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砂漠の陣12-サイレント・ネオ-boy meets girl-

部屋に通されたムドーが怪訝そうにたずねた。
「そうでござりましょう。どんな名将とて、たった一機で150機が守る砦に挑むは、 無謀を通り越し愚の骨頂です。さしずめ、参謀あたりが逃げるか心配して、ムドー殿が探りにきたのでしょう」
百戦錬磨のムドーも、ぴたりと真意を言い当てた若者を相手に、若干たじろいだ。
「し、しからば、なぜガスズ殿は…!?」

12

「仮にあの場で私がシャギに100機を要求したところで、せいぜい預けられる兵士は50機ほどでしょう。しかも、シャギ党はもともと半数は寄せ集めの軍団。老兵や悪党など、役に立たない50機を借り受けるが目に見えてござる。それならば、私1機で単騎駆けした方がよほどましと思った次第」
「しかし、貴君一人で何ができると申す?」
「そこで、ムドー殿に折り入って頼みたいことがござりまする」
「私に!? 今更私が何かできるとも思われぬが…」
「聞くところによると、ムドー殿はこの陣営に精鋭50機とともにやってこられたとか」
「うむ、私と共に常に戦場で戦ってきた信頼置ける配下50人だ」
「実はムドー殿にしてほしいことがござりまする。まずは耳をお貸しくだされ…」
こうしてガスズは自らの策をムドーに伝えたのだった。

ムドーは自室に戻ると、ガスズが話したことを参謀ラーカイムに事細かく伝えた。
「何と大胆不敵なことよ…!」
ラーカイムもムドー同様に驚きを隠せない。
「私が動くことをシャギ殿は警戒されておられよう…可能ですかな?」
「確かに、猜疑心が強い我が殿、ムドー殿に完全に心を許してはござらぬ。ムドー殿があの若者を手伝うとなれば、許可はしないでしょう」
「うむ…」
「されど、戦に勝てばすべて罪に問われないというのが乱世における不文律でござる」
「というと…?」
ムドーはグラスごしにラーカイムに鋭い視線を送った。
「今の話私の胸三寸におさめることもできまする。私もあの若者が何をするか、ちと興味がござりまする」
「ならば、このムドー、カスズに協力してみましょう」
ムドーとラーカイムは話をまとめると盃を合わせた。
こうしてある日の夜が更けて行った。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(砂漠の陣/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。

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