見出し画像

フウコと小オアシス2-サイレント・ネオ-boy meets girl-

オジャムは「う、うん」と言いながら、足取りが重い。
「どうしたの、オジャム?」
「う、うん」
オジャムはそう言いながら、廊下に出るとテディ・Dのいる部屋の方を見た。
「わかった、テディ・Dもいっしょにさそうのがいいわね!」

2

サシャはオジャムの意図を察すると、ドアを開けてテディ・Dに声をかけた。
「ねえ、テディ・Dもいっしょにオアシスいこうよ! きれいなおはながさいていたでしょ!」
オジャムが部屋の前から中をのぞくと、テディ・Dは窓側にある丸机の前の椅子にこしかけ、ティーバックを入れたカップにお湯をそそいでいた。
「そ、その、良かったら、テディ・Dも一緒にオアシス行ってみない?」
オジャムはしどろもどろになりながら言った。
「そうね、花が咲いているのね、素敵だわ。少し休んだら私も行くから、先に行っていて。私もオアシスを見てみたから」
「そう、わかった、待ってるよ!」
オジャムはうれしそうにぱっと顔を明るくすると、今度はサシャの手を力強く引いてオアシスに向かった。

日がだいぶ低くなり、影法師の背が高くなる中、オアシスに向かったオジャムとサシャ。サシャはお目当ての花を見つけて、せっせとつんでいた。その花とは鮮やかな濃いピンク色をしたブーゲンビリアだった。
そのサシャの隣で、オジャムは額に汗を垂らしながら、花冠を作っていた。それに気付くと、サシャも見よう見まねで、小さいサイズの花冠を作り始めた。
オジャムはサシャ用の小さな花冠、さらに一回り大きいサイズの花冠を作りあげると「できた、できたぞ!」と満足げに言った。
オジャムはサシャに小さい方の花冠をかぶせると、もう一つは大事に抱えた。

金色に輝いていた太陽は、オレンジ色に変わり、オアシスを同じように橙色に染めた。涼しげな風が吹いたその時に、テディ・Dも丁度やってきた。
「ここは素敵な所ね、緑に囲まれていて…まるで砂漠の中に街がぽっかりできているみたいね」
テディ・Dの言うように、この一帯だけが砂漠にあって、全くそれを感じさせない場所だった。まれに歩いている人の服装や粗末な家を見る限り、貧しい村のようではあるのだが……。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(フウコと小オアシス/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。

この記事が参加している募集

ご覧いただきありがとうございます!