは、恐れられ、忌み嫌われ、そして命を狙われる化け物と同義の存在、生きる
前回はこちらから↓ 慣れているから 今日、獣人の村はいつもよりにぎやかな雰囲気に包まれていた。 というのも、今日はいつもよりも特別に狩りの成果がよかったので、前のようにまた祝いのパーティーでも開こうという話があがっていたのだ。 「そういえばエルは?」 「寝てるよ。 あっちの小屋だったかな」 「もうすぐ夜なのにね。 なんというか、ほんとに吸血鬼っぽくないというか」 村は色とりどりの飾りで彩られ、村の真ん中には今日狩ってきた獣や大量の木の実を使った料理がずらっ
前回はこちらから↓ 対話と追悼 二人は、川岸に座っていた。 お互いに相手の顔を見ることこそしてないが、仲良さそうに肩を合わせ、ぼんやりと川に映る月や星々のきらめきを眺めていた。 「さっきは、悪かったな」 しばらくの間続いていた沈黙。 これを先に破ったのは、ロボの方だった。 彼はすっかり気の抜けた声で、彼女にそう謝った。 「ん? 何のことだ?」 「何のって――ほらさっき、お前の上乗って散々ぶん殴っただろ。 すまん、自分でもよく分からなかったんだ、あの時」
前回はこちらから↓ この森を抜けた先 この森を抜けるための探索の途中で、一本の大木を見つけた。 とても太く、枝葉もしっかりとついており、そして何よりこの近くにあるどの木よりも背が高い。 こういう、いわゆる特別な存在というのはどこにでも一つ二つはいるものなのだろうか。 ロボはその木に手足をかけ、登りだす。 自身の腕よりも太い木の枝に体重を預け、凹凸の激しい木の皮に足の爪をひっかけ、上へ上へと進んでいった。 「どうした?」 下の方から、エルジェベドの声が聞こえ