![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44505872/rectangle_large_type_2_1d9e55840c01cbae3d4ad8b8cd6601c9.png?width=800)
32.雲を抜ける瞬間、波を超える瞬間
飛行機で、雷雨の激しい中上昇を続けると、分厚い雲に突き当たります。
その荒天を粘りに粘って抜けると、晴天が広がっています。雲の上に、雲はないのです。
サーフィンをしたことがあります。
パドル、といって手で一生懸命に漕いで進むのですが、波に何度も戻されては進み、戻されては進を繰り返しています。
しかし、ある一定の場所まで行くと、あんなにも高かった波が収まって、波はあるのですが押したり引いたりする波ではなくなります。
そこはまるで別の空間のように、突然静かになるのです。
静謐な空間は、だいたいこのような激しい気象や波の先にある。
人生も同じようなものだよ、と学んできました。
進めば進むほど状況は悪くなっているように思う。
本当に前に進んでいるのか不安になる。
ゴールがどこなのか見えず、何につながっているのかわからなくなる。
そんなときを抜けると、急に突き抜けるときがやってくる、と。
成功は、そうした大変な時期の先にあるのだと。
「大変」な時期は、「大きく変わる」時期だと。
そう信じて進んだ者が、その境地にたどり着くのです。
もうやめておけよ、一生懸命漕いでも無駄だよ、それが将来の何につながるのさ……。
いろんな声が聞こえてきます。
ただその声の主は、たどり着いていない者の声です。
「もう少しだ!」
サーフィンを教えてくださった方が、波の向こうで手を挙げて大声で呼んでくれました。
その姿を見て、声を聴いて、僕はまた少しだけ前進する。
この波が消える海が想像できませんでした。
いつまでも押し寄せてくるんじゃないかと思っていました。
でもそれは、今の僕が見える範囲の、ちっぽけな世界にすぎませんでした。
翌日筋肉痛確定の腕が、ゆっくりと動きを止めます。
じっと身を委ねると、そこは波というより、揺らぎ。
海の上に、ただ漂っている感覚。
波がなくなりました。
そのときに見えた海が、とても広かったのを覚えています。
2月の海なのに、とても綺麗に見えたのを覚えています。
波を超えた瞬間。
また、雲を抜けた瞬間。
そこに広がる世界で、あなたは何を見ますか?
僕は進み続けます。
本当にありがたいことに、先を見ると、人がいます。
もう少しだ、と背中を押してくれる存在の方がいます。
その先人たちを道標に、僕は今日も少しでも前に、上に、進むのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?