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テディ・Dと実験機5-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「なるほど、ともかく、やっかいなことになり申した。孫娘もあの機体の中。あのCAやパイロットがどれほどのものかわかり申さぬが、殺してはもともこもなくなります」
「そうだな……いざとなったら、この私が相手をしよう。そのために、来ているのだしな」
「先生、助かります…それと、バーガーマン殿にもこちらに援護にくるよう伝えるとします」
白影はバーガーマンにも通信サポートするよう伝え、それから準備している兵士たちに命令を伝えた。

5

「よいか、あの機体には提督の孫娘が搭乗している。ゆえに、破壊せずに慎重に攻撃せよ。絶対に殺してはならぬ!」
白影の命令を受けた3機のCAシェルは、陸戦艇の後部にある上下式の扉が開くと、いっせいに出撃した。しかし、勢いよく飛び出したはいいが、どうしてよいのかわからず、右往左往している。

「破壊しないで攻撃するってどうすりゃいいんだよ!?」
「そんなこと俺にきくなよ。俺だってわからん! おいどうする?」
「お前らにわからないことが、俺にわかるわけがないだろ!」
混乱した3機のシェルは、仕方なしにマシンガンを右手に携えながら、実験機に向かって威嚇射撃を始めた。

「サシャ、オジャム、ちゃんとつかまっていて!」
テディ・Dはそう言うと、実験機の胸部と脚部にあるバーニアを噴射させ、上空に浮遊した。それはあまりのスピードであったため、3機のシェルは実験機の姿を見失ってしまった。
一流のパイロットであれば、コンマ秒の隙でもあれば見逃さない。それが数秒の隙ともなれば、致命的である。まして、テディ・Dは研究所において圧倒的な成績をおさめるパイロットで、所長が「ゴールデンチャイルド」と評するほどだった。

豆粒のように小さくなった実験機は両掌をひろげ、やっと気づいて上を見上げるシェルたちに向け、ビーム光線を発射した。
その高熱の光線は一直線でシェルたちをとらえ、一瞬で2機を灰にしてしまった。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(テディ・Dと実験機全10話・先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。


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